すっかり将棋日照りのこの頃、昨日、王位戦白リーグで渡辺—羽生戦があった。Youtubeで実況もあったので、チラ見観戦をしていたが、中盤で形勢は一気に羽生に傾き、そのまま中押し。これでリーグ戦は両者2勝1敗。リーグ優勝争いは森内、木村も入り、混沌だが、興行的には羽生が最も望ましく、森内も永世名人だし、藤井との対戦も少ないので興はあるかな、という感じだろうか。また本局の敗北で渡辺の年度最多敗も確定した。王将リーグで散々だったから仕方がないか。

 

 この将棋、後手羽生の誘導で横歩取りとなった。私は以前は中座飛車を愛用していて、アマ棋戦でも随分と勝たせていただいたのもので、そろそろ大会復帰しようかな、と考えているところで、角換わりばかりなのも何なので、中座飛車を後手で使うのもありかな〜等と考えている。ただプロ棋界ではやはり中座飛車は突き詰められたようで、羽生は中住まい+8四飛車形からの飛車転換で局面を進める。

 あれ?と思ったのは、桂馬が無警戒のまま4五に跳躍できたことで、この段階で既に技ありが入っている。

 

 

 直前の銀上がりが相当にないでしょう。渡辺が意図的に銀桂交換を呼び込んで手薄な後手玉頭を二枚桂で狙おうとしたのかもしれないが、このレベルでこういう狙いが決まることはまずない。

 さらに2図の▲3五飛がいかにも自爆で、自ら飛車交換を仕掛けても後手を引いてしまって、△2七角を先打されて嬉しいはずがない。と言って代わる手も難しい。飛車を下げるしかないのだろうが、△3四飛とされると3六の傷を塞げない。何とも粗い中盤でこれでは藤井の前に座るのも難しいなぁ、と感じてしまった。

 



 ほぼ23年度の将棋が終わって、やはり藤井イアーでした。将棋大賞選考があるのだろうが、ここまでの覇者が出てしまうと選考の意味もほぼない。優秀棋士賞(要は2位)が誰で升田賞がどの将棋かという話だが、2位は伊藤匠だろうし、升田賞に該当するような新発想があったか記憶にない。せいぜい藤井に善戦した村田システムか? でも一局だけ目立っても・・・というところだ。

 ベストバウトは王座戦第4局でよいでしょう。藤井—村田戦も俎上にはあるが、歴史的な意義も含めて考えれば王座戦第4局しかなかろう、ということで、年度総括を締めます。