王84~85シーズン②

 

今回は4部作です。

 

●移転に向けて③

先述の6連敗を止めた直後の85年1月21日、カンザスシティ市は新しいリース契約を提示。

地元紙によると、これは “使用料は年1ドル、売店や駐車場収入の一部もキングスに渡す” という超寛大な条件でした。

 

しかし、この同じ日、キングスは移転申請書類をNBAに提出。

そしてチームの幹部たちは、カンザスシティとサクラメントで同時に記者会見を開き、サクラメントへの移転申請を行ったと発表したんですね。

 

ルーケンビルは、サクラメントの記者団に対し、

「サクラメントにとって喜ばしい日だ」

「チームを移転させることはNBA全体の利益になる」

「あらゆる方面で前向きな話し合いが行われてきた」などとコメント。

 

更に、サクラメントが全米で20番目に大きなテレビ市場であり、北米4大のスポーツのチームを持たない最大の都市である点も挙げ、85~86シーズンに向けて『安全な賭け』だと述べました。

サクラメントの、半径55マイル圏内に230万人を抱える市場規模を根拠として、キングスは移転後2年以内に黒字化できるとの自信も見せています。

 

カンザスシティでの会見では、アクセルソンが 「この決定は撤回不可能であり、将来カンザスシティがNBAチームを持つとしたらすれば、それはエクスパンションによるしかないだろう」とコメント。

カンザスシティの市当局が、①②の後、ケンパー・アリーナのリース条件改善に向けた努力を行ってきたことを認めつつも、「収益面と観客動員の問題が、そうした新たなリース条件の提案を明らかに上回っている」とも語りました。

 

「このチームは売り物ではない」

「この時点で発表したことで、市当局や地元実業家がエクスパンションチーム獲得に向けて努力を集中できるようになるよ」と、移転に伴う売却は否定しています。

 

この発表の少し前、カンザスシティの市長と市議2名が、NBAの副コミッショナーであるラス・グラニクと会談し、市とNBAの将来について協議する予定だと報じられており、その市議のうち一人(フランク・パレルモ)は、“市は戦わずしてキングスを手放すつもりはなく、フランチャイズ維持のため法的手段を検討する可能性がある” と述べていました。

 

アクセルソンはパレルモとの直接的なやりとりは避けましたが、

「我々はリーグ規則を一字一句守って手続きを進めており、この申請が受理されると完全に予想している。リーグがこの申請を却下するとは考えていない。キングスは来季、サクラメントでプレーすることになると確信している」と自信のコメント。

移転申請を受けて、コミッショナーのデビッド・スターンも「特に問題は感じていない」と話しています。


ルーケンビルによれば、NBAによる移転承認は4ヶ月以内に下りる見込みで、その頃にはサクラメント当局も、1200万ドル規模・1万250席の仮設アリーナ使用許可を承認するだろうとのこと。

 

仮説アリーナの収容人数はNBAの基準を大きく下回るんですが、キングスのオーナー陣は、現在サクラメント郡が検討中の用地に、より大規模なスポーツスタジアムと工業団地を建設する計画を立てていました。

郡の監察委員?たちは、仮設アリーナについては暫定的な支持を示している一方、スタジアム計画の判断には数か月を要するとしています。

 

ルーケンビルの事業パートナーであるグレッグ・ヴァン・デューセンは、85年9月にアリーナを開業し、初年度に150のイベントを開催する見込みだとコメント。

また、バスケットボールによる使用は、アリーナの使用日程全体の25%を超えないとのことです。

 

サクラメントは、ポートランド、ミルウォーキー、インディアナ、ソルトレイクシティ、フェニックスといった都市よりもマーケットとしては大きいんですが、バスケットボールで知られている街ではなく、北米の4大スポーツのチームは過去にも遡ってもなし。

ディビジョンⅠの学校もなく、車で2時間圏内にウォリアーズの本拠地があり、70年代にはAAAの野球チームを失ったこともあり、移転の失敗を危惧する見方もあったようですが、ルーケンビルは意に介さず。

 

「カンザスシティで金を失うより、サクラメントで金を落とす方がずっと楽しいだろう」

また、自前のアリーナを所有することで、チーム再建に必要な資金を生み出せるようになるとも付け加えました。

 

この時点で既に、“キングスがカリフォルニア州都に来るならシーズンチケットを購入したい” という申し込みが1800件ほど寄せられていたという話もあり、早くも手応えを感じていたでしょうか。

 

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さて、移転が現実的なものとなったキングスは16勝33敗でオールスターブレイクへ。

移転発表は集客にも影響したようで、発表後のホーム戦の観客動員数はしばしば4000人を下回っています。

 

3月はなぜか調子がよく、17試合を11勝6敗と勝ち越しますが、4月は1勝6敗。

カンザスシティで最後の試合となるレイカーズ戦にも負け(移転が正式に承認されるのはシーズン終了後)、31勝51敗でシーズンを終えました。

 

このシーズンは第8シードのサンズでも36勝46敗で、3月が終わった時点では、キングスにもプレイオフ進出の可能性があったんです。

しかし、4月頭の西海岸のロード3連戦(クリッパーズ、レイカーズ、ウォリアーズ)に3連敗してしまい、望みは絶たれました。

 

ただ、この遠征はビジネス面では大成功。

ロード連戦の前、キングスは3日間試合がなく、ここでルーケンビルとアクセルソンはチームをサクラメントへ送り込んだんですね(サクラメントでチーム練習するプラン)。

 

キングスの選手たちは、空港のターミナルから熱烈な歓迎を受け、5台の白いリムジンで練習会場へ。

1200席の会場に約1800人のファンが押しかけ、更に地元のテレビ局すべてに新聞記者など、多くのメディアも集まりました。

 

練習後にはサイン会が行われ、エディ・ジョンソンはヘリコプターで市内を遊覧しながら、ラリー・ドリューマイク・ウッドソンは食事をしながら、ラサール・トンプソンは服を買いながら…それぞれインタビューや取材に対応。

ジョンソンは、「まるでビートルズになったようだった」と話しています。