陽68年オフ:創設

 

68年1月22日、アリゾナ州フェニックスにチームが誕生。

同州初のプロスポーツのチームです(このオフはバックスも誕生)。

 

砂漠地帯にあるフェニックスは、ニューディール政策によるダムの開発などの恩恵を受けて急速に発展していたようなんですが、当初、ここにチームを持ちたいというオーナーグループに対する周囲の反応は微妙。

 

気候が暑い、マーケットが小さい、アクセスも悪い(この当時はまだ西側のチームが少なく、アトランタ・ホークス、シカゴ・ブルズがウェストでした)などの理由で、コミッショナーのJ.ウォルター・ケネディも乗り気ではなく、筆頭オーナーのリチャード・ブロックはこれを説得しなければなりませんでした。

 

オーナーグループはブロックのような投資家や公営企業のオーナーの集まり。

ただ、少数株主にヘンリー・マンシーニ(作曲家)、アンディ・ウィリアムス(歌手)、ボビー・ジェントリー(歌手)、エド・エイムス(歌手)、トニー・カーティス(俳優)ら著名人が名を連ねていたのはユニークです。

 

因みにウィリアムスは、チーム名も決まっていない2月の段階で株式を28%も購入しています。

 

チーム名を決める際は公募を行っており、スコーピオンズ、ラトルスネークス(ガラガラヘビ)、ハベリナス(イノシシに似たほ乳類)、タランチュラズなどが候補に。

タランチュラズは有力だったのかな。

 

晴れて、フェニックス・サンズとなりました。

 

【初代GM&HC】

 

ウィリアムスが株式を購入したその日、ジェリー・コランジェロがGMに就任。

この当時26歳で、プロスポーツ史上最年少のGMです。

 

カレッジ時代はバスケと野球をプレイしていましたが、プロとしてはプレイせず。

66年、エクスパンション・チームのブルズで、スカウトやマーケティング・ディレクターとして働きはじめたのがプロキャリアのはじまりです。

 

バックスもGMとして目を付けていたようですが、コランジェロはフェニックスの ”西部開拓のような雰囲気、何もない状態” が気に入ったそう。

 

そして、そのコランジェロがブルズからHCを招聘。

ジョニー・カーが初代HCとなります。

愛称は”レッド”で、ジョニー・”レッド”・カー/レッド・カーなんて表記されることが多いでしょうか。

 

カーは54~66年まで12シーズンNBAでプレイし、引退直後の66~67シーズンにエクスパンション・チームのブルズでHCデビュー。

33勝48敗というエクスパンション・チーム史上最高勝率をあげてコーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

 

このオフはブルズのHCを辞任したその日にサンズと契約。

コランジェロと仲良しだったみたいなので、追ってきた感じですかね。

 

【5月6日】

 

各チーム、プロテクトできるのは7人。

サンズが指名した18人のうち、開幕ロスターに残るorこの後の補強で使われるのは下記の11人です。

 

エメット・ブライアント(ニックス)

ゲイル・グッドリッチ(レイカーズ)

デニス・ハミルトン(レイカーズ)

ニール・ジョンソン(ニックス)

デイブ・ラティン(ウォリアーズ)

スタン・マッケンジー(ブレッツ)

マッコイ・マクレモア(ブルズ)

ディック・スナイダー(ホークス)

ディック・ヴァンアースデイル(ニックス)

ジョン・ウェッツェル(レイカーズ)

ジョージ・ウィルソン(ソニックス)

 

ウェッツルは兵役のため、チーム入りは70年から。

 

また、シクサーズから指名したビル・メルチオーニは、サンズには指名されただけで終わり、来るシーズンをEPBLで過ごすんですが、その後ABAのネッツで大活躍。

背番号25は永久欠番となります。

 

【ドラフト】

 

1巡目第8位でゲーリー・グレゴー、2巡目第21位でディック・カニングハム、6巡目第77位でロッド・ナウルズを指名(カニングハムはこの後放出)。

 

グレゴーはサウスカロライナ大出身のF(6フィート7インチ・225ポンド)。

カレッジ時代、当初はG~Cまで色々なポジションでプレイしていましたが、HCがフランク・マクガイアになってからポジションが固定。

最終学年時はCとして起用されていました。

 

ナウルズはデビッドソン大出身のC(6フィート9インチ)。

66年に同大が初めてNCAAトーナメントに進んだときのメンバーで、そのときのエース各がスナイダーでした。

66・67年(2・3年次)のアベレージは、19点・10リバウンドといった感じでしたが、4年次に2年生が2人入ってきたことで成績を大幅に落としています。

 

因みに、11巡目第147位で指名したロン・ブーンは、ABAで素晴らしい実績を積み上げる選手なんですが、ABAのシャパラルズ行きをチョイス。

カレッジ時代のHCのアドバイスを受け、よりチャンスが得られそうなリーグを選んだようです。

 

【トレード】

 

・ブライアントをセルティックスに出して、69年のドラフト2巡目指名権を獲得。

・ハミルトンをホークスに出して、69年のドラフト3巡目指名権を獲得。

・カニングハムをバックスに出して、金銭&将来の2巡目指名権を獲得?(見返りがはっきりしません)。