札幌 — 雪、郷愁、そしてカビだらけのマンション
1987年、私が旦那さんと出会ったのは札幌。 雪が静かに降り、街の灯りがきらきらして、ロマンチックな雰囲気……のはずですが、旦那さんはロマンチックとは程遠いタイプ。本人は反論するでしょうけど。 でも、そこに彼がいた。それだけで十分だった。
2019年の冬、家族で札幌へ
2019年のクリスマス、ニセコで働いていた娘に会うため、家族全員が札幌に集合。 旦那さん、息子2人、そして私。 とても温かく、雪深く、まるで日本版ホールマーク映画のような時間。
ある夜、旦那さんが「家族のつながりは、上の世代がいなくなると薄れていく」という話をし出した。 葬儀は小さくなり、習慣は消え、訪れる理由も減っていくと。
父は13人兄弟の末っ子。母は一人っ子。 父が亡くなった頃には、残っていたのは従兄弟たちだけ。弟はその中で最年少。 親戚が減れば、札幌に来る理由も減る。
でも札幌は、私たちが出会った場所。 旦那さんが“ロマンチックなふり”をした唯一の場所。
そんな中、旦那さんが珍しく感傷的になり、こう言いました。
「札幌に拠点を残しておこうか。戻ってくる理由になるし。」
私は本気で気を失いそうになった。 旦那さんが感傷的?そんなこと、今まで一度もなかったのに。
こうして、札幌マンション探しが始まった。
2020年1月、運命の物件と「カビ、Kabi、KABI」
帰欧前にいくつか物件を見たが、完璧なものはなし。 しかしルクセンブルクに戻って荷ほどきをしていた頃、不動産屋から連絡が。
「同じ建物に新しい物件が出ました。前より広くて、安いです。」
私は弟と娘に見に行ってもらった。
- 弟の感想:「古い」
- 娘の感想:「カビ」つまり、カビだらけ。
日本ではルクセンブルク同様、新築が大人気。 古い物件を買ってリノベするなんて、冷めた味噌汁レベルで嫌がられるみたい。
弟:「古い」=「なんでこんなの買うの?」
娘:「カビ」=「ママ、お金かかるよ……」
でも買いました。 正確には、旦那さんが私のために買ってくれた——ということにしています。
契約の日:娘が挑んだ“日本式不動産売買”
2020年1月、娘が契約書にサイン(正確には押印)しました。 しかしその前に、彼女には2つの重要ミッション。
1. 印紙税 —— 本当に“印紙”を買う
日本の印紙税は比喩ではなく、本物の紙の印紙。 購入価格の約1%。 印紙がなければ契約は進まない。
私たちは娘に伝え忘れ、彼女は自腹で印紙を買い、倒れそうになったそう。
2. ハンコ —— 令和の時代にヴィクトリアン儀式
日本では署名ではなく印鑑(ハンコ)。 印鑑登録が必要で、認印ではダメ。
娘は持っていなかったので、 印鑑を買い、登録し、書類を揃え、「昼までにマンションを買え!」というゲーム番組の挑戦者のように走り回った。
日本の契約はサインではなく、 厳かに、正式に、印鑑を押す儀式。 まるで皇室の勅令を承認している気分。
娘はやり遂げ、物件は私たちのものに。 その数週間後、世界はCOVIDでひっくり返える。
娘は仕事を失い帰国。 つまり、オーナーなのに一度も住んでいない。 住んでいたのはカビだけ。
そして始まった“日本式リノベ地獄” と2023年まで行けず
日本に行けなかった3年間、私は友人に頼んでリノベ会社を探してもらった。 そこで知ったのが、日本の超厳格な建築基準。
- 地震対策で床は強く
- 壁はもっと強く
- 火災基準は1950年代英国の校長先生並みに厳しい(ムチはないけど笑顔はある)
畳はカビと損傷で壊滅。 許可申請は皇室入りより難しいレベルの書類量。
最初の業者は「うちは床には触れません」。別の会社を紹介してくれた。 その会社がすべて請け負ったが、費用は…… 購入価格のなんと2倍。 私の10%ルールは荷物をまとめて国外逃亡。
家具はニトリで注文し、札幌に配送。 弟(独身)は受け取りはしてくれたが、組み立ては拒否。 ベッドもテーブルも棚も箱のまま。
「後は自分でやって。」はい、 ありがとう。
2023年札幌の夏、予想外の“暑さ”
2023年から毎年夏を札幌で過ごしている。 数年前はあまりの暑さにエアコンを導入。 札幌でエアコンなんて、昔は考えられない。 北海道の“涼しい”イメージは、気候変動に完全無視。
それでも、カビ、規制、リノベ費用、エアコンの驚き—— すべてひっくるめて、私たちは札幌が大好き。
今年の夏も、また戻るのを楽しみにしている。
もちろん、もっとカジュアルで軽い感じにしてみました。読みやすくて、あなたらしい温かさが伝わるトーンにしています。
ブログを読んでくれて、本当にありがとうございます。
実はこのブログを始めたのは、去年のクリスマスに子どもたちから“まっさらな日記帳”を渡されたのがきっかけよ。メッセージには「ママのこと全部知りたい」って書いてあって、なんだか急に人生の宿題を出された気分になった。
それでまず、イギリスやヨーロッパで25年間教師をしてきた話を書き始めた。そしたら今度は子どもたちが「引っ越しのたびに家を買って直して売ってきた話も書いてよ」って。確かに。Wi‑Fi のパスワードより頻繁に住所変えてきた。
次はイギリス教師時代の話を載せる予定。公立校で数学とITの教師を25年間。
ロンドンのレストランも紹介して行く予定。
子どもたちみんなロンドンの“トレンディーなエリア”に住んでいて、私じゃ絶対選ばないような、でも行ってみるとめちゃくちゃ美味しくて面白いお店に連れて行ってくれる。そんなお店を紹介いていく予定。
どうぞ、これからもブログを覗いてみてくださいね。


