韓国で行う出生前診断について | 韓国で医師やってます

韓国で医師やってます

日本生まれ、日本育ちの私が、韓国で医学部に入学&卒業!現在は韓国の大学病院で産婦人科教授をしています^^
医大卒業後、非医療人の韓国人夫と結婚し、今では2児(息子•娘)の母です♡
ブログでは韓国での大学•病院生活、結婚•育児生活、趣味のアニメについて綴っています^^

いつかまとめてみたいなと思いながらも

あまりにも複雑過ぎて書けなかった内容ですが

チョット頑張って書いてみる事にしましたメモ

複雑で長いので興味の無い方は時間を無駄にしないで下さ~い笑い泣き

 

出生前診断...

韓国では全ての妊婦さんに行う必須の検査ですが

やらないという選択もあるのでしょうが

今の所「やらない選択」をした妊婦さんはいませんでした。

種類がいくつかありますが

産婦人科で「NIPTが一番正確だしNIPTします?」と勧められて

「それならそれで…」って感じでNIPTをする夫婦も多いんじゃないかと思います。

 

韓国で行う出生前診断検査は

大きく分けて3つじゃないかと思います。

 

1. Integrated テスト

2. Sequential テスト

3. NIPT 

 

ではまずIntegrated テストSequential テストから…

英語が難しいですがこれは別名

『母体血清マーカーテスト』です。

この検査では

ダウン症候群、エドワード症候群、神経管形成異常

3つの代表的な遺伝子疾患+奇形についてのスクリーニング検査が出来ます。

11~13週位に行う1次奇形児検査

16~18週位に行う2次奇形児検査...

この2つの結果を合わせて判断します。

 

1次奇形児検査では

超音波で赤ちゃんの首の後ろ当たりのむくみ=NT(Nuchal translucency)の厚さを測定します。

NTの厚さが3mm以上だと異常がある可能性が大きくなります。

(これはNIPTをしても勿論図ります。)

そして血液検査で母体血清マーカーを測定します。

Integratedの場合、母体血清マーカーはPAPP-A値 1つ

Sequentialの場合、母体血清マーカーはPAPP-P、hCG値 2つを測定します。(=ダブルマーカーテスト)

2次奇形児検査では

血液検査で母体血清マーカーであるAFP, uE3, hCG, InhibinAの4つの値を計測します。(クアトロテスト)

この時Integrated テストの場合、1次と2次奇形児検査、どちらか一つでも欠けてしまうと結果が出ません。

結果は2次を終えた後に出るので、結果確認が遅くなる(2次を行って1~2週間後)という大きな欠点があります。

結果が高リスクだった場合、精密超音波や羊水検査で確定診断を行います。


Sequential テストの場合、1次の後に中間結果が確認出来、

1次の結果が低リスクの場合、そのまま2次奇形児検査を行い最終結果を確認。

1次の結果が高リスクの場合は

チョット早めの精密超音波や絨毛検査、またはNIPTを勧めたりします。

パッと見、1次の結果で何かしら早めに確認出来るsequentialの方がよさそうですが

病院によって二つの内どちらかしか扱っていないので

この二つの内、どちらかを妊婦さんが選択する事は出来ません

 

母体血清マーカーで何が分かるんだい?と思いますが

妊娠中は赤ちゃんや胎盤などから作られるタンパク質がお母さんの血流に混ざっているんですが

それが疾患ごとにより少しずつ濃度が異なるみたいで

そこから推定するみたいです。

うちの大学病院ではIntegrated テストを行っていますが

診療費を除いた1次奇形児検査の費用は精密超音波 約3万5千ウォン

血液検査 約4万5千ウォン

2次奇形児検査の血液検査 約2万ウォンでした。

(病院によって値段に違いがあるかもしれません。)

 

私が娘を妊娠した時の実際の検査結果です下矢印

特にハイリスク妊娠でもなかったのでIntegrated テストにしました。

1次の結果はこの様に、PAPP-Aの数値と

2次の後に結果が出ますとしか書いてありません。

そしてこれが2次の結果下矢印
「ダウン症候群、エドワード症候群、神経管形成異常のリスクは低リスク」
とまー結果はとてもシンプルに書いてあります。
 
母体血清マーカーテストを行う場合は
1次、2次どちらも同じ病院で行って下さい。
でなきゃ折角検査をしても最終結果が出ないし
結局NIPTをする羽目になるかもしれません。
後、妊娠を中期になって気付いた方は
2次奇形児検査のクアトロテストだけを行うか
NIPTをするかのどちらかになります。
 
では次、NIPTニコニコ
ダウン症候群に対する感度が99%で有名ですよね。
感度99%という意味についてですが
「高リスクと出た場合、赤ちゃんがダウン症候群である確率が99%」という意味ではなく
「低リスクと出た場合、その疾患がある可能性が極めて低い」という意味になります。
なのでNIPTで高リスクと出た場合も確定診断にはならず
精密超音波、絨毛検査、羊水検査などで確定診断をする必要があります
方法は同じく血液検査なんですが
お母さんの血液内に混ざっている赤ちゃんまたは胎盤由来のDNAの断片を分析する事で
色々な疾患に関するリスクを検知できるらしいです。
なので胎盤の問題でも高リスクと出る場合もあります。
上で説明した2つの検査でスクリーニング出来る疾患は3つなのに対してNIPTはレアな疾患までこんなに沢山下矢印
ただ神経管形成異常が含まれて無いので
結局追加で15~16週以降に
AFP数値だけ確認する血液検査をもう1度行う必要があります。
メリットは
-スクリーニング出来る疾患が多い
-10週以降から行える(韓国では遅くても24週までなら可能)ので早めに結果が知れる
-今現在出来る出生前診断の中で一番正確なスクリーニング検査
-アメリカや日本では性別もNIPTで初期にほぼ確実に知る事が出来るびっくり(韓国ではバツブルー)
ただ欠点は高額な事なんですよね。
40万ウォン~60万ウォン位でしょうか。
それでも15~20万位する日本の約1/5位の値段なので
韓国では何のリスクもない若い妊婦さんも結果を早く知れて
一番エラーが少ないNIPTを選ぶ事が多いです。
実際私も仕事をしながら
基本のスクリーニング検査を行い
低リスクの結果を見て安心してたけど
20週以降の精密超音波で異常が発見され
羊水検査をしてとてもレアな疾患を診断された妊婦さんを数名見たので
NIPTを行って欲しいと思う気持ちはあります。

NIPTはあまり早過ぎる週数に行うと
DNA断片の量が少な過ぎて
再採血になる可能性があるので
私は12週位に行う様にしています。

そしてこれもまた私が娘を妊娠した時に行った
NIPTの検査結果です下矢印
なんで Integratedテストもしたし低リスクだったのに
NIPTをやったのか......ショボーン
私、妊娠23週の頃に研修病院を仁川から江南の病院に移動して
そのまま江南の病院で出産しようと新しい教授に挨拶に行ったら
「NIPTやっといてねウインク」と言われ半強制でやらされましたえーん
自分のお金じゃないからってチクショー物申す
ちなみにうちの病院でのNIPTの値段は約40万ウォン(保険x)でしたが
職員割引が大幅に利いて半額位で出来ました。
 
下矢印は私が論文から持ってきた検査別ダウン症候群に対する感度ですが
論文によって少しずつ差があるので参考にだけ。
10万ウォン位で出来る母体血清マーカーも案外感度高いですよねニコニコ
しかしこの数値は胎妊娠の場合だけ
多胎児の場合の正確度は未だに未確定です。
それでも双子の場合の出生前診断は今の所、NIPTが一番勧められてはいます。
 
最後に話が少しずれますが
妊娠中の超音波の値段が高かったり安かったりしるのが気になる方がいらっしゃるかも?と思ったので添付します下矢印
韓国では2回の精密超音波を含めたトータル7回だけが保険がきき残りは保険がききません立ち上がる
 
以上、슬기로운(賢い) 妊婦生活の為の雑知識でした笑い泣き
これ以上の細かい事は私もあまり分からないので
難しい質問はご遠慮お願いしますラブラブ