鹿94年オフ

 

昨シーズン、リーグ全体で下から2番目だったバックスは、ドラフト・ロッタリーで1位指名権を獲得☆

バックスと同率のチームがあと2チームいたため、4位まで落ちる可能性もあったんですが、ラッキーでした。

 

バックスが指名すると予想されたのはパデュー大のグレン・ロビンソン。

再建プランに新たな柱が見えたマイク・ダンリービーは、早めに動きます。

 

【ドラフト1週間前】

 

ケン・ノーマンをホークスに出して、ロイ・ヒンソンを獲得。

 

ノーマンは期待外れでしたし、ロビンソンとポジションも重なるし、ロビンソンとの契約にお金も必要だし、理に叶った動きです。

 

ヒンソンはかつての好選手。

膝の怪我のために90~91シーズン以降プレイしておらず、事実上、引退したような状態となっていました(復帰は試みていた模様)。

来るシーズンが契約最終年で、プレイする見込みはなし。ノーマンより年俸は安いです。

 

【ドラフト当日①】

 

・1巡目第1位でロビンソン、18位でエリック・モブリーを指名。

・2巡目第46位でボション・レナードを指名。

 

ロビンソンはパデュー大出身のSF。

高校時代から地元インディアナでは有名な選手でしたが、学業成績の問題で1年次はプレイできず。

2年次にデビューするとすぐに中心選手となり、3年次には全米トップの平均30.3点に加え、11.2リバウンドの大活躍。

チームも強く、ロビンソン自身は多くのアワードを受賞しました。

 

有名な愛称の“ビッグドッグ”は、大学の守衛さんが名付け親だとか。

ロビンソンは(愛称が付いた)のちに、胸にブルドッグのタトゥーを入れています。

因みに、(確認できる限り)高校時代から背番号は13なんですが、パデュー大史上ではジョン・ウッデンがつけていた背番号でもあります。

 

モブリーは6フィート11インチ・235ポンドのC。

ピッツバーグ大出身で、インサイドでアグレッシブに動く選手。ブロックショットが得意です。

元々、ダンリービーはCが欲しいと思っていたようなので(昨シーズンのラインナップから察しは付きますが)、1巡目でCを取れたのは狙い通りでしょうか。

 

レナードはミネソタ大出身のシューター。

開幕ロスターには残れませんが、のちにNBAで活躍します。

 

【ドラフト当日②】

 

ブルー・エドワーズ&デレック・ストロングをセルティックスに出して、エド・ピンクニー&アンドレイ・フェティソフの権利を獲得。

 

これもロビンソン指名を受けてますかね。

ダンリービーは動くのが早いです。

 

ピンクニーはキャリア9年のPF。ここ5シーズンほどはセルティックスにいました。

PFとしてはやや小柄。起点となるタイプではなく、スタッツは地味ですが、よく走り、FTも高確率です。

 

フェティソフはドラフト2巡目でセルティックスに指名されたばかりのロシア人ビッグマン。

バックスとは契約せず、NBAでもプレイはしません。

 

【FAではベテランを】

 

①マーティー・コンロンと契約。

②アーロン・ウィリアムス、アルトン・リスターと契約。

ジョニー・ニューマン、ダニー・ヤングと契約。

 

コンロンはキャリア3年の白人ビッグマン(6フィート10インチ)。

バックスが早くも5チーム目になります。

 

ウィリアムスは6フィート9インチのビッグマン。

昨シーズン、ジャズでNBAデビューしましたが、在籍したのは1ヶ月ほど。CBAとイタリアでもプレイしました。

 

かつてバックスにいたリスターは、一昨シーズン終盤にウォリアーズを解雇されてからNBAを離れており(昨シーズンはイタリアでプレイ)、ひさびさの復帰。

36歳の大ベテランになりました。

 

ニューマンはキャリア8年のスウィングマン。

シュートが上手く、テンポの速いゲーム向き。3番手、4番手の得点源としては◎です。

 

ヤングは32歳のPG。

昨シーズンはフランスにいましたが、NBAではその前に9シーズンプレイしています。

プレシーズンの初戦でエリック・マードックが右目を負傷し、開幕から1ヶ月ほど出られなくなったためかと思われます。

 

【契約問題】

 

ロビンソンとの交渉は難航。

 

バックスのオファーは9年間6000万ドルほどで、一方、ロビンソン側の要求は12年以上の契約で1億ドル。

 

エージェント曰く、“6年以内にまた契約交渉をしたくない”ということらしいんですが、“史上初の1億ドルプレイヤーになりたいのでは?”という噂もあったとか。

いずれにしても、前代未聞の要求だったことは確かです。

 

そして、バックスのオーナー、ハーブ・コールはロビンソンの要求に応える気がありませんでした。

 

しかも、コールにとっては来るシーズンの開幕直後(11月8日)に選挙を控えた大事な時期。

コールはウィスコンシン州の上院選挙で再選(二期目)を狙っており、ロビンソンの件が選挙活動に悪影響を及ぼすと考えたか、バックスは珍しい行動に出ます。

 

94年10月17日、バックスは会見を開き、なんとロビンソンとの交渉状況を公表!

NBAのチームがこうした会見を行うのは極めて異例。これによってロビンソンにはネガティブなイメージが付いてしまいます(世間が1億ドルの件を知ったのはこのとき)。

 

有権者やファンに(お金をケチっているわけではない)アピールをしたかった?とか、契約交渉を終わらせるために強攻策に出た?とか、その目的は定かではありませんが、ロビンソン側はもちろん怒りました。

 

この当時はまだルーキー・キャップもなく、契約交渉に特に制限はなし。

指名された選手が1年間我慢すればその指名はなかったことになり、翌年のドラフトに再エントリーできます。

はたして。

 

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因みに、プレシーズン初戦でエリック・マードックが右目の角膜を損傷。

約6週間の離脱となり、開幕には間に合いません。