帆81~82シーズン①

 

新体制のクリッパーズは開幕戦でロケッツに125対110で勝利。

試合終了11秒前、客席で見ていたドナルド・スターリングはコートに飛び出し、ポール・サイラスHCに抱きつきました。

スターリングはワインで酔っており、上着を脱ぎ、ネクタイを緩め、シャツはへそ近くまで開けていて…という状態。

サイラスHCは「何やってるんですか?こんなことはするもんじゃないですよ」と言ったそうです。

 

さて、開幕時のラインナップはこんな感じ。

 

ブライアン・テイラー

フリーマン・ウィリアムス

ジョー・ブライアント

トム・チェンバース

スウェン・ネイター

 

2勝5敗となったところで、サイラスHCはネイターをベンチへ。

ジェローム・ホワイトヘッドをラインナップに入れました。

 

この変更は戦績にあまり影響せず、とありえず5連敗。

開幕10試合目からフィル・スミス&マイケル・ブルックスがスタメンに入ると(ウィリアムスとブライアントがアウト)数試合持ち直すんですが、またすぐに9連敗。

その連敗中にはネイターが膝に重傷を負い、シーズンアウトとなってしまいました。

 

年内は7勝21敗で、ディビジョン内ではダントツの最下位。

リーグ全体でもキャブス、マブスと最下位を争う惨状です。

 

そんな状態で迎えた年明け、スターリングが就任100日目の昼食会で問題発言を出してしまいます。

 

●そろそろ本性が…(82年1月7日)

スターリングは次のように発言しました。

 

「我々は苦しい道を耐えねばならない(We have to bite the bullet.)」

「ヴァージニア大のラルフ・サンプソンのような、フランチャイズを変える選手を獲得するためには最下位にならなければならない」

 

この当時はロッタリー制度がなく、1位指名権を得るには少なくとも所属カンファレンスの最下位になるしかありませんでした(両カンファレンスの最下位チームがコイントスを行って1位と2位を決めるシステム)。

 

また、「最悪の成績になるためにそれほど頑張る必要はないだろう」とも発言し、ドラフトでは1~3位のいずれかになるだろうという趣旨のことも語りました。

スターリングがこうした発言をした瞬間、チームのスタッフたちは驚き、顔を見合わせたようです。

 

これを受けてリーグは調査を行い、昼食会の翌日、コミッショナーのラリー・オブライエンはスターリングに1万ドルの罰金を科し、以下のような書簡も送りました。

(1万ドルはオーナーへの罰金としてはこの当時の最高額)

 

「我々の調査によって、昼食会に出席していた複数の記者があなたの発言として伝えている内容が、事実であると確認された。

例えば、『我々の計画はドラフト1位指名権を獲得することだ』『フランチャイズを変えるような選手を獲得するためには、最下位で終わらなければならない』

『ドラフトでは1位、2位、あるいは3位指名権のいずれかを獲得することを保証する』といった発言である」

 

「我々のファンは当然のことながら、NBAの全チームの経営陣と選手たちが、常に可能な限り高いレベルで競争することを目指していると思っている。

あなたに関しては、クリッパーズがそれ以外の方法でプレイすることを意図していなかったこと、公の場でそのような発言をしたことを後悔していることについて、私は報告を受けている。

しかし、あなたが、あなた自身とクリッパーズがコート上では今後も最大限の力を尽くす保証をしていることは受け入れるとしても、あなたの不幸な発言はこのリーグの品位・公正さそのものに関わるものであり、看過することはできない」

 

一方のスターリングは、自身の発言が誤解されたとして罰金に対して異議を申し立てる意向を示します。

「我々は勝ちたい。そしてチームを改善したい。

私が言いたかったのは、負けている状況であっても、ファンは希望を失うべきではないということだった。

私が伝えたかったのは、このすべての状況から何か良いものが生まれるかもしれない、そして我々がフランチャイズを変えるような選手をドラフトできるかもしれない、ということだった」

 

●トレードもありました

会見の少し後、フロントはウィリアムスをホークスへトレードで放出。

見返りとしてチャーリー・クリス&アル・ウッドを獲得しました。

 

元々、エグゼクティブのテッド・ポドレスキーはナゲッツとの間でアレックス・イングリッシュを獲得するための交渉を行っており、パッケージにウィリアムスを含めることで合意しかかっていました。

(オフから話し合いが継続していたのか、一度破談になった話が再燃したのかは不明)

 

ウィリアムスは平均22分ほどで平均16.5点をマークしていた一方、オフコートでは問題も。

この人はのちに薬物依存だったことを認めるんですが、例えば、練習で日によってまったく様子が異なるなど、この頃にはだいぶ悪影響が出始めていたようです。

 

一方のイングリッシュは、このシーズンがキャリア6年目。

平均25点を上回る得点アベレージを残すなど、自己ベストの成績を残していました。

クリッパーズのオファーがウィリアムスだけだったのか、他にもアセットがあったのかは不明なんですが、少なくともリーグでも有数のスコアラーとなったイングリッシュを獲得するチャンスだったんです。

これを潰したのがスターリングでした。

 

スターリングは「我々は本当にイングリッシュが必要なんだろうか?彼はスーパースターなんだろうか?」と疑問を呈したんですね。

 

ナゲッツがイングリッシュの放出に乗り気だったのはイングリッシュのサラリーが高かったから。

また、イングリッシュが選手として本格的にブレイクしたと言えるのはこのシーズンからです。

スターリングとしては、まだ評価の固まっていない選手に大金を賭けるのが、土壇場になって怖くなったという感じでしょうか。

 

こうして成立したのがホークスとのトレードでした。

 

クリスは5フィート8インチ・165ポンドのPGで、この当時のリーグ最低身長の選手。

77~78シーズンのプロ入り以来ホークス一筋で、主に控えではありましたが、昨シーズンは平均9.5点・4.3アシストをマークしています。

 

ウッドは6フィート6インチのスウィングマンで、この年のルーキー。

ドラフト1巡目第4位指名なんですが出場機会は限定的で、冴えないシーズンを過ごしていました。

 

今回のトレードは、表向きには「双方にとって新たなスタートとなる」と説明されますが、ウィリアムスの素行の噂は広まっていたようで、「クリッパーズは、市場価値が完全に下がってしまう前に、問題を抱えた選手を処分しようとしている」と書いた記事もありました。

 

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前半戦は13勝30敗でカンファレンス最下位(リーグ全体ではドベ2)。

後半戦は更に悪化します。