☆93年オフ①

 

昨シーズン、ギリギリのところでプレイオフを逃したマジック。

ドラフトのロッタリーで、66個のピンポン玉の中に当たりは1個しかありませんでした(確率1.52%)。

 

でも、それを引き当ててしまうんですね。

 

【まずドラフト数時間前】

 

マット・グーカスがHCから退き、ACのブライアン・ヒルが新HCに就任しました。

グーカスのHCとしての契約は2年残っていましたが、フロント入り。1年以上前から、最終的には経営に携わりたいと考えていたそうです。

 

これはサプライズ人事だったようで、“事実上の解任なのでは?”と疑う人たちもいたとか。

 

昨シーズン終了直後、フロントがリック・ピティーノにアプローチしていたという噂や、ニック・アンダーソンシャックがグーカスに対してネガティブなことを語っていたという話があったりします。

(アンダーソンは昨シーズン終了後に“新しいHCが必要”と話し、シャックは昨シーズン中、“俺たちはマッティを追い出してブライアンを連れてくる”と言っていたとか。※双方ともに否定)

 

ヒルは、80年代後半にホークスでマイク・フラテロのACを務める前は、高校や大学で指導をしていました。

NBAでの選手経験はありません。

選手たちからの人気もそれなりにあった模様。

今回は3年契約です。

 

ACにはボブ・ヒル、トゥリー・ロリンズが加入。

ヒルは、ここ4シーズン、ペイサーズのHCを務めており、5月に解任されたばかりでした(マジックを交わしてプレイオフに進んだんですが…)。

 

37歳のロリンズは、ブロックショットの得意なCとして77~78シーズンから昨シーズンまでプレイ。

ホークス在籍時にヒルHCがACを務めていた期間があり、今回はその縁です(以前にもコーチ転向を薦めていたそう)。

期待されるのは、シャックのメンターとしての働きです。

 

【そしてドラフト】

 

1巡目第1位でミシガン大のクリス・ウェバーを指名し、ウォリアーズに放出(!)。

見返りにウォリアーズが3位で指名したアンファニー・ハーダウェイ&96年のドラフト1巡目指名権&00年のドラフト1巡目指名権を獲得しました。

 

通称“ペニー”は6フィート7インチ・195ポンドの大型PG。

メンフィス生まれで、メンフィス大(当時はメンフィス州立大)に進学。

1年次は学業不振のためにプレイできませんでしたが、2年になるとすぐスターに。

3年次にはNCAAでは珍しいトリプルダブルを2回も達成するなど活躍し、シーズン終了後にアーリー・エントリーを決断しました。

 

線は細いんですが身体能力が高く、得点とアシストだけでなく、リバウンドやブロックもこなせるオールラウンダー。

アリーナがどよめくようなダンクや鮮やかなノールックパスを見せることもあります。

アウトサイド・シュートも上手です。

 

92年の夏に行われたドリーム・チームⅠvs学生選抜の練習試合が行われ、学生選抜が勝ってしまったのは有名な話ですが、この試合でペニーを見たマジック・ジョンソンが“鏡に映っている自分を見ているかのようだ”と評したのも有名ですかね。

 

マジックがペニー獲得に至ったのは、映画『ブルーチップス』の撮影がきっかけ。

シャックとペニーはこの映画に出演しており、二人は撮影を通して親しくなったんですね(この作品にはボブ・クージーなど、他にもバスケ関係者が出演しています)。

 

シャックはペニー獲得をフロントに進言し、ペニーはマジックのワークアウトで“シャックと一緒にプレイしたい”という想いをアピール。

フロントはウェバーを獲得するつもりでしたが、ドラフト2日前に行われたshirts-skins game(ワークアウトの一種?)でのペニーを見て、トレードを決めたようです。

 

ファンはウェバー獲得を期待していたようで(そりゃそうですよね)、この動きに対して批判的だったとか。

ちなみに、ドラフト前には“1位指名権+ブライアン・ウィリアムスで、3位指名権+タイロン・ヒルをもらう”というアイデアもあったようです。

 

懸念は、学業成績の悪さ(めちゃ悪かったらしい)と、1年生のときに強盗に撃たれ、足を骨折したこと(強盗が発砲した弾が跳ね返って足に当たり、弾は取り出すことが出来なかったそう)。

 

1巡目第26位ではLSUのガート・ハミンクを指名。

この人はオランダ出身の7フッター(262ポンド)で、マジックがLSUのCを指名したのはこれで3年連続。

カレッジではシャックのバックアップを務めていた時期もあり、最初の代理人はデイル・ブラウンです。

 

マジックにとっては、ペニーとサラリーキャップ内で契約することが最優先。

そのため、この26位指名権の使い途については、ヒートに放出する(将来の指名権と交換で)、もしくはレックス・ウォルターズが残っていたら指名したかった…と消極的。

パット・ウィリアムスは、指名後に1年か2年、ヨーロッパで経験を積んで欲しい旨のコメントをしています。

 

しかし、ハミンクはNBAを望み、交渉は難航。

ブラウンのアドバイスでサマーリーグでプレイしますが、マジックからのオファーは来ません。

ここでハミンクは代理人を替え、イタリアのチームと契約を結ぶのでした。

この人もちょこっとだけ『ブルーチップス』に出ています。