今日、将棋王位戦最終戦一斉対局が行われ、組優勝を狙っていた人達の中で比較的優位な状況だった佐々木大地、羽生が敗退。結果、各組プレーオフなしに組優勝者が斎藤慎太郎、渡辺明となり、両者が挑戦権を争うこととなった。将棋ファンが注目していた藤本渚は斎藤に力負けし、挑戦権への道筋が途絶えた。

 

 2年前に名人戦を戦った両者の挑戦者決定戦進出。能力的にも特に違和感はないのだが、この1年のプロセスを考えると、ファンは藤本―佐々木大地の紅組プレーオフ、羽生ー渡辺の白組プレーオフ、決定戦は藤本―羽生だと興趣が最高・・・みたいな筋書きを期待していたと思う。この種の期待は大体外れるのだが、今回は敢えていうが「地味な方に」外れた。

 

 特に羽生が飯島に負けたのには驚いた。他の将棋はともかく、この将棋はどうみても羽生が負けるような要素はなく(飯島さん、ごめんなさい)、将棋の展開も羽生好調にみえた。特に92手目で△5六角と敢えて角を飛車取りになる4五ではなく5六に置いたため、羽生は飯島の金をボロッと奪い、相当に優勢になったはずだ。そのまま後手玉を追い込んで1図となったところで、いきなりよれ始めたのが意外である。

 

 といっても、私の能力では1図は相当に難解なのだが、AI様によると▲3二竜△2二金打▲2四桂(!)△同金▲1四歩(!)という複雑系の寄せがあったという。本譜の▲4二竜は上記手順での△2二金打への対応を察知できなかったので竜当たりにならない王手を選んだということだろう。△2二桂の受けに対し、羽生は▲3五桂と攻撃続行したのだが、この場面ではいったん▲6七金とかわせば形勢は残っていたらしい。以後も金の逃げを選択することはなく、逆転負けしてしまった。両者持ち時間を使い切っての反射神経勝負となると流石の羽生でも厳しかったのだろうか。うーん。。。

 

 他の対局については、明日、触れます。