29日の日曜日のNHK杯戦は佐藤康光ー永瀬拓也戦だった。勝田マラソンで疲弊したところで王将戦の棋譜を一巡してからの録画観戦である。

 

 以下、観戦中の正直な思いを吐露する。

 

・序盤でいきなり▲6六角。

 

 個性的な作戦ではあるが、永瀬が早めに△7三桂を跳ねて8筋開戦を防ぎ、さらに6二金+8一飛型と防御優先の構えを採用したため、乱闘にはならない。組み上がってみると普通の対抗形。こうなると力勝負になるが、永瀬相手だとしんどいなぁ。

 

 

・鈴木環那さんが「会長で忙しいのに、よく勝ち上がっておられる」と佐藤賞賛。会長業務をよくこなしている点は全くの同意だが、勝ち上がっているというのは熱心なファンであれば、事実ではないことは分かってしまう。今年度の成績は本局放送前で9勝17敗、勝ち残っている棋戦はNHK杯戦のみ。王位戦は予選決勝まで行ったが、新四段の岡部に敗北してリーグ入りを逃し、竜王戦2組初戦も高見に敗退、叡王戦も本戦一回戦で服部に負け。これが実力減退であればやむなしだが、業務多忙のしわ寄せによる成績悪化となると、ファンは穏やかではないのだ。

・解説の八代も「どうやってこなしているんでしょうかね」と話半分の応対振り。聴いていた私は切れる。八代が悪いわけではないが、「君達が連盟経営を丸投げしているからこうなるんじゃん! 早稲田卒とか公認会計士を取った船江とかいるんだから、実務をもっとシェアすればいいじゃん! そもそも外部から専任でこなしてくれる人材を持ってくるよう若手から進言できないかね? お座敷で佐藤康光が来てくれないといやだ、というスポンサーがいれば、その場にはもちろんお出まし願って、普段の業務は君達も分担できないのかね!」「ベテラン有名棋士に業務を寄せて、若いプレイヤーが研究、練習に励んで勝っているという絵図だぜよ」と、言いがかりをつけまくる私。。。いや、分かっていますよ、いきなり若手が連盟経営参画なんてことはないことはね。

・局面の方だが、45-55くらいの評価値で推移しており、先手善戦。ただ、中央で孤立する先手銀が狙われそうな感じがする。3筋で開戦し△2四桂に対する応手は人間目線では2通り。普通の穴熊党は▲3八金寄だが、佐藤は▲3七金。

 

 

 これは△3三桂を誘発するのでどうかな~というところ。案の定、先手評価値は下がった。さらに▲3八飛には思わず『バカな!』と叫ぶ私。いくら何でも強気すぎますよ。

 

・5図も▲3三歩成とするところで、本譜のように桂馬が5三に成り込むのでは一体何をしたくてこの局面に持ち込んだの?と突っ込みたくなる。。。うーん。。。

 

 

 感想戦ではその手前の手順を後悔していたが、大局観の軸がずれているのかもしれない。この辺のチューニング、少し時間をかけても丁寧に振り返る方がよい。恐らくはご本人は嫌いだろうが、AIによるレビューを繰り返せば相当に改善すると思います。

 

 これで年度内に対局がありそうな棋戦は竜王戦2組のランキング戦、王座戦2次予選(前期本戦にいたのでシードされていて、最初の対戦に勝つと羽生と戦える)、順位戦最終戦くらいか。。前を向ける棋戦となると王座戦だけか。。。せめて年間対局数が40くらいになる程度は勝ってほしいものだ。