封切り3日目日曜日、『鬼平犯科帳 血闘』を109ライズで鑑賞。原作のみならず池波作品ほぼ総嘗め済みの私にとって「観ない」という選択肢はない。もちろん、吉右衛門時代と比べると、同心陣、密偵陣の陣容に薄さを感じないわけではないのだが、そこは今後の伸びしろに期待しようと腹落ちしての鑑賞である。映画comのレビュースコアは4.0、私の評価は8/10。満足です。

 

 粗筋はこう。

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長谷川平蔵(松本幸四郎)が若かりし頃に世話になった居酒屋の娘・おまさ(中村ゆり)が密偵になりたいと申し出て来る。平蔵はその願いを退けるが、おまさは平蔵が芋酒や『加賀や』の主人と盗賊の二つの顔を持つ鷺原の九平(柄本明)を探していることを知り、独断で探索に乗り出す。九平を探すうちに凶賊・網切の甚五郎(北村有起哉)の企みを知ったおまさは首尾よく網切一味の中へ入り込む。しかし、おまさは絶体絶命の危機に陥る 。

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 キャストは、松本幸四郎、市川染五郎、仙道敦子、中村ゆり、火野正平、本宮泰風、浅利陽介、山田純大、久保田悠来、柄本時生、松元ヒロ、中島多羅、志田未来、松本穂香、北村有起哉、中井貴一、柄本明

といった方々。

 

 
 ネタバレなしの感想です。
 
・幸四郎、板についてきた感がある。中村ゆりは梶芽衣子と比較されるのでは気の毒なのだが(だって梶芽衣子は本当に美しくて雰囲気があったので)、彼女なりの立ち居振る舞いは際立っていて苦情はない。これから大化けして大女優になるかもしれないですね。志田未来、松本穂香も登場時間は長くないが、現代劇ではこなさない類の役を演じたこと、当人たちのキャリアで意味がありそう。やはり時代劇は所作の美しさがないと映えない。出演するだけで役者さんたちの力量を引き上げるであろう。そんな映画である。
・ベテラン陣(火野、柄本、北村)も素晴らしい。特に北村の低いながらもよく通る発声は見事。
・鬼平といえば美味しい料理が肝なのだが、本作でもしっかり描写があり、満足。軍鶏鍋、芋なます、美味しそう。幸四郎は完食したそうです。
・本作の幸四郎や火付け盗賊改めは詰めが甘くて、再三悪党たちを取り逃がす。前作だとこういうことはないので、うーんとは思いました。
・幸四郎に「これは俺の勘働きだがな・・・」と言ってほしかった。
・エンディングにこの曲を再起用してはダメだったのでしょうか?

 続編が時代劇チャネルで放送されるらしいのだが、流石に契約するところまではいかないかな。そこは措いて本作は前作の世界観を継承していて、良い感じ。急所で鬼平が前向きになれるセリフを吐いてくれるところもポイントが高い。視聴をお勧めする。