久しぶりの名人交代があった。この第4局は内容もよかったが、番勝負としてはワンサイド。今年に入ってからの5ヶ月で印象深い将棋イベントとなると結局のところ電王戦>>その他タイトル戦、順位戦となってしまっている。棋聖戦も引き続きこの両者の対戦なのだが、盛り上がるだろうか? 序列7位の棋戦ということもあり心配である。どちらが勝っても3-2となればいいのだが。

 では将棋の感想。

 またもや相掛り。アマではほぼ指されないこの戦形、プロは好きですね。序盤で驚いたのは▲5六角と△2四歩の応酬、プロの反応だった。私としては▲5六角は普通の手だと思う(ゴキゲン中飛車等でよく出てくる角打ちであるから)のだが、ニコニコの豊川七段はひどく驚いていたのが意外である。対して△2四歩以下一歩を犠牲にしての銀冠構築は私には思いつかないのだが、プロとしては普通の発想であるようだ。とはいえ、佐藤九段は「はじめてみた」とコメントしている。私には経験値がなさ過ぎてなんともいえないのだが、3四歩を守る備えがない段階では3三桂を跳ねないのが通常の考え方だった。しかし、この将棋のような指し方ができるのであれば、指し手の選択肢は増える。いい勉強になった。



 その後森内名人の引っ張り込みが右翼であり、銀桂交換の戦果。しかも防衛ラインは突破されていない。仮に突破されても盤面左側に後手玉が逃げることは可能で、普通に考えて後手指しやすそうである。△9五歩が入るとこれは後手の言い分が通ったも同然でその印象がさらに強くなる。但し、その前の▲2三歩に△同金と先手の言い分を通したのは私には理解できない。成られても当たりになるわけでもなし、丸無視して△7五歩以下総攻撃にでてはいけなかったのだろうか。



 本譜では角がとにもかくにも金と刺し違えることができた。▲2三飛成の感触はよくないので「これではね」というところもあるかもしれないが、局面は少し前より先手にとってましになったいるか。というのは▲4一金があったから。それにしても一段金か。。。この金が利かしになるとは。。すごい手があるものである。



 対して名人も△8七飛成で応酬。こういうど派手な手が出るのであれば普通は後手の勝ちとしたものなのだが、本局ではそうでもなかった。むしろ非常手段の感がある。先手玉が寄ったわけではないから。この後、△6四玉と脱出を優先していれば激戦が続いていたようで、惜しまれる。

 それにしても▲4二角ですか。これもすごい。この辺は本当に見応えがあり、名人戦らしい熱戦だった。



 これで羽生名人が序列1位に返り咲き。次に名人になるのは誰なんだろうか。森内復位というのはあるのだろうか。将棋ファンはどう思っているのか、知りたいところではある。