昨日の「お言葉」を聞いて。

同じことを感じた人も多いと思うのだが、思考に漏れがなく、行き届いておられる、平易にお話をされる、説得力がある、その上で本物の優しさを感じさせる。これほどの君主が現代の日本におられること自体が既に奇跡である。歴史を振り返っても、身勝手な天皇は数多くいたし、諸外国だと暴君も多かったわけだが、ここまで無私にならないと天皇は務まらないのだろうか。お気の毒な気もする。

陛下が庶民に生まれ、政治を志しておられたら、という仮定は思いっきり無意味だが、もしそうであれば「レトリック、ラベルで事象を切り取り、思考を停止させる今風の政治家とは対極の思慮深い、もしかすると一般受けはしないかもしれないけれど、政治の安定を望む国民の支持を受けるような政治家」になったのではないかと想像する。本件で予想されるリスクを全く考慮していなかった現代の政治家たちは己の怠慢、思慮のなさを猛省し、速やかに結論を得るよう努力されたい。

今上天皇の後を継ぐ人達は恐ろしく高い水準のモデルを前に萎縮しなければいいのだが、とも思います。

ついで。本件が改憲議論に発展することを警戒している人達がいますが、9条は措いておいても、衆議院の優越とか参院選における区割り問題(このままいくと地方の議員が絶滅してしまう。参議院を地域代表的な性格を帯びたものに変えるべきだと思う)とか最高裁裁判官の国民審査の修正(すっかり形骸化していますよね)とかもう限界だろ、という条項が複数あり、てこ入れが必要な時期であると思う。憲法があらゆる価値に優越しているわけではないので、この辺は楽に制度が回るように考えてほしいものである。