詳細感想といっても、日曜日に書いた通りで、岡目八目でも『無理な構想を試みたところ、完璧に跳ね返された、以上!』以外に何かあるのか、というのが正直なところ。藤井の対応を評して「凄すぎる」「天才的」等々派手な賛辞がSNSでも乱れ飛ぶが、こういうのはあまり言いすぎるとありがたみが減る。

 

 藤井は広瀬が将棋世界の1月号でも述懐しているが、「藤井竜王とは地力にありすぎるのでどうするか。特に終盤力の差が・・・略)・・・私も終盤が得意でそれなりに勝ってきたつもりですけど、現代将棋の方が圧倒的に複雑です。だからこそ藤井竜王の正確性が武器になる。今更そこは埋まりませんよね・・・」が今の藤井を巡るトップ棋士群の実情で、その実情がまた顕現しました・・・というところか。

 

 今更だが、▲3七歩~▲4五歩とか終盤の歩を駆使しての寄せとか、見事な手順であり、アマは何回並べても得るものがあるだろう。でも藤井ならどストライクを投げ続けるだろうな、というところで、昨年の棋聖戦の△9七角とかとは別物ではないかと思う。

 

 

 『昼食休憩後の64手目△8六歩(第2図)から猛攻に転じる。藤井が1ミリでも受け損なったら逆転もあり得る状況をつくり続けた。』とあるが、普通に逃げていれば受かるのはアマでも分かる攻めで、記事の記載内容の粉飾が却って痛々しい。

 

 加藤一二三の論評の方が正鵠を射ている。

 

 

 封じ手のところで、△7五歩とか△9二角とか△5二玉としておいてから△4七角(とにかく▲6三角を打たせたくない:無理を承知だが、本譜よりはまだマシな「無理」)とか、とにかく3、4筋の歩を活かすような展開しかなかったと思うが、羽生はこちらの変化を全く考えなかったのだろうか。

 

 この辺、深堀してほしいものである。