P96年オフ

 

オーナー交代により、シクサーズは色々変わります。

 

【まぁ、ここは動きますよね】

 

シーズン終了から3週間ほど、フロントは球団社長&GMとしてのジョン・ルーカスを解任。

後任にブラッド・グリーンバーグを据えました。

 

この人は元々カレッジでコーチをしていたんですが、80年代前半、セントジョセフ大でジム・ライナムのACとなったのを機にNBAへ。

89年からはブレイザーズのフロントにいました。

 

そのグリーンバーグの初仕事は、HCとしてのルーカスの解任(解任の噂はオーナー交代直後からあった模様)。

ACのロン・アダムス、トム・シボドーもここで解任となります。

 

ルーカス就任時点でも下降線を辿っていたシクサーズでしたが、就任後の2年間で成績は更に悪化。

”6年連続で負け数を増やした”というのはリーグ記録です。

 

「ルーカスが良いコーチだったと思うか?」と聞かれたグリーンバーグは、「ジョンのことは好きだし、彼はベストを尽くしたと思うよ」と返しています。

 

【新HC】

 

ジョニー・ディビスが就任。11年で6人目のHCです。

 

選手としては10年のキャリアがあり、ルーキーのときにブレイザーズで優勝を経験。

コーチとしては90~91シーズンから昨シーズンまで、ボブ・ワイスPJ・カーリシモのACを務めていました。

 

ACにはエド・バドガー、ボブ・オシープカが新たに就任。

バドガーは64歳のベテラン、オシープカはクリッパーズでディビスとともにワイスのスタッフにいたことがあります。

 

【ドラフト☆】

 

1巡目第1位でアレン・アイバーソンを指名。

 

アイバーソンについては、今更ここで書くまでもない気もしますが一応簡単に。

6フィート・165ポンドのPGで、高校時代はフットボールとバスケットの両方で活躍していました。

 

カレッジ進学のタイミングでボーリング場での乱闘騒ぎに巻き込まれ、アイバーソンはその騒動に加わっていなかったにもかかわらず逮捕。

当初、懲役15年という判決が下されますが、捜査/裁判のやり直しを受けて、数ヶ月服役したのちに釈放。

しかし、元々あった進学の話はなしになりました。

 

ここでアイバーソンのお母さんがジョン・トンプソンにコンタクトを取ったのがきっかけでジョージタウン大へ。

得点力が高い反面、1年次はシュートの確率が低く、TOもかなり多かったんですが、2年次には改善(TOはそれでも多いけれど)。

2年次のハイライトを見る限り、アイバーソンのプレイスタイルは、もう既に確立されていました。

 

スピードとクイックネス、跳躍力など身体能力の高さが並外れており、特にオープンコートではついていける選手がいないんじゃないかと思うほど。

カレッジ時代はディフェンダーとしての評価も◎でした(所属カンファレンスのディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞)。

 

懸念は、ときどきコントロールが効かなくなる、真のPGではない…といったところ。

あるスカウトは、”ジャンプショットのないマッムード・アブドゥル-ラウーフ”と評しました。

 

シクサーズは、アイバーソン以外にステファン・マーベリーを気に入っていたという話があります。

 

【ドラフト2巡目】

 

2巡目第31位でマーク・ヘンドリクソン、第32位でライアン・マイナー、第48位でジェイミー・ファイックを指名。

 

ヘンドリクソンは6フィート9インチのPF。

カレッジ時代は、チーム最長身だったためかC起用もありましたが、プレイスタイルとしてはFです。

 

ディフェンスも悪くないんですが、NBAではPFとしてもやや小さく、SFとしては身体能力に欠けます。

3Pは得意ではないけれど、動けるストレッチ4といった感じでしょうか。

 

因みに、高校時代はバスケットと野球に打ち込んでおり(テニスもやっていたそう)、高校卒業時の92年からこの96年まで毎年、MLBのそれぞれ別のチームからドラフト指名されています(ピッチャーとして)。

カレッジでも両方続けていました。

 

マイナーはオクラホマ大出身のSF(6フィート7インチ)。

この人もまた野球でも実績のある選手で、昨年はメッツ、この年はオリオールズからも指名されています。

 

最初2年はロールプレイヤーでしたが、HCが交代した3年次に開花。

4年次はシュートスランプで数字を落としましたが、3,4年次は両方ともカンファレンスの得点王になっています。

 

3年次終了時点でロッタリーピックを噂されており、4年次のパフォーマンスとナイキ・デザート・クラシックで不発だったことから評価を落としましたが、それでも1巡目中位くらいでの指名を予想されていました。

 

SFとしてのツールを一通り備えた選手として、それなりに評価されていたようなんですが、プレシーズン後に解雇。

CBAで少しプレイしたのち、MLBの道へ進みます。

 

ファイックはミシガン州立大出身のPF(6フィート9インチ)。

リバウンドに強く、カレッジ時代はCとして起用されていました。

 

オフェンスでは起点になれませんが、トム・イゾーがHCに就任した昨シーズン(4年次)に3Pを打つようになり、30%ほどの確率で決めています。

この人も開幕ロスターには残りません。

 

【FAその1】

 

昨シーズン在籍した選手のうち8人の契約が切れたんですが、新フロントは誰も引き留めず。

エド・ピンクニーもバイアウトで放出となりました。

 

そしてドン・マクレーン、ルーシャス・ハリス、マイケル・ケイジと契約。

 

マクレーンはキャリア4年のF(6フィート10インチ)。

ブレッツ在籍時の2年目にMIPを受賞し、そのシーズン以来、平均2桁得点をあげていますが、故障が多いです。

今回は5年契約です。

 

ハリスはキャリア3年のSG。

これまではマブスでジム・ジャクソンのバックアップを務めていました。

シュート力はありますが、自ら得点チャンスを作り出すスキルには欠けます。こちらは7年契約です。

 

ケイジはキャリア12年、35歳のベテランC/F。

Cとしては小さく6フィート9インチしかありませんが、リバウンドに強く、88年にはリバウンド王に。

7シーズン連続で全82試合に出場しているのも◎です。

 

90年代に入って年々ミニッツが減っていましたが、キャブスに在籍した昨シーズンは、ひさしぶりにミニッツが30分を超えました。

 

【FAその2】

 

マーク・ディビス、ダグ・オーバートン、マーク・ブラッドキーと契約。

 

ディビスは6フィート7インチのSF。

昨年のドラフト2巡目指名で、ルーキーイヤーはウルブズでプレイしていました。

 

オーバートンはキャリア4年のPG。

ブレッツ、ナゲッツでマクレーンとチームメイトでした(ブレッツ→ナゲッツは一緒にトレードされた)。

 

ブラッドキーはオーストラリア出身のドラフト外ルーキー。

6フィート10インチ・265ポンドのCです。

 

88年(18歳)から母国のNBLでプレイしており、代表チームのメンバーとしてソウル、バルセロナ、アトランタでプレイ(のちにシドニー大会にも出場)。

ここではルーク・ロングリーがいるため、PFとして起用されていました。

 

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因みに、ホームアリーナもこの8月にオープンしたコアステイツ・センター(コムキャスト社所有)に移ります。