韓国での研修医期間は
インターン(日本で言う初期研修医)1年
レジダント(日本で言う後期研修医)4年
が基本です。
インターンの間は1ヶ月ごとに科を移動しながら
その科の雑用の仕事をします。
患者の名簿を作ったり
同意書を説明し患者さんのサインを貰ったり
手術する患者を運んだり
手術のアシスタントをしたり
レジダントがいなかったり少ない科(泌尿器科や胸部外科など)では、担当医(入院患者さんの処方をし、常にその患者さんに関する連絡を受ける医師)をしたりもします。
その中でも一番重要なインターンの仕事は
CPR(心肺蘇生)です。
コードブルーの放送が鳴って
真っ先に走り出すのはインターンです。
夜中寝てても放送を聞いたら飛び起きます。
レジダントの先生は基本
CPRのリーダー役をするので
インターンや看護婦さんに指示するのが役割で
心臓圧迫はインターンがします。
インターンは基本
上の人に言われた事だけしてればいいので
責任を問われる事はほぼなく
精神的には楽ですが、体力的にしんどい期間です
毎月科が変わるので
新しい仕事を覚え慣れてきたら次の科に移動…
の繰り返しの1年です。
病院で一番下のレベルであり、冗談交じりで
病院実習中の学生よりも弱い立場だと言われています。
インターンの間は病院の寮で寝泊まりする人達が多く
仕事もハードなので、同期のインターン同士助け合い
夜は集まって遊んだりするのでカナリ仲良くなります
私がインターン中に回った12個の科は
循環器内科、病理科、乳腺・甲状腺外科 、救急x2、小児科x2、胸部外科、産婦人科、小児外科、腫瘍内科、形成外科
だったんですが
このスケジュールは病院が決めるので本当にランダムです。
インターンをする科の中でWORST3に入る
脳外科と整形外科が無かった分
他のインターン達よりは楽?なスケジュール表だったと思います。
日本の医師国家試験の準備や結婚、出産の為
同期より2年遅れてインターンを始めたので
先輩である研修医の先生達の中には
大学の同期や後輩達も沢山いました。
自分と同じレベルだったり先輩だった人が
職場で自分の下につくと人間性がハッキリ映り
腹が立つ出来事も沢山あったし縁を切った人間もいました。
医者の世界では年齢は関係なく
とにかくいち早く上の立場に立った人間が力を持てるんだと
思い知った1年でもありました。
一つ例を述べると
形成外科のインターンだった時
研修医1年生であり大学で同じサークルの後輩から
「毎朝6時に俺を起こして!」と言われました。
韓国の形成外科1年生は結構過酷で徹夜が多く
携帯を充電せず眠って連絡がとれなかったり
疲れてて着信音が聞こえなかったり
寮のベッドで寝ず病棟のパソコンの前で寝てたり
廊下に置いてある移動ベッドで寝てたりしてて
毎朝病院中探し回って起こしてました
そういう事を元先輩に命令する後輩の心理が理解出来ませんでしたが
遅れて始めた私が悪いので
それ以降、連絡先をブロックして縁だけ切りました。
インターンの1年の間に自分が何科を専攻したいのか最終的に決めるのですが
韓国ではメイジャー科(内科、小児科、外科、産婦人科など)は人気がありません
理由は単純で仕事は大変なのにお金にならないからです
人気な科は比較的楽な科だったり
急患がいない科だったり、儲かる科で
整形外科、麻酔科、リハビリ科、形成外科、皮膚科などですかね…
韓国では人気な科は大学の成績、インターンの成績、筆記試験の成績などで人を選ぶので
日本とは違って「やりたい」という情熱だけでは自分がやりたい科が出来ない所が欠点で
基本、頭のいい人が人気科に…
成績が普通~あまりよくない人
または本当にその科を専攻したいという信念を持った人達だけが
メイジャー科に行く傾向があります。
政府がこの辺の問題を改善する気が全く無いので
きっと何十年経っても韓国での人気科と不人気科の溝は埋まらないと思います
韓国のインターン・研修医は週80時間労働が義務付けられていて
当直の日は24時間勤務で
次の日も朝から夕方6時まで12時間続けて勤務するので
週に36時間勤務の日が2~3日位あります。
(コールが無ければ夜も寝る事は出来ますが
仕事があれば夜中もずっと起きっぱなしか合間合間少しずつ寝ます。)
なので韓国での医師生活…特にインターン、レジダントの生活だけを見ると
医師という職業が素敵な職業とはとても言えません
つい最近韓国では色々な理由で
研修医達が大規模なストライキをしましたが
結局国民の医者に対する偏見だけが悪化し何も改善されませんでした。
海外に逃避しようとする韓国の医師も何倍にも増えました。
周りからは
「日本で医師として働ける最高の条件を持ってながら何で韓国で医者してるの?」
という質問を初めて会う人には必ず聞かれます(笑)
一人の時は『韓国語が学びたい!』という理由だけで
パッっと韓国来ちゃいましたが
家族が出来ちゃうと中々国境を越えた移住って大変なんですよね
取り合えず今は置かれた状況にあまり文句を付けず
自分が韓国で医師をするからこそ出来る事があると信じ頑張って働こうと思います。
最後に私のインターン時代の写真放出
個人的には医師生活をしている間で一番楽しかった1年だった気がします
韓国には『동기 사랑 나라 사랑=同期に対する愛情は国に対する愛情と同じ位』というコトワザ?がありますが
一緒に苦労した大学の同期、インターン同期に対する情が半端なく
病院生活をする上で欠かせない人脈です。
最後に小児科のインターン中に遭遇した韓国の芸能人のペク・ジョンウォンさん