ブリティッシュぽいユーモアに程々の涙がありそうなこと、ヘレン・ミレンがでていることから観てきました。ナイル殺人事件よりは公開日数が少ないかもしれないという計算も働いて、急ぎの視聴です。
 
粗筋はこう。
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1961年、イギリス・ロンドンにある美術館ナショナル・ギャラリーで、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの絵画「ウェリントン公爵」の盗難事件が起きる。犯人である60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)は、絵画を人質に政府に対して身代金を要求する。テレビが娯楽の大半を占めていた当時、彼は絵画の身代金を寄付して公共放送BBCの受信料を無料にし、孤独な高齢者たちの生活を救おうと犯行に及んだのだった。
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 Yahoo映画レビュースコアは3.8とまずまずで、1を付けている人はいない。以下、素直な感想です。

 


 
・いいセリフはあるが、特に泣けない。それは私の問題なのかな?
・主人公に全然感情移入ができない。プロ市民というべき日頃の振る舞いなのだが、タクシーの運転手をしていても面白くない話を長々として客から苦情を受けている、新たに就職したパン工場でパキスタン人の同僚への差別があることに憤慨するのは人として真っ当としても、ど正面からそれをする工場の支配人(かどうかは分からないが工員の解雇権はある)を批判すればどうなるかも分からない(問題を解決したいなら周りの味方を増やすとか下工作が必要なのにそれを行う才覚がない、年功がない)、金を稼げないのに勝手ばかりいっている。。。妻役のヘレン・ミレンの言い分がいかにもご尤もとしか思えない。こういう人物が周りにいたら忌避するでしょう。BBCのテレビライセンス料を支払うのが嫌だということでコイルを外して民放しかみない、だから払わない、と突っ張るのだが、そういう主張をしたいのであればここは議会の国、地区の議員に陳情しようよ。ルールに従って動いている郵便局の職員を困らせるものではない。日本でもありましたよね。。。身体障碍者の方が無人駅での対応を要求して炎上した事象が。。。あれを思い出すわけです。
・主人公夫妻が61歳に全然みえない。1961年当時のこの年代はあそこまでくたびれていたのか?
・当時とはいえ、名画があれほど簡単に盗まれるなんて。。。盗みのシーンでも捻りがない。
・ゴヤの「ウエリントン」だが、ナショナルギャラリーの中ではどれくらいの序列の絵かな? トップ10にはいないはず。行けば認識するが、それが目当てという鑑賞者は今の時代はほぼおるまい。当時はそうではなかったということか。。。
・人々の連帯を主張する主人公。それはよい。でもその手段がテレビライセンス視聴料の無償化なの? より孤独を深めるだけなんじゃないの? イギリスで独居老人が一人でテレビを見ている絵に幸せを覚えるの? 仮に無償化をしても(2001年から75歳以上無償化されたとあった)、それは現役世代が老人世代を支えるだけで解決ではないのではないか?とか、なんか筋の立たないところが見えてしまうのです。そもそもそれを許容した時代だとしても、家庭でも映画館でものべつ幕なしにパイプを吸ってばかりで、非喫煙者の奥様の肺はとっくに傷んでいることだろう。そういう痛みは感じないのかな・・・とも思ったのです。
・裁判シーンはいい感じ。罪状軽微ということで無罪にした陪審員や聴衆の反応もまぁいいでしょう。陪審制ならありえるかな。所詮、詭弁だが。
・尺が短いのは結構。
・息子役が林遣都。弁護士役が徳重聡に似ていると思った。

 

 

 

 
 私の評価は6/10。思ったほどではなかった。一個飛ばしてナイルにしておけばよかったかな。ヘレン・ミレンのファンは視聴してもよいと思う。