『死者の代弁者』 | 浅慮相乗のブログ

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TL上で懐かしい書名を見ました。

『死者の代弁者』

映画化された『エンダーのゲーム』から始まるエンダー・シリーズの中の1つで、新訳が出るというお知らせでした。

早川書房創立70周年文庫企画 ハヤカワ文庫補完計画、始動。 (2015/03/12)
http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2015-03-12-164233.html

他にも懐かしい書名がずらりと並んでいますが、カードの作品が目に留まったのは、今朝読んだ、この記事のせいかも。

”個人情報保護法では、生きている人の情報だけを対象としていますが、病院では亡くなられた患者さんのカルテも一定期間保存しています。このような情報も、厚生労働省が出しているガイドラインで、生きている患者さんの情報と同じように安全管理を行うよう定められています。患者・利用者ご本人が亡くなられたとしても、その人の医療や介護に関連する情報は家族にとってはセンシティブな情報ですので、このようなガイドラインは医療機関・介護サービスと家族の間の信頼関係のためにはとても大切です。”
ヘルスケア情報のセキュリティ:個人情報保護・倫理・そしてデリカシー
http://www.nisc.go.jp/security-site/month/columu/20150312.html#columu1

で、この記事を読んだ後に、TLでHIPPA(The Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)に関するツイートを見たものだから、余計に気になったのかもしれません。そのツイートで紹介されていた記事はこちら。
Privacy Rights Survive a Patient’s Death
http://practicemanagementdaily.com/privacy-rights-survive-patients-death/

HIPPAについて、より詳しく知りたい方はこちらなどいかがでしょうか。

U.S. Department of Health & Human Services
Health Information Privacy
http://www.hhs.gov/ocr/privacy/index.html

死者に関する情報は、生者にも影響を与えます。死者のプライバシー尊重というのは、死者を代弁するというよりは、生者のためのものだと言えるでしょう。

プライバシー保護の相関関係、とでもいえば良いのでしょうか。うまい言い回しを考え付かないのですが、死者のプライバシーは、一人その死者のみに属するものではなく、生者のものでもある。同じようなことは遺伝情報にも言えると思います。

今国会(第189回 通常国会)に提出された個人情報保護法改正法案(個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案)では、病歴等は「要配慮個人情報」という名称のもと、特段の配慮を要するものとされています。現行の個人情報保護法第2条に以下の内容を付け加えるというのが案として提示されています。

”3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。”
http://www.cas.go.jp/jp/houan/150310/siryou3.pdf

要配慮情報は特例を除き、オプトインでしか取得することはできません。

”2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。”
http://www.cas.go.jp/jp/houan/150310/siryou3.pdf

改正案についての資料へのリンクはこちらにあります。

内閣官房 国会提出法案 第189回 通常国会
http://www.cas.go.jp/jp/houan/189.html