待ちかねた本作公開。早速本日視聴した。映画comの評価値は4.1。私の評価はもう少し高くて9.5/10。2時間46分の長尺も全く苦にならない。もう一度観にいってもよいくらい。

 

 

 粗筋はこう。

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その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

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 ネタバレなしで感想を書きます。

 

・原作とは微妙に違っている。こういう場合、省略がひどいことが多いのだが、本作はむしろ原作よりも丁寧に主人公のポールがフレメンの当主となるプロセスが描かれていると感じる。但し、原作の主要登場人物が消えている、エピソードが丸ごと消えているところもある。その辺は映画製作上の必要な改変となるか。(『セクシー田中さん』の件はあるが、原作そのままの制作は難しいのは当然。ただ原作者とのすり合わせがいい加減だったからあの件は炎上した。Duneはこの辺の問題はなかろう)

・敢えてキャストを全く確認せずに視聴したのだが、レア・セドゥ、アーニャ・テイラー・ジョイと好きな女優さんが登場していて嬉しかった。なお原作ではジョイは成人ではない。

・Part1に続ぎ次年度のアカデミー賞の技術部門の総嘗めの公算は大。『ゴジラ―1.0』は今回のエントリーでなく次年度エントリーであれば恐らくは最優秀にはなれない。それくらい美術、視聴覚効果、音響が素晴らしい。IMAXをここまで活用出来た作品を私は知らない。特に音響は凄くて、身体に衝撃が叩き込まれる感覚が何度もあった。視聴覚も超ハイレベルで、砂虫が眼前に迫ってくるかのようだった。あまりに圧力が強くて同行視聴の妻はしんどかったそうだ。

・Part3の制作が決まっているという。私は原作を頑張って4作目(『神皇帝』)まで読んだのだが、段々、辛くなって挫折した。原作トレースなら大規模な戦闘シーンがあるとは思えないので、何か独自色が出るのだろうか?

・2点だけ原作にもある世界観について否定的な発言をすると、

1)要は『スパイス』の作用により覚醒しました、ということで、それって薬物利用、ドーピングとどう違うの? 人間が本来持つ可能性が発現するのとは別物ではないでしょうか?という疑問を払拭できない。

2)リーダー降臨による苦境打開はこの種の娯楽作品の王道とはいえ、恐らく本作主人公はそれを望んでいなかったのではないか、人々の自主的な覚醒の方が本筋ではないか、とも感じる。これこそがもしかすると本作のテーマなのかもしれない。

 

 いろいろ書いたが、今年に封切られる映画の中でも最高水準の技術が投入されていることは間違いなく、演技陣もこれに応える熱演である。特にオースティン・バトラー(『エルヴィス』の主人公だった美青年です、アカデミー主演俳優賞にノミネート)の変貌ぶりは凄まじい。名優クリストファー・ウォーケンも元気な姿を見せている。ティモシー・シャラメには指導者としての威厳があり、ゼンデイヤには恋人の望まない変貌に落胆する様が出ていた。

 

 是非、劇場でのIMAX視聴を強くお勧めする。