P93年オフ①

 

このオフ、ロスターは一新されます。

 

【コーチングスタッフ】

 

フレッド・カーターは暫定HCから正式なHCへ。

ACは、トニー・ディレオはそのままで、新たにジェフ・ルーランドが就任しました(デビッド・モーは去りました)。

 

ルーランドは昨シーズン途中に現役を引退したばかりの35歳。NBAのコーチ業はこれが初めてです。

 

【ドラフト】

 

1巡目第2位でショーン・ブラッドリー、2巡目第32位でアルフォンソ・フォードを指名。

 

ブラッドリーは7フィート6インチ・235ポンドのC。

これはサプライズ指名だったようで、指名直後の会場はどよめきとブーイングが。

オーナーのハロルド・カッツの意向だったようです(カッツは実際にプレイを見たことはなかった)。

 

ブリガムヤング大で1年プレイしたのち、モルモン教布教のために2年間オーストラリアへ。

帰国したのはドラフト1ヶ月ほど前で、そのときも家族との時間を優先したいという理由で、ドラフト前のキャンプには参加しないとNBAに進言しました。


武器はブロックショットで、1年だけプレイしたカレッジ時代のアベレージは5.2本です(シーズンのブロック王)。

ただ、決してブロックだけの選手ではなく、この身長に似つかわしくない運動能力も兼備。

 

カレッジ時代のHCであるロジャー・リードは、「皆が我慢できるのであれば、彼は圧倒的なプレイヤーになる可能性を秘めている。ジャバーのようなフックショットが打てるかもしれない。パスも上手いし、足も速い。今年、皆が思っているより良いプレイが出来るんじゃないかな」「彼の見た目は7フィート6インチだけど、動きは6フィート4インチだ」と評価。

実際、これまでに野球もやっていた他、水上スキー、ゴルフ、テニスなどもこなすようです。

 

懸念は線の細さ。カレッジ時代よりもウェイトは増えたようですが(1年次は200ポンドなかったそう)、それでも身長を考えるとすごく細いです。

 

フォードはミシシッピ・バレー州立大出身のG。

6フィート1インチと上背はないんですが、プレイスタイルはスコアリングGで、カレッジ時代は4年間すべてで平均26.0点以上というNCAA記録を樹立しています。

 

ミスの多さ、ムラの激しさなどがネックとなり、開幕直前に解雇されてしまいますが。

 

【大改造】

 

アーモン・ギリアムを解雇し、エディ・リー・ウィルキンス、マヌート・ボル、ロン・アンダーソン、チャールズ・シャックルフォード、グレッグ・グラント、アンドリュー・ラング、ミッチェル・ウィギンスらを全員リリース。

 

フロントは、5月末の時点でギリアムの残りの契約を買い取るという30万ドルのオプションを行使していました。

ドラフト1巡目第2位のルーキーと契約するため、財政的な余裕が欲しかったようです。

 

これが功を奏してか、ブラッドリーとは7月末という早い段階で契約に合意。

内容は8年間4400万ドル、背番号は76です。

 

ブラッドリーを気に入ったカッツ自身が「史上最大の賭け」として、公の場で忍耐を訴えた一方、ジム・ライナムGMはすぐに活躍できる可能性もあると確信していたとか。

ブラッドリーを高く評価する人の中には、ジャック・ラムジーもいますが…(曰く、ビル・ウォルトンと同じ要素を持っていると)

【補強①】

 

エリック・レックナー、モーゼス・マローンと契約。

ハーシー・ホーキンスをホーネッツに出し、ディナ・バロス&グレッグ・グレアム&シドニー・グリーン&94年のドラフト1巡目指名権を獲得。

 

レックナーは26歳のC。

88年にジャズでNBAデビューし、そこから4シーズンで3チームに在籍(すべてバックアップ)。

昨シーズンはイタリアでプレイしていました。

 

マローンが復帰!

86年にブレッツに放出された後もしばらくはオールスタークラスのCとしてプレイしていたマローンですが、バックスにいた昨シーズンは背中の故障で11試合しかプレイできず。

このオフは契約買い取りでリリースされていました。

年齢や衰えを加味すると、メンターとしての意味合いが強いかと思われます。

 

バロスは5フィート11インチ・163ポンドとかなり小さなPG。

89年のプロ入りから昨シーズンまではソニックス一筋で、主にバックアップとして起用されていました。

 

武器はシュート力で、特にアウトサイドシュートの上手さだけならこの当時のリーグでも上位クラス。

91~92シーズンには3P成功率でリーグ首位に立っています。

 

グレアムはこのオフのドラフト1巡目第17位でホーネッツに指名されていたSG。

インディアナ大出身で、カルバート・チェイニーは同期。アラン・ヘンダーソンもチームメイトでした。

 

SGとしては小柄ですが(6フィート4インチ・174ポンド)、ディフェンスとハンドリングが◎。

シュートの精度も高く、4年次はFG成功率が55.0%だったのに加え、3Pも50%を超えています。

 

この人は、トレード獲得後すぐに契約に至っています。