P95~96シーズン①
とてもごちゃごちゃしたシーズンです。
バーノン・マクスウェル
ジェリー・スタックハウス
リチャード・デュマス
クレアレンス・ウェザースプーン
ショーン・ブラッドリー
開幕時の主なスタメンはこの5人。
ウェザースプーン&マクスウェルが故障で数試合休んだためか、シクサーズは序盤から躓きます。
2勝2敗としたところからなんと11連敗。
8連敗(平均約20点差)を喫したところでは、大きなトレードが成立しました。
●3年待てなかったようです
ブラッドリー&グレッグ・グレアム&ティム・ペリーをネッツに放出。
見返りにデリック・コールマン&ショーン・ヒギンズ&レックス・ウォルターズを獲得しました。
これは伸び悩むブラッドリーと、トラブルメイカーのコールマンのトレード。
ブラッドリーは、”フィラデルフィアではすぐに結果を求められることが辛かった”という主旨のコメントをしていますが、ルーカスはこのシーズンを迎えるにあたって、ブラッドリーへの期待値を下げていたんだとか。
スタックハウスやマクスウェルといった得点力のある選手を加えたからか、まずリバウンドとブロックだけを求めたようです。
しかし、シーズンが始まるとホーネッツ戦×2で良い働きを見せた以外は低調。
なんとリバウンドのない試合もありました。
ジョン・ルーカスはブラッドリーのトレードを考え始めますが、興味を示したのはジャズとマブスだけで、しかも、見返りは僅か。
巨額のサラリーも不人気のひとつでした。
このトレードに至ったきっかけは、シクサーズにとって4連敗目となったネッツ戦のハーフタイム中に、オーナーのハロルド・カッツがネッツの球団社長であるマイケル・ロウと話し合ったことだそう。
ドラフト時には3年の忍耐を訴えたカッツでしたが、「我々はショーンの才能が伸びていくことを期待していたが、現段階では、それが実現されていないのは明らかだった」とコメント。
ルーカスも、「彼は成長の兆しを見せては失望させるんだ」と匙を投げたようです。
コールマンは6年目のPF。
能力は申し分なく、オールNBAチームに2度、オールスターに一度、ドリームチームⅡのメンバーにも選出されるなど、実力と実績があります。
5年契約の2年目なんですが、開幕前にはトレードを要求していました。
懸念はトラブルメイカーとしての悪評とコンディション。
態度の悪さは有名ですが、そこはネッツ編で。
後者については、このオフのトレーニング・キャンプ開始時に不整脈が見つかり、キャンプとプレシーズンは全休。
開幕後もプレイしていませんでした。
昨シーズン終了から約7ヶ月、本格的なトレーニングをしていなかったためか、トレード成立時点で30ポンドも太っていたなど、オーバーウェイトです。
ヒギンズは26歳のジャーニーマンF。
NBAではキャリア5年目、5チーム目となります。
SFとしては上背があり(6フィート9インチ)、シュートは悪くありません。
このシーズン、ネッツでは1試合も出ていませんでした。
ウォルタースはキャリア3年目のコンボガード。
昨シーズン、主力の故障もあってか活躍の場が増えましたが、このシーズンはローテーションから外れていました。
シュートが上手です。
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トレード成立から4試合目でコールマンがシクサーズ・デビュー(シーズンデビュー)。
これが連敗を止めた試合となりました。
しかし、3試合目にコールマンは右足首を捻挫して離脱。
(このシーズンのコールマンは計11試合しか出られず、プレイした試合の出来もあまりよくありません)
12月半ばにはベテランPGのスコット・スカイルズと契約を結び、ルーカスはすぐにスターティングPGとして起用。
マクスウェルをSG、スタックハウスをSFにスライドさせる新ラインナップとなりますが、成績は伸びません。
イーストではエクスパンション・チームのラプターズが健闘していたこともあり、単独最下位です。
年明けにはそのスカイルズが現役引退を表明(!)
代わりにスターターに入ったトレバー・ラフィンが予想外の活躍を見せるという嬉しい誤算もありましたが、それもまた勝利には繋がりません。
1月には9連敗、2月には7連敗…と負け続けました。
7連敗中にあったトレード期限にはまたトレードが成立。
●こちらは2年経たず…
シャロン・ライトをラプターズに出し、エド・ピンクニー&トニー・マッセンバーグを獲得。
ライトもまた伸び悩んでおり、シクサーズのフロントはその将来性を評価しながらも「成長を待つ時間はない」として、決断を下しました。
ライトは、ブラッドリーの移籍もあり、多くの試合でスターターとしてプレイ。
最初の16試合は比較的好調でしたが、左足首の捻挫や右ハムストリングの故障などの影響か、次第にトーンダウンしていました。
元々はルーカスの意向で指名した選手なんですが…
ピンクニーは、これが7チーム目となる11年目のベテランPF。
目立つ選手ではありませんが、どこのチームでもそれなりに起用されます。
マッセンバーグはシーズン最初の約2ヶ月を欠場しましたが、復帰後は平均10.1点・6.9リバウンドと自己ベストのシーズンを過ごしていました。
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これはもちろん戦力に関わるトレードではなく、この後も黒星を増やし続け、3月には8連敗。
最終的には、チーム史上ワースト2位の勝率となる18勝64敗でシーズンを終えました。
リーグ全体では、エクスパンション・チームのグリズリーズが下にいるだけ。
攻守共にほとんどのカテゴリーがリーグ下位で、平均得失点差は-10点もありました。
57点しか取れず、負けた試合もあります(2月末のヒート戦)。
移籍したグレアムは「こんなに練習しないチームは初めてだった」と振り返っています。
【スーパールーキー】
スタックハウスは72試合中71試合でスタートし、平均19.4点・1.1スティール・1.1ブロックをマーク。
FG成功率の低さ(41.4%)やTOの多さなど課題もありますが、悲惨なチームで大健闘。
右手親指の骨折で、一足早くシーズンを終えたのが残念でした。
オール・ルーキー1stチーム、ルーキーオールスターのメンバーに選ばれています。
この人が話題になったのは、シーズン中盤にホームで行われたブルズ戦と、シーズン終盤にユタで行われたジャズ戦。
スタックハウスは、夏の間にノースカロライナで行われた1対1のゲーム(ウォームアップ・セッション?)でマイケル・ジョーダンに勝ったと吹聴しており、更に、マクスウェルも「ジョーダンとピッペンは糞くらえだ」とコメントしていました。
(恐らく)格好の発憤材料をもらったジョーダンは、その試合、3Qまでで45点をマーク(計48点)。
スタックハウスのディフェンスではまったく抑えられず、自身も13点に終わりました(シクサーズは93対120で敗戦)。
後者は、ジェフ・ホーナセックにハードファウルを犯し、ホーナセックが詰め寄ってきたところを更に殴ってしまい、2試合の出場停止処分となっています。