肩が痛いときでも、

肩だけでなく骨盤や体幹、下肢までみるべきだ、

という考え方があります。



これが、運動連鎖。

いわゆるキネティックチェーンという考え方です。



たしかに身体はつながっています。



歩くときも、

腕を上げるときも、

一つの関節だけで動いているわけではありません。



だから、

「肩の問題は肩だけの問題ではない」

という説明は、とても自然に聞こえます。



実際、整体やトレーニング、リハビリの現場でも、

この考え方はかなり広く使われています。



ただ、

ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。



それは、

説明として分かりやすいことと、

その理論に基づく方法が本当に特別に効果的かどうかは、

同じではないということです。



たとえば肩の痛みに対して、

肩まわりの運動に加えて、

全身の連動まで重視した運動を行った研究があります。



ですがその研究では、

どちらの方法でも痛みや機能は改善した一方で、

運動連鎖アプローチのほうが明確に優れているとは示されませんでした。



つまり、

良くなったこと自体は事実でも、

それをそのまま

「やはり運動連鎖の理論が正しかった」

とは言えないということです。



ここはとても大事です。



人の身体は機械のように、

いつも同じ正解の動きがあるわけではありません。



脳はその場の状況に合わせて、

いくつもの動き方の中から選んでいます。



しかも、

痛みやしびれがあるときは、

単純に姿勢やフォームだけでは説明できないことも少なくありません。



皮神経や末梢神経への刺激の受け方、

身体の感覚の変化、

不安や注意の向き方、

過去の経験など、

さまざまな要素が重なって

今の反応がつくられます。



だから、

「この動き方だから悪い」

「この連鎖が崩れているから痛い」

と単純に決めつけるのは、

少し慎重であるべきです。



もちろん、

全身をみる視点そのものが無意味という話ではありません。



肩だけ、

腰だけ、

ひざだけと狭く見るより、

身体全体の使い方を観察することには意味があります。



ただし、

それはあくまで見方の一つです。



理論として分かりやすいことと、

科学的にしっかり確かめられていることは分けて考える必要があります。



この視点を持つと、

「有名だから正しい」

「よく使われているから根拠がある」

とは限らないと気づけます。



そしてそれは、

施術や運動を受ける側にとっても、

かなり大切な視点です。



身体はもっと複雑で、

もっと柔軟です。



一つの理論だけで、

すべての痛みやしびれを説明しきることはできません。



運動連鎖という言葉を聞いたときも、

それが説明なのか、

本当に効果が確認された方法なのかを分けて考えるだけで、

見え方はかなり変わります。



そういう見方もあるのか、

と思っていただけたら十分です。

 

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