今回の記事は青山学院横浜英和中学校の平成29年の入試問題からになります。

 

この学校は横浜英和女学院を2014年に青山学院大学が系属校化して2018年度より中高ともに共学化されたとのことです。

 

 

今回、この問題を選んだ理由は文章の内容というより「筆者」にあります。

 

以前に書いた豊島岡女子学園中学校の入試問題からみた理想の保護者像の問題文の筆者と同じだからなんです。

 

榎本博明さんという心理学の博士の作品なんです。

 

 

結局のところ、一定以上のレベルの学校ではこの筆者の作品が好まれるということになるのだと思います。

 

中学入試の国語の研究を最近始めました。

 

それほど時間をおかずにこの筆者の作品に再び出会ったということから考えて、おそらく「頻出」なんだと思います。

 

まだまだ研究はしていきますが難関校を受験予定でしたらぜひこの筆者の作品は読んでおいてほしいです。

 

当然ながら高校入試、大学入試にしても出題される可能性はあります。

 

ただ読むだけではなく、筆者の論理構成も考えながら「精読」するとさらに良いと思います。

 

文章は基本的に「言い換え」を繰り返すことで筆者の主張を理解できるような構造になっています。

 

受験塾では解答方法もですが、文章構造も解説していると思います。

 

その授業で習った方法で読んでみるとよいと思います。

 

問題

 

入試問題を見てみましょう。

 

文章は声の教育社の過去問で6ページもあります。

 

慣れていないと長すぎると感じるはずです。

 

面白い話なので是非手に入れていただきたいと思います。

 

「日本は恥の文化だ」から始まります。

 

恥ずかしいから悪いことはできないなどと考えて行動するのが日本人だと書いてあります。

 

典型的な二項対立型の文章です。

 

そうだとすると、次に出てくるのは当然ながら「欧米人」や「中華圏の人」となるはずです。

 

基本的に「欧米人」になるんですけどね。

 

欧米人の傾向と日本人のそれを比較しつつ日本人像を明確にしていく手法です。

 

統計などによると日本人は欧米人より「周囲の目」が気になるようです。

 

さらに「日本人は自己主張が苦手だ」と書かれています。

 

アメリカ人は自己主張をすることで相手を説得する傾向にあるとされています。

 

一方日本人は相手との調和を考えた主張になると書かれています。

 

行動原理が「自分のため」というより「他人のため」に傾いていると指摘しています。

 

さらに「人間」という文字が示すものに関しての記述もあります。

 

実際この作品を授業で扱うとするならば、対立点をまとめていく形になると思います。

 

学校の考え

 

なぜこの作品を学校が選んだのかを考えると「求める人物像」が分かります。

 

とはいえ、この作品は豊島岡の話と比較すると何を主張しているのかが見えにくいです。

 

ですが、ちょっと考えてみて「自立」を求めているのではないかと感じました。

 

つまり、日本人であって欧米人ではない「自分」に気づかせるための文書かなと思うのです。

 

言い換えれば「他者との差異の存在」を認識することからアイデンティティが芽生えるのだと思います。

 

他者とは異質の自己の発見を促すような文章だと思います。

 

つまり、学校が求めている人物像は「自立心のある子ども」だと思われます。

 

確かに文章が長いので純粋な読解力や忍耐力を試しているとは思いますがメッセージも含まれていると思います。

 

さらに言えば、この学校を受験する動機が親や塾講師の「圧力」でなく自分で決めたという受験生の方が精神面から考えれば優位なんだろうなとも思います。

 

最後に

 

いろいろな学校の過去問を見るのって面白いですよ。

 

 

まだ読んではいませんが「病的に自分が好きな人」という本は持っています。

 

受験もただただテキストを進めるだけではなく「拡大」することで楽しめると本当の意味で「勉強」をしたことになるはずです。

 

いろいろ視野を広げて楽しく受験勉強を進めていきたいですよね。

 

久しぶりに宣伝しておきます。

 

先進舎進学教室について

 

夏期講習はありません。

 

通常授業のみになります。

 

幅広く対応していますので是非ご検討を。