各クラスの順位戦が始まり、今日はB2の開幕戦があった。急に負けが出始めて20日の叡王戦最終局への展望が悪くなっていた伊藤匠だが、今日の初戦は中々見所のある勝ち方だった。相手は横山、B1を前期まで維持してきて、今期は陥落したものの評価はそれなりに高い棋士である。

 

 1図の歩成が実戦では構想はしても「まぁ、無理だよね」と断念することの多い指し方。以下、後手の桂馬を二段跳びさせて角桂交換の駒損ながらと金はできるという主張だが、このと金を支える後続の攻撃部隊がいないので、と金がそのまま大きな駒得にならない、とか、金駒と交換になっても歩切れになってしまい、指し切る、といった展開が多い。

 

 

 しかし以下角桂交換+と金製造を経て、先手が飛車の前方を広げてみると、視界がいい。

 

 

 トッププロが丁寧に読めばこれくらいの結論には到達するものかもしれないが、これまでの前例を思い出し、断念することもありそうである。そこを読みの裏付けで突破した伊藤、一時的な不調は克服したのかもしれない、と前向きに評価したい。