P98~99シーズン①

 

ラリー・ブラウンのチームが出来上がってきました。

 

エリック・スノウ

アレン・アイバーソン

ジョージ・リンチ

シオ・ラトリフ

マット・ガイガー

 

新生シクサーズは開幕3連勝の好スタート。

3試合すべてアイバーソンは不調でしたが、ディフェンスが良くなっているお陰か、勝利をものにしています。

 

4勝5敗からの6連勝で、近年にはなかった貯金生活へ。

11勝8敗となったところでは、またひとつトレードが行われました。

 

●当時、少し驚いたトレード

ティム・トーマス&スコット・ウィリアムスをバックスに出して、タイロン・ヒル&ジェラルド・ハニカットを獲得。

ミルサド・ターキャンをニックスに出して、00年のドラフト1巡目指名権を獲得。

 

ヒルは9年目のPF(6フィート9インチ)。

平均13点・10リバウンドくらいは計算でき、オールスターにも一度選ばれたことがあります。

このシーズンはミニッツが減り、スタッツもやや停滞していました。

 

ハニカットは2年目のF(6フィート9インチ)。

体型的にはアンダーサイズのPFなんですが、プレイスタイルはSF寄り。

シュート力のある選手ですが、ブラウンはスコアラーとして評価していたとか。

昨年のドラフトでも1巡目の中位で指名されると予想していたそうです。

このシーズン、バックスでは3試合しか出ませんでした。

 

トーマスはリンチ加入によってベンチスタートになり、ミニッツも半減。停滞していました。

 

そのためか、トレード期限が近付くにつれてトレードの噂が出ていたんですが、当初ブラウンはそれを否定。

「彼をトレードするつもりはない。ここ3週間ずっと言っている。彼は、うちの将来を担う若手だ」と怒ったことさえありました。

 

”トーマスのポテンシャルの高さは誰もが認めるところで、しかもチームに足りないのはシューターなのに、何故ベテランのビッグマンを獲るのか?”

という指摘はあったようで、この当時、自分も”いいの?”と思ったものです。

 

理由として考えられるのは、ガイガー&ラトリフに一貫性がない、高級取りで働きの悪いウィリアムスの放出、リバウンドの強化…といったところでしょうか。

新しい労使協約のため、過去6ヶ月以内に契約を結んだ選手をトレードすることが出来ず、補強に使えるコマが限られていたこともあるかもしれません。

 

因みに、ブラウンはこんなコメントをしています。

 

「アレン、ラリー、ティム、ナジーといたら、うちは若すぎるかもしれない。彼らすべての成長を待つのは、骨の折れることかもしれない。多くの人たちは、即戦力になる人材を獲得できたと感じているよ」

「ティムは信じられないような若手だ。私の周りにいるどの若手にも負けない。一日たりとも文句を言わなかった。いつか偉大な選手になると思うよ。たぶん、ベテランのいいチームに行ったら、彼はもっと早く上達するだろうね」

 

ターキャンは、1試合もプレイしていなかったので割愛。

 

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このトレードがチームにとってよかったのかは(少なくともこの時点では)微妙なところで、シクサーズはここからペースダウン。

3月末~4月を2勝7敗と負け越し、一度は16勝16敗の5割、カンファレンス10位まで落ちてしまいます。

 

ロードが多かったとか、アイバーソン絡みのトラブルがあったとか(後述)、そもそもまだそこまで盤石な戦力じゃないとか、停滞した要因は色々考えられますが。

 

ただ、このシーズンのチームはここで崩れず、ラスト18試合を12勝6敗と復調。

シーズン終盤に調子を落としたキャブス、ラプターズ、ずっと波に乗りきれていなかったニックスらを抜き、カンファレンス6位まで浮上します。

 

こうして28勝22敗でシーズンを終え、8シーズンぶりのプレイオフ進出を決めたのでした。

 

チームとしてのスタッツを見ると、オフェンスのカテゴリーは軒並みリーグ下位。

3Pに至っては、(ブラウンが3Pを好まないというのもあるかもですが)成功数・試投数・成功率、すべてリーグ最下位でした。

 

一方、ディフェンスはかなりグレードアップ。

スティールはリーグトップで、相手チームのTO数はリーグ最多でした。

 

【3年目】

 

アイバーソンは48試合でリーグトップの平均41.5分プレイ。

平均26.8点(1位)・4.9リバウンド・4.6アシスト・2.3スティール(3位)でした。

 

FG成功率はルーキーイヤーの水準まで下降しましたが、SG起用が当たり、チームとしても勝てるようになってきたので、存在感が過去2シーズンと違いましたかね。

開幕3試合の不調にしても、プレイスタイルを以前とは変えようとしたが故のスランプだったという話も。

 

史上最も背の低い得点王(それまではネイト・アーチボルド)で、オールNBA1stチームに初選出。

MVPの投票でも4位でした。

 

ただ、トラブルはこのシーズンもちらほら。

 

例えば、アイバーソンはトレード翌日の朝に行われた練習を無断で欠席。

アイバーソン曰く、交際中の女性(のちに結婚するタワンナさん)の体調が優れず、子供たちの面倒を見なければならなかったということらしいんですが、前夜に遅くまでクラブにいたことも周囲に知られており、ブラウンは激怒。

チームメイトも匿名で批判しました。

アイバーソン曰く両方本当らしいですが…

 

また、そこから10試合ほど後、地元で行われたキャブス戦では試合中にブラウンと揉めます。

1Q終盤のシュートセレクションを理由にベンチに下げられ、ブラウンに悪態をつくんですね。

 

ブラウンはアイバーソンをコートに戻さず、アイバーソンはタイムアウトの際にハドルに加わろうとしなかったり、着替えて帰ろうとしたり(どちらもチームメイトの説得に応じますが)、試合後には完調になるまでプレイしないと宣言(一応、負傷していたとか)。

結局この試合は1Qの12分しかプレイせず、次の試合を欠場しました。

 

どちらも出場停止などの処分は課されていません。