ECサイトの制作依頼ですが、ECサイト制作のクライアントは2つの種類に分かれます。

1つ目は「もともとeコマース事業に携わっている会社」つまりECサイトのデザインリニューアルやシステムのリプレイス、または多店舗展開(追加出店)に関する依頼が該当します。2つ目は「新規でeコマースビジネスを起こそうとしている会社」です。

今回の記事はとくに後者(eコマースビジネスへの新規参入)に目を通してもらいたいと思っています。eコマース業界の爆発的な成長速度は、ビジネスオーナーに大きな夢を抱かせます。しかし同時に、机上理論では予測が困難な、様々な問題(リスク)も存在します。このようなリスクを事前にインプットして対策を立てておくことが出来れば、きっと事業の成長につながることでしょう。

本日は「eコマースビジネスを始める前に知っておきたかったこと」について書かれた海外記事を翻訳して皆さんに紹介します。


eコマースビジネスを始める前に知っておきたかった5つのこと

あなたはeコマースビジネスを開業するかもしれない。その際にキャッシュフロー、資金、在庫管理、マーケティング・キャンペーンに関する計画を持つだろう。しかし、あなたには他にも開業する前に知っておくとよい5つのことがある。

トレンド調査企業であるcomScore社によると、昨年、旅行業を含めたアメリカのeコマース売上高は13パーセント成長し、約2,890億ドルに達した。同じくcomScore社によると、今年の第1四半期には、アメリカ国内のオンライン消費はすでに780億ドルを超えており、eコマースは小売業界の中で最も成長の速い分野となっている。

この成長の大部分がAmazonやWalmartなどの大手小売業者によるものであることはもちろんだが、Etsyなどのマーケットサイトや、ShopifyやVolusionなどターンキーソリューションに近いものを利用して商品を販売している、多数の小さな小売業者の存在も影響をもたらした。

このような小さなeコマースビジネスを興した起業家たちは、多くの場合、成功を収めて人生を変えるような利益を上げている。このような小さなビジネスをやろうと思うならば、会計・経営・マーケティングを含め、事業をやっていくための手段が必要になる。しかし、この分野では多くの新しい起業家が目を光らせており、驚くような事業があちこちで生まれているのである。

1. 顧客はいつも正しい、しかしいつでも親切なわけではない

eコマースはサービス事業である。

その目的は、買い物客にとって良い商品を見つけられる手助けをし、便利な方法でその商品を届けることだ。新しいeコマース事業の多くは、Zapposなどの企業のように、顧客に対して期待を上回るような特別な経験を与えようとする。

最近顧客から要求を受けた、太平洋岸北西部のとある小売業者を例に挙げよう。

南カリフォルニアにある研究所が、代替燃料計画の一環として「藻」を育てたいと考えていた。その研究所は家畜に使うような大きな水桶を必要としており、それは太陽光を通しやすいように透明なプラスチックで作られている必要があった。地域で店舗販売を行う企業らは、そのような商品はないと言った。水桶は藻が生えないように作られているのだという。しかしこのオンライン小売業者がメーカーに連絡をとり、特別に透明な水桶を用意した。研究所は非常に喜び、その小売業者は大きな売り上げを記録した。


しかし残念ながら、顧客との取引がいつもこのようにうまくいくわけではない。顧客を第一に考えて喜ばせようとしても、ひどい態度をとられることは多い。

私の知っている小売業者は、最近ある見切り品の注文処理を開始したが、その商品は損傷しており顧客に届けられるようなものではなかった。その商品は生産が終了していたため、小売業者が負担した費用を回収できていなかったが、もうその商品を作っていないメーカーに店の代表者が連絡をとったり、競合他社のオンラインショップで同じ商品を見つけようとさえした。

しかしその商品はもうどこにもなかった。その小売業者は顧客に連絡をして事情を説明し、お詫びに50ドル分のギフトカードを贈ると提案した。しかしそれに対して、顧客は電話越しに汚い言葉で怒鳴り散らし、小売業者のFacebookのページに感情的なコメントを書きこんだ。一時は、1000ドルの支払いを要求さえしてきた。

2. 配達業者が荷物をなくす

FedEx、UPS、U.S. Postal Serviceは通常優れた配達サービスを行っている。しかしこれら配達業者は荷物をなくすこともあり、しかも特に大事なものをなくしてしまうこともある。

10年近く前、私は2月初めにおもちゃ販売専門のオンラインショップを開設した。通常その月は小売にとってあまり忙しくない時期で、私は受注処理を含めたすべての部門がきちんと機能しているか確認しようと思った。7月までは配達は順調に行われていて、期日通りに商品は発送され、届けられていた。利用していた配達業者のFedEx、UPS、U.S. Postal Serviceはすべて完璧に仕事をこなせるのだと思えた。

しかし、初年度であるその年の11月と12月に、配達業者はわが社の荷物の11パーセントほどを紛失した。配達業者が壊してしまったようだ。ニューヨーク州のある郵便局は我が社が頼んだ10個の荷物のうちすべてを紛失し、私の記憶が正しければその中には1人の顧客に対して2度目、3度目に送ろうとした荷物も含まれていた。

その時と同じ休暇シーズンに、UPSはそれぞれにRadio Flyer RockとBounce ponyが入った大きな荷物を2つ返送してきて、それらは潰れていた。そのうちの1つには大きな作業靴の跡がはっきりとついていた。

新参も老舗も、オンライン販売業者は荷物が届かないという事態に1年で何十回、何百回も遭遇するだろう。ベルトコンベアの上や、顧客に届けるためのトラックの中で壊れたり紛失したりするのだ。商品紛失によるコストと顧客をがっかりさせる問題の両方に対して、対応できるよう準備をしておこう。

3. 詐欺はそこらじゅうにある

今月、私の知っている小売業者が5,000ドル以上の大型注文を受けた。そこには、翌日配達で国を横断して配達されるガス駆動の発電機も含まれていた。PayPalとAmerican Expressがその販売を認可していた。しかし、何かがおかしい気がした。その発電機は特別なものではなかった。ほとんどどこでも買えるようなものだ。それなのに、なぜ1,600ドルの速達料金を払おうとするのか?

その小売業者は注文を調べた。注文に記載された電話番号は、空きのないボイスメールボックスにつながり、共通メッセージが流れる携帯電話にかかった。請求先住所はAmerican Expressのファイルにあるものと一致しなかった。そのため、小売業者は受注をキャンセルした。支払いおよびリスクのマネジメントソリューションを提供しており、Visaグループの一員でもあるCyberSourceによると、2012年にeコマース小売り事業が受けたオンライン詐欺の被害額は推定350億ドルである。それを考えると、この小売業者は賢い行動をとっている。

自分の企業がどれだけ小さくても、詐欺被害に遭わないと考えてはいけない。小規模な小売業者はあまり世慣れていないので狙いやすいと考える犯罪者もいるのだ。

4. はっきり述べよう-誰も読んではくれない

eコマースビジネスをやっていて最も驚かされることの1つは、商品や提案や方針を説明するときには驚くほどはっきりと述べなくてはならないということだ。顧客が皆そうというわけではないが、多くはこういった情報をざっと読むだけで、あなたの意図を誤解してしまう。

小売業者があるジーンズのブランドを宣伝するために利用した、最近のオンラインコンテストを例に挙げよう。

参加者はジーンズを穿いた自分の写真を投稿することで100ドル分の買い物ができるというものだった。このコンテストに関するすべての宣伝メッセージには、はっきりと「ジーンズを穿いた自分の写真をアップロードする必要があります」と書いてあった。Facebookでも数多くの投稿を通して、参加を考える人たちに向けて、ジーンズを穿いた自分の写真をアップロードする必要があると知らせた。メールにもそのメッセージが記載された。

コンテストに参加するための申込フォームにも「ジーンズを穿いた自分の写真をアップロードする必要があります」と記載された。それなのに、多くのエントリーのうち、ジーンズの写真をアップロードしたユーザーは1人もいなかった。下着姿の家族の写真を上げた人がいたり、犬の写真を上げた人もいた。

結局、コンテストに参加した人の多くは腹を立て、説明がわかりにくかったと主張した。

5. 機会はいくらでもある

最後にeコマースについて知っておくべきことは、機会はいくらでもあるということだ。

在庫管理、会計、ウェブサイトのデザイン、腹を立てる顧客など、問題を抱えることはあるだろう。しかしeコマースはすばらしい業界で、あなたが目標を達成するために手を貸してくれる力を持っている。

※この記事はpracticalecommerce.comに掲載された「5 Things I Wish I Knew Before Opening an Ecommerce Business」を翻訳した内容です。


記事の感想:いかがでしたでしょうか。

おそらくECサイトを運営したことがある人にとっては「あるある」の話で、新規参入を目指す人にとっては、背筋がゾッとするような話だったと思います。米国に比べると、配送事故リスクや詐欺リスクは小さいかもしれませんが、しかし実際に起こりうる(…確実と断言しても良いレベル)ことです。新規参入を目指す方には、自分の常識と価値観だけを指針にせず、同業者や隣接商材でECサイトを運営している先駆者の意見を求めることをお勧めします。

4番目にあがった「誰も読んではくれない」も、ECあるあるネタとしては非常に共感ができるところです。ただしこれはデザイン制作の段階で、ある程度のリスクマネジメントが可能です。ネットショップには高度なインフォメーションデザインが重要です。ビジュアルだけを追求するのではなく、情報をいかに正確に伝え、課題解決していくか?という点が重要です。