騎96~97シーズン

 

いざ開幕するとキャブスのゲームは昨シーズンのまま。

相手を80点以下に抑えることも珍しくない戦い方で、コツコツ勝ち星を積み重ねました。

 

調子が上がったのは12月半ば。

 

開幕時はスターティングPFがタイロン・ヒル、Cがマーク・ウェストだったんですが、ヒルをCにスライドさせ、ダニー・フェリーとしたのが入れたのがきっかけでした。

直後の11試合を9勝2敗と勝ち越し、貯金は一気に2桁となります。

 

しかし、そこから6連敗を喫すると、なかなか立て直せません。

スタメンを弄るも効果は薄く、貯金は少しずつなくなっていきました。

 

一方、キャブスがペースを落とすのと反比例するように浮上してきたのがブレッツ。

ブレッツはシーズンの大半で勝率5割を下回っていたんですが、2月頭のHC交代から流れが変わり、勝率を上げてくるんですね。

 

97年4月1日。キャブスがニックスに敗れ、ブレッツがペイサーズに勝ったことで、遂に両チームが同率に。

第8シード争いは熾烈になりました。

 

そしてNBAのスケジュールってのは上手くできてるんですねぇ。

シーズン最終戦がまさかの直接対決で、しかも勝った方がプレイオフに進めるという、ファンにはたまらない展開となりました。

 

キャブス(42勝39敗)、ブレッツ(43勝38敗)で迎えたこの直接対決は、85対81でブレッツが辛勝。

試合はガンド・アリーナで行われたんですが、ホームコート・アドバンテージを活かせず、6シーズン振りにプレイオフ進出を逃してしまいました。

 

最終成績は42勝40敗。

主力の故障がシーズン終盤に続いたのは不運でしたが(後述)、主力が揃っていたとしてもプレイオフ進出はギリギリだったでしょうし、仮に出場できても第1シードのブルズにスウィープされていた気がします。

 

「アップテンポにしたい」発言はどこへやら。キャブスは今シーズンもリーグ1ロースコアなゲームをするチームでした。

平均87.5点・85.7失点は昨シーズンを上回るロースコアぶりで、平均失点はリーグ新記録(前記録は昨シーズンのキャブス)。

12月4日のマジック戦では、相手を57点に抑えて勝っており、これは1試合最少失点のリーグタイ記録でした。

 

ただ、昨シーズン同様、相手チームの得点を抑えたのに勝てないケースも少なくなく、70点に届かない試合が5試合も(3月末のスパーズ戦では59点しか奪えず)。

平均得点は、リーグ史上2番目の低さです。

 

試合が退屈という評判は拭えず、先述の大事なシーズン最終戦ですら、空席がちらつく有様でした。

 

因みに97年3月1日、ブラッド・ドアティの背番号43が永久欠番になっています。

 

【このシーズンもこの3人】

 

ブランドンは78試合で平均19.5点・6.3アシスト・1.8スティール・FT成功率90.2%(リーグ2位)。

ほとんどのカテゴリーで昨シーズンと同等かそれ以上のスタッツを残し、2年連続のオールスター出場(地元クリーブランドで開催)も果たしました。

 

シチズンシップ・アワードも受賞しています。

 

ミルズは80試合で平均13.4点・6.2リバウンド・1.1スティール。

過去2シーズンもチーム最長のプレイングタイムだったミルズですが、このシーズンはバックアップに恵まれなかったためか、リーグ9位の平均39.6分もプレイしました。

 

フィルズは69試合で平均12.6点・1.6スティール・3P成功率39.4%。

13試合を故障で欠場したワケですが、そのタイミングが悪く、3月末のヒート戦で左鼠径部を負傷し、そこから9試合欠場。

ラスト3試合で復帰するも本調子ではなかったようで、ベンチスタート止まり。

シーズン最終戦ではほとんど何も貢献出来ませんでした。

 

【フロントライン】

 

スターターに戻ったヒルは、74試合で平均12.9点・9.9リバウンド・FG成功率60.0%(リーグ2位)。スタッツ的にはオールスターに選ばれた2シーズン前と遜色ありませんでした。

 

フェリーは全82試合(うち48試合が先発)に出場し、平均10.6点・3P成功率40.1%(114/284)。

プレイングタイムは昨シーズンとほぼ変わらず、スターターとしても6マンとしても貢献できることを示しました。

 

ウェストは70試合に出て、うち43試合でスタートしましたが、出場機会は限定的。

スターティングCとしてはもう厳しいかもしれません。

 

【大事なベンチ】

 

2年目のボブ・スーラは全82試合(うち23試合が先発)で、平均9.2点・3.8リバウンド・4.8アシスト・1.1スティール。

フィルズの故障などもあり、プレイングタイムは昨シーズンから倍近く増えました。

 

よく言えば色々こなせる選手なんですが、一方で安定感に欠け、シュートの精度は全般的にお粗末。

特にFT成功率61.4%はいただけません。

スラムダンク・コンテストにも出場しますが、1stラウンドであっさり敗退しました。

 

ポタペンコは80試合で平均5.8点・2.7リバウンド。スタッツ以上に働きは良く(と思う)、ベンチプレイヤーとしては及第点のルーキーでした。

ルーキー・オールスターのメンバーにも選ばれています。

 

アントニオ・ラングは64試合・平均13.2分もプレイ。

スタッツ的にはキャリアベストのシーズンです。

 

【層が薄いです】

 

ドニー・マーシャル、レジー・ギアリー、カール・トーマス、ショウネル・スコットは、いずれもプレイングタイムが平均10分未満。

 

マーシャルは56試合で平均3.1点。

本数は少ないんですが、3P成功率37.9%は悪くなく、1月末のホーネッツ戦では3P4本すべて決めるなどキャリアハイの17点をあげています。

 

ギアリーは、ブランドン以外に純粋なPGがいないにもかかわらず、あまり出番がありませんでした。

 

スコットのNBAデビューは年明け。

トーマスも、最初の2ヶ月ほどプレイしたら故障者リスト入りし、あとはシーズン終盤にフィルズが怪我するまで出番はありませんでした。

 

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【オールスター@クリーブランド】

 

このシーズンはリーグ創設50周年ということで、オールスターゲームのハーフタイムに、リーグ史に残る偉大な50人に選ばれた選手・元選手たちが一堂に会するというセレモニーがありました。

 

キャブスでプレイしたことのあるレジェンドはウォルト・フレイジャー、ネイト・サーモンド、レニー・ウィルケンスの3人でしたが、いずれもキャリアのプライムタイムを過ごしたワケではなく、地元に馴染み深い選手がいなかったのはちょっと残念でした。