王98年オフ①

 

昨プレイオフ真っ只中の5月14日、キングスはいち早くトレードを成立させました。

 

【ビッグ・トレード】

 

ミッチ・リッチモンドオーティス・ソープをウィザーズに出して、見返りにクリス・ウェバーを獲得。

 

噂に上がり続けたリッチモンドが遂にチームを去りました。

トレード先の候補でよく名前が出ていたのはレイカーズなどの強豪なんですが(ウィザーズはあと一歩でプレイオフに出られなかったチーム)、リッチモンドはこの移籍を喜んだようです。

 

ウェバーは、オールラウンドなスキルを持ったキャリア5年のPF(6フィート10インチ)。

ウィザーズでの4シーズンでは、平均20.9点・9.7リバウンド・4.4アシスト・1.6スティール・1.7ブロックをマークしており、オールスターにも一度出場しています。

 

ただ、マリファナの不法所持で逮捕されたり、女性への暴行疑惑が出たり…とオフコートのトラブルが多く、ウィザーズのフロントはそこに愛想を尽かしたとも言われました(ウェス・アンセルドも否定していません)。

トレード前、ウェバーは、自分がいいリーダーではなかったことを認めた上で「ワシントンにいたい」と変わろうとしていたようですが、このトレード後も、8月のプロモーション・ツアー中、プエルトリコで荷物に大麻を所持していたとして罰金を科されています。

 

【ドラフトは弱点のPGへ】

 

1巡目第7位でジェイソン・ウィリアムス、2巡目第36位でジェローム・ジェームスを指名。

 

ウィリアムスは6フィート1インチ・180ポンドのPG。

ハンドリングが素晴らしく、シュートが上手く、爆発力のある選手です。

カレッジ時代は、3Pラインのだいぶ後ろからでも難なく3Pを沈めていたので、NBAの距離は問題なさそう。

スピードと跳躍力もあり、ドライブも可能です。

 

その才能はジェリー・ウェストも認めるほどでしたが、トラブルメイカーとしても有名で、「ウィリアムスの指名はリスキー」と考えるチームも少なくはありませんでした。

 

元々プロビデンス大に行くと公約していたんですが、同大のリック・バーンズというHCが去ったためにマーシャル大へと心変わり。

このため、94~95シーズンはNCAAの規定によってプレイすることが出来ず、デビューは95~96シーズンとなりました。

 

しかし、その後、96年にビリー・ドノバンがフロリダ大のHCに就任すると、それを追ってフロリダ大へ編入。

このため、2年生のシーズンに当たる96~97シーズンもプレイすることが出来ませんでした。

97~98シーズンにフロリダ大デビューしますが、今度はシーズン中にマリファナの使用(少なくとも2回)で出場停止処分を食らい、最終的にはチームを去っています。

(ドノバンは「練習や試合で受け入れがたい態度だった」と話しており、原因はドラッグだけではなさそう)

 

難点は、上記のような素行面とカレッジでの経験不足、ディフェンス、ときどきコントロールを失う傾向がある…といったところ。

 

ジェームスはフロリダA&M出身のC。

7フィート1インチ・300ポンドという体格が魅力で、昨シーズンはNCAAディビジョンⅠのブロック王でした。

 

少々変わった経歴の持ち主で、通っていたクリスチャン・アカデミー(卒業すると高校卒業資格が得られます※学校によっては得られないこともあるとか)にスポーツ・プログラムがなく、卒業後はトラックの運転手などで働いていました。

 

プロバスケットへの道が拓けたのは、ジェームスの母の友人がコミュニティ・センターでプレイしていたジェームスを見てフロリダA&Mのコーチに連絡を取ったから。

同大のロン・ブラウンはジェームスのプレイを見て、すぐに奨学金をオファーしたようです。

 

先述のようにブロックが武器で、カレッジ時代は2,3年生のときもカンファレンスのブロック王でした(1年生のときはNCAAの規定でプレイできず)。

得点やリバウンドでも結果を残していますが、こちらはカンファレンスのレベルを考慮すると太鼓判を押せるほどではなさそう。

シュートエリアは狭く、FTも苦手です(カレッジ3年間の通算成功率は53%ほど)。

全力でコートを走らないなど、態度への懸念も指摘されていました。

 

【ロックアウト中にHC解任】

 

この夏は98年7月1日からロックアウトに突入。

本来10月末~11月頭に開幕するNBAは無期限の開幕延期となり、ロックアウトが解除されるまで、各チームは選手のトレードもFAとの契約も出来ません。

 

ただ、コーチの人事を行うことは出来ます。

8月半ば、フロントはエディ・ジョーダンを解任しました。

 

ジョーダン「まるでウェイブ(解雇)されたような気分だ」「正直、自分が何を感じているのか分からない。こんな経験は初めてだからね。つらいよ。いつかこういう日が来るとはわかっていたけれど、それが今日だとは思っていなかった」とコメント。

これは、managing general partnerのジム・トーマスの意向だったようで、トーマスはジョーダンにコンサルタント職を提示しています。

 

ちなみに、ACのマイク・ブラッツも解任。

ラルフ・ルイスには、ドラフト前の時点で契約更改されないことが伝えられていました。

 

【ロックアウト中に新HC招聘】

 

その約1ヶ月後、リック・アデルマンが新HCに就任しました。

 

これまでにブレイザーズで6シーズン(88~94年)、ウォリアーズで2シーズン(95~97年)指揮を執っており、通算成績は357勝252敗。

ウォリアーズでは結果を出せず、97年オフに契約を2年残した状態で解任されましたが、ブレイザーズでは2度ファイナルに導いています。

 

エグゼクティブのジェフ・ピートリーとは現役時代にブレイザーズでチームメイトだったことがあり、更にアデルマンがブレイザーズのHCを務めていたときにピートリーがフロントにいた時期もあります。

ピートリーは、「彼の指導力や人間性について、まったく不安はない」「リックの成績は、コミュニティ・カレッジ時代の新人コーチだった頃にさかのぼっても、勝敗の面でNBAにいるどの候補者よりも優れているよ」と信頼を寄せます。

 

ちなみに、アデルマンはポートランド州立大学のコーチ職の候補にも挙がっており、また、キングスはポール・サイラスもHC候補として検討していたようです。

 

ACにはバイロン・スコット、ジョン・ウェッツェルを招聘(ピート・キャリルは残っています)。

 

スコットは、ギリシャで現役最後のシーズンを過ごしたばかりで、これがNBAでの初コーチ業。

ウェッツェルは79年からNBAでACを務めており(HCは1シーズンだけ)、アデルマンのスタッフには必ずスタッフに入っているベテランです。