ロッキーリアルタイム世代である私。後継作品である『クリード』シリーズも自然に視聴をしていて、本作は第3作目。スタローンはクレジットには名前があるが、作品に登場はしない。コアファンはその点に不満満腔であり、Yahoo映画レビュースコアは3.2と低迷している。米本土では高評価ながら日本では上映頻度もいまいち。それでもどうにか機会をみつけて視聴してきた。週末の業務出張の振替で平日休暇を取得できたからである。 

 粗筋はこう。
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ロッキー・バルボアと亡き父アポロ・クリードの魂を受け継ぎ、世界チャンピオンの座とともに家族も手に入れたアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)。ある日、出所したダミアン・アンダーソン(ジョナサン・メジャース)が、18年ぶりにボクサーとして彼の前に姿を見せる。ある事件で刑務所に入り、全てを失ったダミアンは、アドニスだけでなく彼の愛する者たちにも牙をむく。
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 私の評価は6/10。まずまず鑑賞できる。粗はあるが、すごくダメというほどではないので、いいところを素直に評価できます、という仕上がりぶりである。

・クリードとダミアンが訣別したきっかけの事件だが、ダミアンが18年も収監されるような重大犯罪とは思えない。
・ダミアンからの手紙をクリードの義母が隠した理由もよく分からない。
・収監18年で世間に戻ったばかりのダミアンがいきなり世界ヘビー級タイトルマッチに登場・・・ありえない。
・粗筋にあるような「彼の愛する者たちにも牙をむく」というシーンはない。

・ダミアンにクリードにネガティブな気持ちがあったとしても、機会を作ってくれた恩人でもある。本作のように憎悪をあからさまにするだろうか。

・ダミアンに自分が育成したジムの世界チャンピオンを倒され、ジムのトレーナーから出禁を言い渡されるジムのオーナーであるはずのクリード。しかしダミアンとの試合となるとジムでトレーニング。出禁はどうなった?
 
 これらに限らず、相当に無理な展開ばかりで、しんどい。スタローンが登場しないことについても古参ファンは否定的だ。二人のタイトルマッチも、中盤の描写がとばされたので、コクがない。展開にドキドキするだけの時間的な幅がない。ロッキーならではのあの音楽もかからない。

 しかし、ボクシングシーンは迫力がある。パンチを食った肉体の揺らぎがリアルである。両者ともキッチリと身体を作っている。それだけよ、といえばその通りなのだが、実際の試合シーンにも見るべきところはあり、私は全否定ではない。

 

 他方、エンディングのアニメは続編と一体でないと意味がない。先行上映をされても、次作(あればだが)上映までには忘却しているであろう。

 

 

 米国では大ヒットしたらしいが、日本では不人気。その理由は理解できるが、割引券利用であれば払える値段だと思う。