今日の東京は強雨。その中でMGCが行われ、男子は小山、赤崎、女子は鈴木優、一山が出場権を確保した。大迫は3位で権利半分、また日本最高記録保持者の鈴木健吾は体調不良が戻らず途中棄権した。女子の3位は細田が入った。

 

 

 

 コースはこういう感じで、折り返しが多く、最後は激坂が待っており、どうみてもタイムは出ない設定である。ただ同一ルート繰り返しという設定は最近の五輪ではお約束になっている感があり、本番想定としては悪くはない。今日のような強雨開催はレアではあろうが、これもありえなくはなく、どういうコンディションでも対応できる能力が期待されるということで、苦情を言っても仕方がない。

 

 

 スタート前の選手を眺めていると、女子は中継のNHKが前田穂南にフォーカスしていたのだが(増田明美さんもそういう見解だった)、何となく表情が硬いように思えたのに対し、背景に映り込むエディオンの選手がケタケタ一山と笑い合っているのが目についた。調べてみると細田であり、持ちタイムもいい。今日はこの選手に注目しようと決めた。

 

 男子は実に60人を越える出走者。ここまで選手数が増えてしまうのでは、レース中に衝突とかありそうだな、とは懸念したし、また世界選手権から間が空いていない点、出場選手には気の毒な設定ではないかとも感じたのだが、案の定で衝突転倒で有力選手の細谷が転倒棄権の憂き目に遭い、世界選手権出走組の其田も棄権。まぁ、勝てないレースで脚を使っても仕方がないので、妥当な判断ではあろう。そもそも、MGC出場資格をもう少し厳しくして、出走者数が30人程度になるようにしてはどうか。いや、そういうつもりであったが、有資格者が思った以上に出てしまったということなのかもしれないが。

 

【MGC男子】有力候補の細谷恭平が無念の棄権 転倒して立ち上がれず、27・9キロ地点 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

 

 レースの方だが、既報のように男子は川内が先制して、大きなリードを奪う。前回MGCの設楽を思い出させるが、経験値豊富な川内であればそれなりに仕上げてきそうな感じはある一方、まさかこのまま逃げ切るわけもないよね、と思うのがセオリーであり、後続も判断しにくいところではあっただろう。結局、後続組は常識的な判断に落ち着き、誰も追いかけなかった。

 

 女子は前田が先頭を切りはしたが、とことん突っ走るということもなく、集団になる。この中には一山、細田が含まれている。細田の位置取りが良いように思えた。他に気になったのが岩出。手足が外側に開く独特のフォームの彼女は集団から距離を置いて走っている。10年以上も前の手賀沼ハーフで、極端に腕を横に振る女性ランナーにガンガン充てられたことを思い出した。ああいうフォームの人の近くには寄りたくないのが正直なところだし、フォームが自然に身体を前に出すわけでもないのでスピードを損ねている。今更だが、X脚の矯正をする方がいいのではないか・・・などと独り言を言いながら女子を眺めていた。

 

 チャンネルをNHKとTBSでいったり来たりしながら男女双方を観戦する。先行する男子を眺める時間が長くなってくる。川内が相変わらずリードをしていて、後続は無理をしていない。30キロも30秒以上のリードを維持していて『まさかまさか?』と思ったのだが、やはりそのままではすまず、後続に35キロ過ぎ神保町で追いつかれた。この後続集団を主に引っ張ったのは九電工の堀尾だが、観戦していて『後輩の赤崎にもリードするように言わないのかな? これじゃ、ただのペーサーになってしまうよ?』と感じていたが、この予感は案の定で、追いつくともう余力がなかった。川内はここから根性をみせて、上位4人グループに居残っていた。テレビ画面では右側に位置していた小山が先頭グループの3人をしっかり観察する風情を見せる。『この人、余裕がありそうだな。あと赤崎も相当に上手に位置取りしてきた感じで余力が残っている。大迫は良く分からないな。この人、結局マラソンで優勝したことはないんだよねぇ。。。川内はここにいること自体が既に偉業だわ』というのが私の見立て。結局、中村の登りでのスパートに誰もついていけない。赤崎も大迫との距離は分かった上でのレースをしていたような印象で、最後は接近されたように見えても抜かされる感じはなかった。

 

 女子は前田が結局は続かず、一山、細田が抜け出すが、徐々に差がついていき、細田が後続の鈴木優、加世田に追いつかれる。この時点で一山との差は10秒程度か。ただ、画面を見る限り、鈴木優のフォームが素晴らしく(適度な前傾、水平の腕振り、蹴りからの巻き上げ等々・・・先日ミズノ東京で言われたフォームの理想に近いように思えた)、対して先頭の一山はやや顎が上がっているようでもある。『これは追いつくのでは?』とみていたら、これも見立て通りで鈴木がまくっていって、そのまま押し切った。全くノーマークだったので意外ではあったが、お見事です。ただ、これだけしっかり走っても、女子の世界最高水準とは大差なので、そこは踏まえて国際レースは観戦しよう。私が注目していた細田は3位争いは制し、出場権に片手がかかったところ。ファイナルチャレンジ出場は設定タイム(女子は2時間21分41秒であり冬のレースであればクリアは十分ありそうなもの)を考えると恐らくは必要になるのではないかと思うので、コンディションを整えておいてほしい。前回のMGCで2位だった鈴木亜由子がゴール後、呆然という風情で競技場の一点(モニター?ゴール?)を眺めている風景がNHKでそれなりの時間、中継されていた。なんというか物凄い画像割でしたな。

 

 荒天の中で選手には厳しいものがあったが、観戦しがいのあるレースであった。案外年数のいったランナーの健闘には励まされた。

 

 なお、解説陣がほぼ女子マラソンのレジェンドで占拠されているのだが、男性解説陣もレジェンド群から瀬古以外の人材を発掘するとかしてもいいのではないか。ニーズはあると思いますよ。