都内の映画館は全て休館。でも映画を観たい。ということで、都知事の御意には逆らうが多摩川を渡河して横浜のムービルで『ノマドランド』を観ることにした。恐らくは好みの映画ではないが、そこはアカデミー女優賞3回目獲得のフランシス・マクドーマンドに敬意を表して・・・というのはちょっと嘘かな。彼女の映画、一回も観たことがないし、偉大な女優かもしれないけれど、特に関心があるわけではないのが正直なところ。要は映画は観たいが、観たい映画がそんなにないので消去法というところ。あと、なぜか料金がシネマポイント会員には1200円だったところは大きい。

 

 現在のYahoo映画レビュースコアは3.83とちょっと伸び悩んでいる。プロ筋の評価は絶賛だが、興業モノとしては別物ということだろう。

 

 粗筋はこんなところ。

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アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。

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 以下感想です。ネタバレがありますが、ネタバレしてもしなくてもこの映画の場合、あまり関係はないです。

 

・デートムービー、ファミリームービーでは絶対ない

・ノマドと呼ばれる社会から脱落した高齢者の生態を描写しきっているように思える。実際、スクリーンには多くのノマドが出演している。

・マクドーマンドは自らこの映画の原作に惚れ込んで映画化権を購入しただけあって、主演女優賞は当然の演技ではある。

・描写されるアメリカ西部の自然も迫力がある。

・映されたものは超一流なんでしょう。では、観てどうだったかというと、上述のようにちょっと違うだろう、と思うところはあるわけです。

・劇中、2回、ファーンには救いの手が差し伸べられる。多分、実際のノマドにはそういうことはないであろう。ファーンは経済的に困窮してノマドに落ちぶれたのだから、その手を取ってもおかしくない・・・しかし、そうはしない。落ちぶれたノマドの境遇がそこまで好きなのか? でもなぜ好きなんだろう。自立とか誇りというレベルの話ではないはずではないか。そもそも、経済的に自立できていないから姉に資金援助を求めている。

・他人との関係性をライトにしたいのかもしれないが、乾いた虚無を延々と観た感も強い。

・排泄シーンが2回あるのだが、それを描写する必然性が分からない。

・昔の自宅に一度戻り、庭から砂漠(土漠)の方に歩き出す主人公。美しいシーンで美しいピアノがかかっている。。。ところがエンディングのクレジットがすぐに入り、画面が黒くなるんですよ。もったいない。

 

 尺が108分でよかった。素晴らしい演技、映像を観ることができてそこはよかったが、世界観が私とは斜めに外れており(多分たいていの人は外れるだろう)、そこの違和感が強すぎて辛い。。。。弱さをもっとさらけ出してもよかったんじゃないだろうか? 絶望的な寂しさに身もだえする、泣き崩れるような情景があれば、別の感情の動きがあったかもしれないが、主人公はいつも作り笑いを浮かべていて、どこまでが強いのか弱いのか私には良く分からなかった。

 

 私の評価は6/10。