ポイントカードはお持ちですか? | 浅慮相乗のブログ

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エントリ「まとめてみた」 http://ameblo.jp/senryo-sojo/entry-11997074247.html で紹介したまとめ、いまもちょこちょこ追加してます。

小学生のデータをまとめて提供? #武雄市図書館 は小学生ビッグデータの夢を見るか?
http://togetter.com/li/788474

追加したツイートにあったのですが、学校取りまとめでの図書館利用者登録はH25年度だけ休止、それまでは毎年、新一年生を中心に毎年度実施されていたとのことでした。じゃ、従来通りで問題ないんじゃないかと一瞬考えそうですが、平成24年度までは武雄市図書館は指定管理ではありませんでした。貸出カードにはTポイント機能はなかったのです。

平成25年度に武雄市図書館は指定管理に移行し、館内に指定管理者が運営するカフェ、書店、レンタルショップが作られました。この指定管理者が運営する共通ポイント、Tポイントの機能が付加された図書の貸出カードを公立小学校が取りまとめて作成するのは今年度が初めてとなるのです。

上述のエントリでも紹介したこちらでは問題点を簡潔に指摘されています。

武雄市の小学校で図書利用カード(含むTカード)が一斉作成されることの違和感 - dechnostick's blog
http://dechnostick.hatenablog.com/entry/2015/02/28/042015

”このことについて懸念が指摘されている。個人的には次の点が問題だと思う。

カード作成が任意であることが分かりづらい
「図書利用カード(ポイント付き)」が Tカードであることが分かりづらい”
http://dechnostick.hatenablog.com/entry/2015/02/28/042015

これは手続きについての指摘ですが、これ以外にも以下の点が。

(1)武雄市子ども読書活動推進計画と「ツタバ図書館」の乖離
(2)自分でリスクを負えない児童のパーソナルデータが、保護者の同意により収集・蓄積されることの懸念
(3)学校で Tカードを作ることの不気味さ

(3)はご自身が問題と考えられている点と(1)、(2)を踏まえたうえでの指摘となっています。義務教育を行う公立小学校で、外部の組織の便宜を図ることの異様さ、異論を出しにくい環境、それぞれ異なる家庭環境にある児童への配慮に欠けること、等々。

”図書利用カードを学校で作成することも、公共図書館に閉じた一利用カードとしての位置付けだからこそだったのであり、Tカードになってからも同じことができると考えるのはあまりにもナイーブだ。”
http://dechnostick.hatenablog.com/entry/2015/02/28/042015

プライバシーフリーク的にはこの一文が肝でしょうか。指定管理者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブはヤフー!ジャパンとのID連携に関し、名称を明示こそされてはいませんが、以下のような指摘を受けています。

”経済産業省所管事業者において、ログイン ID を共通化しポイントを統合することをうたって利用者に ID 連携の登録をさせ、そのときには「現時点ではショッピング履歴などの共有・統合は行われない」「インターネット上の行動履歴などの情報を提供することは現時点で計画していない」などと記者会見等で述べていたにもかかわらず、その 1 年後に突如プライバシーポリシーを一方的に変更して、オプトアウト方式で履歴情報を第三者提供しようという行動をする者が現れています。”
全国地域婦人団体連絡協議会:パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(事務局案)に対する意見
第12回 パーソナルデータに関する検討会 参考資料2
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai12/sankou2.pdf

オプトアウトによる第三者提供については個人情報保護法改正の焦点の1つであり、骨格案には含まれましたが、政権与党である自民党からの意見では削除されています。

これについては長くなるのでここではこれ以上触れません。オフラインでの利用だけなら問題はないのではないかとの考え方もできますので。実際にはデータは収集され、結合可能な状態に置かれるのですが。

行政としての問題点は、やはり特定の事業者への利便供与とみなされかねない行為が行われているという点だと思います。

私が小学生の頃には、小学校で読書感想文コンクールの課題図書の販売をしたり、学研の『科学』、『学習』という雑誌の購入あっせんをしていました。現在では少なくとも後者についてはやっていないと思います。特定事業者との関係についてのアカウンタビリティがきちんと問われる時代になったのです。

その在り方に様々な意見があるにしても、武雄市図書館は社会教育施設です。では、その指定管理者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブの事業全ては社会教育に必要不可欠なものなのでしょうか?選択の余地が少ない義務教育を行う公立小学校でその事業を補完しなければならないほどに公共性の高いものなのでしょうか?

小学校ではTポイント機能のない貸出カードの作成のみを取りまとめ、行うことが望ましいと思います。被保護者のカードにTポイント機能を付与したいと思う保護者は武雄市図書館に行けば作ることができます。

なぜ、一事業者に義務教育機関が便宜を図らなければならないのでしょうか?