こういう所見が超トップ棋士から出ているが、超トップで圧倒されるのだから凡人はひれ伏すしかない。記者会見における記者たちの気後れ振りは、「アホな質問をしてしまうのではないか?」という緊張によるものだろうか。政治部の記者達に比べて文化部記者は気質が違うのかもしれない。

 

 そして感想戦における藤井の能力の破格振りは名人戦第5局でも再現された。

 

 1図が問題の局面であるが、実況サイトにこういう記述がある。

 

(1)▲6六同金から、△3三歩▲5四飛△5三歩▲7四飛△6六飛▲6七歩という順が並べられた。「これが第一感で並なんですけど、(さらに進んだ先の)駒割り数えたらいまいちだなと思って」と渡辺。そこで藤井が、▲6七歩の局面で△6五桂(2図)から▲6六歩に△7七歩という攻めを示す。

 

 「ふふふっ、桂はまったく考えてないですね。(飛車を)引く一手だと思ってたんで。いやー、でも瞬間(後手が)駒得だから、パワープレイでそういう手が成立するケースもあるか」(渡辺)

 

 この一連の手順を△4六角の前から読んでいる。。。今回、この手が盤面に出現しなかったのが残念。読みの裏にある手順も絶妙手ばかりで、なるほどこれでは対戦相手は疲弊するわけである。斬り合いに出ても読みの精度で負けるし、安全運転を心がけても棋王戦第3局のように強烈な追い込みを受ける。

 

 この将棋では、渡辺玉は金銀三枚の囲いを維持していて、通常の相居飛車よりは相互の玉への距離を計測しやすかったはずなのだが、それでもこうなるのか。。対戦相手目線だと匙を投げるしかなさそう。。。

 

 今後の展望だが、対佐々木大地のタイトル戦2連戦は注目。ただトータル7勝3敗くらいが基準か。王座戦は1回戦を勝ち上がり、2回戦は村田なのでこれは普通に勝つだろう。そもそもこの今期の王座戦本戦は予選段階でビッグネームが敗退し、特に藤井のブロックは相当に軽い。反対側のブロックに豊島、斎藤、渡辺が集まり潰し合いをしてくれるという好建付け。準決勝で羽生とぶつかる可能性が高く、ここが大盛り上がりになるだろう。振駒で羽生先手となればかなりの接戦になるのではないか。

 

 トーナメント4棋戦で表が発表されているのはNHK杯戦だけだが、こちらは2回戦で出口と当たるので、それなりの厳しさになるかもしれない。

 

 藤井の対局は暫くは安定的にあるが、竜王戦が終わった後、もしかすると1か月くらい空白がありそう。将棋界としても何か対局を考えてほしいものである。