竜王戦挑戦者決定戦第2局は案外な内容に終わった。勝てば初挑戦だった郷田九段は投機的な作戦に自滅した。惨敗なので負けも惜しくないのかもしれないが、ここまでつくりが悪いと、後悔の念も湧いてくるのではないかと心配してしまう。それにこういう大勝負で投入してよい作戦思想でもないだろう。

せんすぶろぐ

 問題の局面は1図の飛車ぶつけである。交換で後手を引くのだから、こういうことをしていい条件は、

1.自玉が相手玉よりも堅い。
2.相手陣に浮き駒がある。
3.飛車交換をしても相手に有力な打ち場所がない。

のいずれかとしたものだろう。

 この局面は、1は互角、2は該当せず、3は本譜のように▲8四飛がある。先手陣が6八玉型もしくは6八銀型ならまだしも(先日の王位戦第4局を思い出させる)、飛車交換後の2四銀型も好形とはいえず、一体何を評価して郷田九段が飛車交換に踏み切ったのかさっぱり理解できない。

 どうも今年度の番勝負は熱戦が少なくて、このままだと年度最優秀対局が電王戦になるのではないか、という懸念が少しありますね。