王69~70シーズン①
ボブ・クージーHCの初勝利は開幕2戦目。
奇しくもボストン・ガーデンで行われたセルティックス戦でした。
この試合、ロイヤルズは前半を50対42とリード。
3Qに逆転されますが、接戦となった4Q終盤にオスカー・ロバートソン、ルーサー・ラックリーがシュートを決め、ロイヤルズが110対108で勝ちました。
のちにクージーは、キャリアで最も緊張した試合だったと語っています。
初勝利の後は連敗。1勝3敗となったところで、クージーはトレードを行いました。
●大物トレード
ジェリー・ルーカスをウォリアーズに出して、ジム・キング&ビル・ターナーを獲得。
開幕4試合のルーカスは、平均10.3点・11.3リバウンド・2.3アシストと精彩を欠いていました。
ルーカスがクージーの目指すアップテンポなスタイルに合わないこと、サイド・ビジネスに熱心だったこと、地元での人気も落ちていたこと、そんなルーカスにクージーが不満を抱いていたこと…は以前の記事で触れた通り。
それでもこのトレードは衝撃的なものでした。
見返りが少ないんですね。
キングは7年目のPGで一度だけオールスターに出場していますが、それ以外のシーズンの出来はロールプレイヤーのそれ。
ターナーは3年目のSFでキャリア平均5.2点にすぎません。
クージーによると、ルーカスがランニング・ゲームに対応できないことは、”一人がペースについていけないとシステム全体が崩れてしまうパターンになっていた” とのこと。
「彼はリバウンドをこなしていた」 「彼はそれを上手くやっていた。プロバスケットボール界の真のビッグマンたちのような身長やものすごい運動能力はなかったけれどね。でも、彼にはもっとスピードが必要だった」
「ジェリーには、私が望むような速攻とアグレッシブなディフェンスをするには、肉体的にも精神的にも能力がないと思った。彼のような態度を、若い選手たちに真似して欲しくなかった」
クージーはのちに自伝の中でもルーカスを批判。
個人的には、プレイスタイルやコンディションの問題以上に、知的で広い視野を持つルーカスの価値観が、よほどクージーと合わなかったのかなと思います。
このトレードには真偽のわからない部分がふたつ。
①トレードを望んだのはどちらか?
クージーは、ルーカスが自分の元を訪れ、”膝の調子が悪いため、自分が望むようなディフェンスはできないという結論に達した” と訴えたと主張。
そして、ルーカスはトレードを希望し、できればサンフランシスコへの移籍を希望(ルーカスはトレード拒否権を持っていました)。
クージーは、ルーカスに ”ジョー・アクセルソンと話し合って、何ができるか検討すると伝えた” としました。
一方のルーカスは、「トレードを頼んだわけではない」とこの話を否定。
「トレードされたと知ったときはショックだった。アクセルソンがトレードに関わったとは思わない。彼のことをよく知らなかったし、マックス・ジェイコブスにも会ったことがない。クージーはすべてを変えたかったんだ。彼がHCに就任したら、すべての決定権を持つことになった。オールスター級の選手を放出することも含まれていたんだよ」
ルーカスの奥さんはトレードを歓迎していますが…
「ロイヤルズにとっても、私たちにとっても、とてもいいことになりそうです」「彼(クージー)は正しいことをしているに違いありません。私は彼を信頼しているんです。彼は素晴らしいコーチだと思います」
②トレードの行き先
クージーは、アクセルソンと協力してルーカスのトレード先を探し始めたものの、興味を示したのは、ルーカスが移籍を望んでいたウォリアーズだけだったとしました。
しかし、ブレッツのジーン・シューHCが獲得に関心を示し、レイ・スコットをオファーしたという話があるんですね。
シューは、ロイヤルズの試合をチェックしてルーカスがフィットしていないことに気付いていました。
ロイヤルズがトレードで得たものを知ったシューは、「一体どういう取引だったんだ?私はこの件をずっと把握していた。我々がどのくらいのアセットを提示したのかは言えないが、彼らが得たものより遙かに大きなものだったんだ」と驚いています。
これに対してクージーは、「彼は最初、ジョン・バーンヒルとバリー・オームズをオファーしてきた。彼には関係のないことだよ。何を言おうと彼には裏がある。専門家でいられるのはいいことだよ。いつか私も、彼と同じくらい賢くなるかもしれないね」
この手の話で双方の言い分に食い違いがあるのは珍しいことではないですが、ルーカスは記憶力に定評のある選手です。
トレード拒否権があったのならば、どちらにしろブレッツ行きは難しかったような気もしますが…
クージーが ”ルーカスはコート上で80%の力しか発揮していない” と発言したことについて、この当時のルーカスは「高校、大学、オリンピック、プロと、あらゆるレベルのプレイしたすべての試合で、私はモチベーションを持っていた」と反発。
しかし、のちに “私は悪い習慣が身に付いていた。シンシナティでの最後の4年間は、出来る限りのハードワークを尽くさなかったよ” と批判の一部を認めています。
因みに、この当時のルーカスはサイド・ビジネスも上手くいかなくなっていました(間もなく破産宣告を余儀なくされたという話も)。
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ルーカスを手放したロイヤルズは黒星先行でシーズンが進みます。
6勝10敗となった11月半ば、オフから続いていたあの交渉に決着がつきました。
●名PG復帰へ
約2ヶ月にも及ぶ交渉の末、11月18日、ロイヤルズはビル・ディンウィディー&金銭をセルティックスに送ることで取引が成立。
クージーがロイヤルズで現役復帰できることになりました☆
(ディンウィディーはオフに行った膝の手術から回復途中)
クージーは、レッド・アワーバックに対し、1試合2分程度のミニッツはあくまでプロモーション目的で、大きな貢献を期待してのものではないと説得しようとしましたが、これは通じませんでした。
アワーバックは、2分あればクージーがロバートソンにパスを回してシュートを打たせることができ、勝敗を決められる可能性があるとしていました。
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取引成立から3日後の11月21日、地元シンシナティで行われたブルズ戦でクージーは復帰。
(復帰が決まった後、鼠径部を痛めたようですが、軽症だった模様)
クージーは試合後半にコートへ。
いいところもあったようですが、TOも目立ち、ファウルも多かったです(10分で3点&2リバウンド&2アシスト&4ファウル)。
「本当にひどい状態だったと思った。調子を戻さないといけない。自信はあったし、足もそれほど悪くはなかった。もう少しいいプレイができると思う」と振り返っています。
ロイヤルズは、そのクージー復帰戦から3連勝を飾りますが、その後は勝ったり負けたり。
クリスマスにはまたトレードが行われました。