胎児死亡の原因は正直に話すべきなのか | 韓国で医師やってます

韓国で医師やってます

日本生まれ、日本育ちの私が、韓国で医学部に入学&卒業!現在は韓国の大学病院で産婦人科助教授をしています^^
医大卒業後、非医療人の韓国人夫と結婚し、今では2児(息子•娘)の母です♡
ブログでは韓国での大学•病院生活、結婚•育児生活、趣味のアニメについて綴っています^^

こんにちは晴れ

今週末は朝早くからカンナムで健康診断を受けて来ました。

勤務先の病院でも出来ますが

夫が会社経由で勝手に予約してくれてました笑い泣き

普段病院で働いていながら健康診断を受けた事がなかったので

これを機に定期的に健康診断を受けなきゃなと反省しましたショボーン


1月最初の1週間は私がフェローを始めて以来

一番忙しかった1週間でした台風

出産が普段の3倍!?はあった気がしますチーン

さすが年始ガーン

平和な出産もあれば

コロナの防護服を着て汗だくになりながら行った出産もあれば

あと5分到着が遅れてたら救急車の中で産まれてただろうなという出産もあれば

緊急手術をしていなかったら亡くなっていたかも...と思う妊婦さんまで。

やはり妊娠、出産は怖いですえーん


そして毎回どうすべきか悩む出来事が

死産を経験したお母さんに胎児死亡の原因を話すべきか...

という事。

胎児死亡には原因が見付からないケースも多いですが

見当がつく場合もあります。

代表的な原因は首や体にへその緒が何周も絡まっていたり

へその緒に結び目が出来ている事です。



絡まっていたり結び目があるからといって

必ず胎児死亡に繋がるわけではあるませんが

リスクが上昇します。

赤ちゃんがお腹の中で沢山動いたり

へその緒が長過ぎたりすると

臍帯巻絡が起こりやすくなります。

絡まった状態で赤ちゃんが自分の足や手でへその緒をもっと引っ張ってしまうと

赤ちゃんに送られる酸素の量が減り

自分で自分の首を締める状態になってしまいます。

超音波で絡みが発見出来たとしても

それが緊急手術の適応にはなりません。

実際絡まったままでも元気に産まれる赤ちゃんは沢山います。

今回転院されたのは35週の胎児死亡のお母さん。

産まれた赤ちゃんは体に3周、足に1周の臍帯巻絡がありました。

お父さんにはこの事をお話ししましたが

「妻には話さないで欲しい。」と言われ

お母さんには「特に原因は見付かりませんでした。」

と嘘をつきました。

今までも説明をする度にすごく悩みましたが

正直私も言わない方がいいのではないかと思っています。

原因を知ったからと言って

気持ちが軽くなるわけでもなく

次の妊娠時に特に何か予防出来るわけでもなく

寧ろその事に執着してノイローゼになるのでは...と思いました。


産まれた赤ちゃんの顔を見る事が出来ない両親から

「退院時に着せてあげたかった服を私達の代わりに着せて頂けますか?」とお願いされ

ブカブカな綺麗なお洋服を泣きながら着せ

火葬場に送り出しました。


1週間後の外来では

「胎動が減った事に私がもっと早く気付いていたら赤ちゃんは助かっていましたか?」と聞かれました。

赤ちゃんが寝ている場合も胎動は減るし

一日中胎動がない事に気付いた時にはもう手遅れなので

早期発見で赤ちゃんが助かる事は奇跡に近い事だと思います。

誰のせいかと問われると

「赤ちゃんが元気に動き過ぎたせいです。」

と言わざる得ないんですが

こんな何の慰めにもならない事は心の中にだけしまい

「誰のせいでもありません。」とだけお話しました。

伝えたい事は山ほどあるけど適切な言葉が見付からない。

今後も何度か同じ経験をするお母さん達に出会う運命からは逃れられませんが

その度にどう説明すべきか

そしてどの様な言葉をかけてあげるべきなのか...

医者になる為に大学だけでも6年という長い月日を費やしましたが

実際患者さんを診る上でとても大切な

メンタルケアについては誰も教えてくれませんでした。

中身のない勉強をしてきた気持ちになりましたぼけー


年始から暗い内容の投稿でスミマセンぐすん

気持ちをリセットして来週からまた頑張ります。

ではご家族と楽しい週末を~晴れ