牛88~89シーズン①

 

7月に椎間板ヘルニアの出術を行ったスコッティ・ピッペンは開幕に間に合わず、最初はこの布陣。

 

サム・ビンセント

マイケル・ジョーダン

ブラッド・セラーズ

ホーレス・グラント

ビル・カートライト


開幕直後は勝ったり負けたりなんですが、11月末からのロード遠征で4連敗を喫し、11月はなんと負け越してしまいます(6勝8敗)。

 

しかし、12月に入るとペースは上がり、年末にはセラーズとピッペン(11月半ばに復帰)がチェンジ。

1月にはシーズン最長の6連勝もマークし、オールスターブレイクで27勝19敗は、50勝した昨シーズンとほぼ同じでした。

 

ただ、このシーズンは他チームの勝率が高いんです。

これでディビジョン5位、カンファレンス6位なんですね(昨シーズンはディビジョン3位、カンファレンス4位)。

 

後半戦、開始直後に5連勝しますが、連勝が終わるとトーンダウン。

波に乗れないこの状況を打破すべく…なのかはわかりませんが、3月、ダグ・コリンズとジョーダンの相談により、「ジョーダンのPG起用」が始まりました。

 

このシーズンのジョーダンはパスの向上を個人的な目標として掲げており、開幕当初からアシストが多く、年明け以降は2桁アシストをマークすることもしばしばだったんですが、ここからのスタッツは本当に圧巻。

 

PG初戦となった3月11日のソニックス戦を含む最初の19試合中17試合で2桁アシストをあげ、うち11試合がなんとトリプルダブル(7試合連続を含む)☆

直後の11試合を(シーズン最長タイの6連勝を含む)9勝2敗とするなど戦績も上昇しました☆

 

因みに、コリンズは ”PGジョーダン” に合わせてローテーションもチェンジ。

新体制5試合目にはビンセントを外し、SGとしてクレイグ・ホッジスをスターターに入れました。

 

●3ピートに繋がるロールプレイヤー獲得

・12月半ば、クラウスはサンズにエド・ニーリー&89年のドラフト2巡目指名権を放出し、ホッジスを獲得。

 

ホッジスは7年目のG。

6フィート2インチ・190ポンドとSGとしては小さく、PGとしてはそのスキルに欠けますが、この当時のNBAではリーグ屈指のシューターのひとり。

クイックリリースのシュートは高精度で、3P成功率で2度リーグ首位に立っています。

 

このシーズンはサンズで出場機会が激減。

病気のお子さんがミルウォーキーにいたので、その点でもシカゴへの移籍はよかったかもです。

 

クラウスは以前からホッジスに目を付けており、昨シーズン中にも獲得の話はあったんですが、そのときはビンセントを獲得。

オフのドラフト時期にも噂はあったようですが、そのときも実現はしませんでした。

因みに、カレッジ時代にテックス・ウィンターの指導を受けています。

 

ホッジス獲得の目的は、シューターの獲得とジョーダンのミニッツ/負担軽減。

ジョーダンのミニッツはトレード時点で平均41分を超えており、フロントに補強を求めていました。

 

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”PGジョーダン”について、ドン・ネルソンは「ブルズが遂に誰もが恐れていたことをやり始めた」とし、ホッジスの起用についても「私ならもっと早くそうしていた」とコメントしました。

 

ただ、そのホッジスの負傷離脱、その他にも怪我人が出たこと、スケジュールの厳しさなどが重なったためか、4月に入って大きくスローダウン。

45勝27敗としたところから6連敗を喫し、ラスト10試合を2勝8敗と苦しみました(6連敗は5試合がロードで、2試合が対ピストンズ)。

 

最終成績は昨シーズンを下回る47勝35敗。

カンファレンス6位でプレイオフに臨みます。

 

ゲームのペースはやはり遅く、平均得点も伸びませんでしたが、シュートの精度は向上。

3PとFTが改善されました(前者はホッジスの力ですかね)。

 

ディフェンスの数字は、落ち込んだというほどは酷くなかったですが、昨シーズンの方がよかったです(例えば、失点は減ったけれど、被成功率が上がってしまったなど)。

大幅にランクダウンしたのはリバウンドですが、これはチャールズ・オークリー放出が響いてますかね。

 

【ジョーダンの相方】

 

ビンセントは、PGジョーダンが始まるまで、ほとんどの試合でスターティングGを務めましたが、出番はジョン・パクソンと分け合うかたちでした。

 

12月半ば以降はホッジスの加入もあってかミニッツが減少。

PGジョーダンが始まってホッジスがスタートするようになると、ホッジス離脱後もスタメン起用されたのはパクソンでした。

コリンズがパクソンの方を好んでいたなんて話もあるようです。

 

ビンセントは70試合中56試合がスタートで平均9.4点・4.8アシスト、パクソンは78試合中20試合がスタートで平均7.3点・3.9アシスト。

ビンセント曰く、「要するに、マイケルは僕よりも優れたPGなんだ。サブプレーヤーになるなら、ベンチから出て火花を散らさないといけないと思ったんだ」とのことです。

 

ホッジスはブルズ加入後49試合に出場し、平均10.0点・3P成功率42.3%をマーク。

3P成功率はシーズン通算で41.7%とリーグ5位の好成績でした。

意外とディフェンスも悪くありません。

 

【神様】

 

ジョーダンは81試合で平均32.5点・8.0リバウンド・8.0アシスト・2.9スティール。

3年連続の得点王に加え、スティールは3位でアシストが10位。平均40.2分プレイしたのもリーグ1位でした。

 

50点以上が5回あり、シーズンハイは53点。

オールNBA1stチーム、オール・ディフェンシブ1stチーム選出はもう平常運転ですね。

オールスターでは両チームトップタイの28点をあげています(MVPはカール・マローン)。

 

PG起用については、PGというよりは、ボールをコントロールしてプッシュする機会が増えたという感じ。

アシストは増え、例えば3月のアベレージは平均11.2本とアシスト王クラスでした。

得点は2月3月で平均30点を割っていますが、4月に33点近くまで戻しており、新システムに慣れていないだけかもです。

 

”PGジョーダン” が始まる前、コリンズは基本的にはジョーダンのプレイをコールしないものの、必ず得点が欲しい場面ではジョーダンを常に使い、それがジョーダンのフラストレーションを溜めていたという話があるんですね。

PGにすることで、フィニッシャーとしての重責を減らす意図があったのかなと想像しますがどうでしょうか。

 

ウィンターとフィル・ジャクソンはPG起用に否定的だったそうですが。