椿式韓方ダイエット 

 

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肥満を個々の身体的特徴と引き離して考え、体重を減らすことだけを目的として治療を行うのが西洋医学的な減量方法です。

この方法は言い換えれば、薬物の毒作用を利用して体重を落とすやり方で、治療の後に身体の状態を以前よりむしろ悪くしてしまい、リバウンド(治療前より体重を増加させてしまう結果)を導きやすいという問題点があります。

リバウンドは、治療後の管理を怠ったから起こるのではなく、誤った減量により身体の状態がもっと悪化してしまったことを示すサインなのです。



肥満は、私たちの身体内の不均衡により恒常性が崩れることで起こります。つまり、不健康を示す一つの兆候であって、逆にいうと健康を取り戻す治療を受ければ肥満は自然と解消されるはずなのです。

ですから、肥満治療の過程では必ず、体調が回復していく現象が実感としてともなわなくてはなりません。

疲れがとれて元気が出てくる、頭がすっきりして爽快感が出る、トイレ後のすっきり感があり浮腫みがとれる、胃腸が楽になる、冷え性が改善される、熟睡できるようになる等の実感です。

また、その他の症状や疾病があるならば、当然それらも、並行して改善されなければなりません。


一般的な考えでは、数字の上でのキロ数を減らすことが肥満治療の目標になりやすいでしょう。

ですが実際には、“健康を回復させる”方向に焦点を当わせなければなりません。

健康度を増すにつれて、体重は自然と正常な値に向かっていくからです。

 

肥満治療中でしたら、自身の健康がどれだけ改善されているのかを確認すること、肥満治療を計画中の段階でしたら、ポイントを健康回復に置くという発想を持ってください。

過体重を身体と引き離して独立したものと考えないでください。

私たちの身体が調節能力を失った瞬間から、刻々と作り出した結果の体重超過であることを肝に銘じなければなりません。

高血圧、糖尿、低体温、過・低体重等は、全てこのように、私たちの身体の自律的な調節能力が崩れた結果なのです。


数多くの誤った生活習慣と、(過労・精神的疲労・環境汚染等)外部環境の悪条件が、持続的に私たちの身体の恒常性にストレスを与えています。

そのストレスが積もり積もって、調節能力が低下し、肥満となって現れます。

ですから肥満治療では当然のこと、弱まった調節能力をいち早く回復させながら、正しい生活習慣を養い、外部環境をからのストレスが恒常性に損傷を与えることを遮断する努力をしなくてはなりません。

そういった努力を積み重ねていくことで、体重は徐々に減っていくのです。

体重減少の速度が重要なのではなく、健康を回復しながら体重減少を導くことが大切です。

 

 

<食事活動量ストレス管理

 

1)食事:食カロリを制限しましょう

端的にいって、【エネルギー摂取量>エネルギー消費量】の状態が肥満です。

ですから、ダイエットを決心したら、摂取エネルギーをある程度制限することは必須条件です。

かといって絶食に近いほど食べないでいると、腸の活動性が低くなる上に、自律神経のバランスも崩れてしまうので、結局のところダイエットには逆効果となります。

絶食よりは小食することが望ましいのです。

 

毎日規則的に(できるだけ同じ時間に)、分量をこれまでの7~8割に減らして食事をなさってみてください。

内容面では、炭水化物と飽和脂肪酸の摂取を減らし、間食と夜食は禁物です。

平行して、ウォーキングなど<有酸素運動+筋肉を使用する運動>を週3回以上続けていくと効果的です。


 

自律神経の安定を維持しながら、できるだけ早くダイエットの結果を出したいのであれば、昼の一食だけを通常食とし、朝夕の食事で摂取カロリーを大幅に下げるとよいでしょう。

たとえば、朝夕は水分とヨーグルト程度に留めるか、それで物足りなければ野菜やフルーツを少々付け加えるくらいに抑えます。

この方法のメリットは、胃結腸反射を誘発して副交感神経を刺激することで自律神経を安定させられる点と、乳酸菌により腸内環境を改善できる点です。

また昼食として普段通りの食事をとりますので、ストレスをためないで継続しやすいといえるでしょう。

 

三食ごとに充分な食事量を必要としていた過去と比べて、現代の生活環境は大きく異なっています。

まず活動(エネルギー消費)量が減りましたし、野外で寒さに耐える時間もなくなりました。

その反面、食べ物が溢れ返っている上に、高カロリーな食材料が増えて、同じ嵩でも熱量の高い食事をするようになりました。

現代の環境条件では、1日1回の食事(昼食)と2回の軽食(朝夕)で充分なのです。

 

ところで、ストレスが多かったり胃腸に問題がある場合には、小食することが困難になります。

自己コントロールができないところで、どうしてもつまみ食いの回数が増え、頻繁に食べ物を口にするようになるからです。

このような方々は少量ずつ頻繁に食べる習慣があるので、肝心の食事どきにはたくさん食べられません。

それで、「自分はあまり食べない方だ」と勘違いしてしまうこともよくあります。

 

韓方薬で「食欲を抑制する」というのは、食欲を奪って食べられなくさせるのではなく、小食できる力を養ってあげることをいいます。

具体的には①睡眠の量と質を改善する、②ストレスを解く、③胃腸機能を回復させる、などの方法をとります。

③の胃腸機能を回復させると、食欲が亢進し消化吸収力もアップして、ダイエットに逆効果のように思えるかも知れません。

ですが、過食傾向にある大部分の肥満患者たちは、胃腸に内熱が異常に鬱滞していて、常に食べ物を注入させたくなる衝動が起きるのです。

そこで胃腸の内熱を冷まして機能を回復させることにより、「空腹の不快感」に耐えられるようになります。

食欲をコントロールする力をつけることに加えて、毒素を除去すること(解毒)もたいへん重要です。

毒素は、合成物質や重金属、汚染物質、精製加工された食品、変成した油脂などのかたちでからだに入り込んできます。

毒素が体内に蓄積されると、それを中和させる緩和材が必要になるのですが、実はその役割をするのが脂肪なのです。

つまり、毒素が体に入ってくると、同じ量だけ脂肪が増え、体重増加・肥満へとつながるので、「毒をできる限り入れない、入ってきた毒は出す」ことが重要です。

 

毒素はまた、体温を下げてしまうという特性があります。

解毒をすると、腸内の深部の温度が高まり、代謝が促進され、肥満治療がしやすくなります。

 

毒素が多いことを示す指標として、便秘や浮腫の有無がありますので、これらを解消することが肥満治療の効果的な方法の一つとなります。

 

2)活動量:運動に積極的に取り組みましょう。
単純明快な肥満の定義は、「食べる量に比して運動が不足した、カロリー過剰現象」です。

陰的な要素が多い体質の方は、一般的に体を動かすことを嫌がりますが、こういう方こそ積極的に体を動かすことをお勧めします。

 

自律神経のうちで、交感神経が身体の活動性を主管するのですが、この交感神経が低下している方は、平常時のネルギー代謝量が少ない状態にあって、太りやすくせにくくなっています。

交感神経を高める一番の方法は、「運動」を通して心拍数を増やすことです。

運動することで過剰なカロリーを消費できる上に、交感神経を活発にして基礎代謝量を増やすことができる─いいことづくめですね。

ただし、すでに過体重要注意の方は、体重が関節に過度な負荷をかけないよう、膝や腰に無理がかからない運動の種類と量を選んで、加減しながら習慣的に運動するようにしてください。



 

また別の例では、交感神経・副交感神経に関わらず自律神経全体の活性度の落ちている体質も、ときどき見受けられます。

具体的には、「太っているのに虚弱、少し動いても汗をびっしょりかく」タイプの方がこれに当てはまります。

こんな場合にまず配慮するべきことは、一日の中での自律神経のリズムに合わせた、規則的な生活をすることです。

つまり、日の出・日の入りに沿った起床と就寝、日中は体を動かして活動的に、夕方から夜間にかけては外出・過食・刺激的な余暇活動などを控えてリラックスした時間を過ごすことが重要です。

 

3)ストレス:ストレスコントロルできるようになりましょう。

絶えずストレスに曝されていて、慢性的に自律神経が不安定な状態になっている方の場合、交感神経の緊張を解くために無意識的に甘いもの中心の間食を取ってしまう傾向があります。

そのうち多くは睡眠の質も低下していて、眠ることで解消されるはずの疲労やストレスがたまり続けます。

それで疲労を解消する手段として、食べることに依存してしまうのです。


 

当てはまると思ったら、

☆呼吸のテンポを遅くして、ゆっくりと吸って吐いてを繰り返してください。

☆充分な量で、深く眠れるように配慮して下さい。

☆自身を困憊させるストレスのおおもとがなにかを認識して、それを直視してください。

 それがむしろ、回避するなり心を寛げて対処するなりして、ストレスから距離を置く近道になるからです。

 

 

 

✾✾✾ 許浚先生の"心"の治療 ✾✾✾

 



 肥満症に悩む王が、許浚先生(李氏朝鮮時代の医学者)に請いました。

「痩せられる秘訣を教えてほしい」

食事の量を減らし、適度に体を動かすことは、今も昔も変らない大原則です。

ですが許浚先生はそれに加えて、「傲りの心を捨てる」ことを付け加えられました。

傲りの心が肥満につながるとは、いったいどういうことでしょう?

栄養素やカロリーの、口に入っていく分と消費分とのバランスだけが体重を決定する、と考える現代にあって、たいへん不思議な忠言に聞こえます。


 そもそも傲りの心とは何でしょう?

それは、"すべての基準が自分寄りに傾いている考え方の姿勢"です。

「自分が正しい」「自分は秀(ひい)でていて有能だ」「自分は生まれ育ちも良く実力まで兼ね備えている」「一人占めしたい」等々。

このような思いが、王という身分に裏打されたとき、自己顕示欲や利己心、欲望は溢れ返り、水溜まりに濁った泥水がたまっていくように、心のなかにいっぱいにたまっていったことでしょう。


 自尊の気持ちと自信感は大切です。

ですからそれを、健全な方式で、つまり人と知識や能力、富を共有する方向に使ってください。

いつも人とのかかわり合いの中で、「共に生きる」という考えのもとに、相手の立場を思いやりながら慎重に考え、行動することを心懸がけてください。

 肥満治療で難しいのは、この「心懸け」の重要さが伝わりにくい点だと思います。

情熱そのものは美しいが、ヒートアップしすぎると高血圧や脳溢血につながるように、自尊心が過ぎて傲りの要素を帯びると肥満につながる可能性もあるということに、気付いていただければと思います。

 

許浚先生の逸話にはまた、このようなお話があります。

 

ある男が、妻に子が授からないみを相談しにました。

先生は婦人の脈を取ってみると、「40日のうちに命が絶える相が出ているから、子を生み育てるのははじめから諦めた方が良い」と告げたのです。

それを聞いた婦人の恐れ不安感は想像に余りあります。

婦人はその後40日間、食べ物もみ物も一切受け付けられず、塞ぎんでしまいました。

ところが、宣告された40日を過ぎても、食べずにいて弱りはしたけれども女性の命には別問題がありませんでした。

そこで、夫の方が許浚先生に「誤診で驚かせられた」とただしに言ったところ、先生はこうおっしゃったということです。

 

「死ぬような態でないことは、私も分かっていました。ところで吉報ですが、ご婦人は今後妊娠が可能になりましたよ。」

男は狐につままれた思いです。

「あなたのご婦人は太りすぎていました。それがまさに妊娠の障害だったのです。私の判では、死への恐怖以外には、ご婦人を食欲と切り放せないことが分かりました。極端な方法でしたが、そのおかげで今、不妊治療は終わったも同然です。