底力 | 浅慮相乗のブログ

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「地婦連」ときくと、何を想像しますか?「ちふれ」化粧品を思い出す方もいらっしゃるかもしれないですね。私の家族も愛用しています。おしゃもじとエプロン?残念でした。それは「主婦連」です。

全国地域婦人団体連絡協議会
http://www.chifuren.gr.jp/zenchifuren/sosiki.htm

名称の通り、地域婦人団体の集まりです。1952年結成の長い実績のある団体ですが、どちらかといえば地味な印象があります。ところが、昨日開催の第12回 パーソナルデータに関する検討会で、この団体が一躍注目を集めました。

第12回 パーソナルデータに関する検討会 議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai12/gijisidai.html

配布資料のうち、(参考資料2) パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(事務局案)に対する意見(長田委員提出資料) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai12/sankou2.pdf
 が地婦連による山本一太内閣府特命担当大臣宛に提出された意見書だったのです。

パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(事務局案)に対する意見
http://www.chifuren.gr.jp/press/p_140616/p_140616.html

その内容が消費者の感覚を的確に反映し、かつ、ビジネス環境をも見据えたものであり、課題を指摘するとともに対応も提案したバランスの良いものであることに驚きの声を上げた方も多かったようです。しかも、この意見書の提出日は6月16日、6月9日開催の第11回 パーソナルデータに関する検討会でパーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(事務局案) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai11/siryou1.pdf が公開されてから1週間しか経っていませんでした。

我が家の後期高齢者に地婦連がこんなのを出したんだよと話すと、マンパワーがあるからと返ってきました。ブレーンがついているとしても、的確なブレーンを連れてくるのも能力のうち。地婦連の底力をいかんなく発揮されたようです。

この意見書に関連して、いくつかツイートしましたので、こちらに載せておきます。

[ツイート引用開始]

地婦連すごいは。
パーソナルデータの利活用に関する 制度改正大綱(事務局案)に対する意見
http://www.chifuren.gr.jp/press/p_140616/p_140616.html
前回の検討会が6月9日でこの意見の提出が6月16日。1週間でここまで詰めたんだ。
https://twitter.com/senryoAIIT/status/479588318661713921

「名簿」を2大別して、本人に対する不利な評価を目的とするものはオプトアウト方式での第三者提供を全面的に禁止とな。そりゃ本人にわざわざお前の悪口をどこそこで見たなんて言わないもんねえ。つーか、オプトアウト方式の場合は複数のチャネルでデータ主体にリーチすることを義務付けてほしい。

2.2)はどう見てもY!J-CCC連携の話だね、これ。
”インターネット上の行動履歴などの情報を提供することは現時点で計画していない」などと記者会見等で述べていたにもかかわらず、その1年後に突如プライバシーポリシーを一方的に変更して、オプトアウト方式で履歴情報を第三者提供”

”我が国のみで目的外利用をオプトアウト方式で認めたとしても、欧州や米国のデータ保護の水準には至っておらず、事業者がサービスを国際展開する際には妨げになる”
んだ。なんで事業者がこれに思い至らない?そうそう、Y!Jのページ、プライバシー保護ツール入れるとほとんど読めないって?

”保有しているデータの種類によっては、欧州のデータ保護機関から域外に直接執行される可能性もある”
CNILやカナダOPC、米国FTCその他諸々を相手に大立ち回りできるのかね?

”プライバシー・アドボケイトの存在を無視して、仕組みだけを導入するのは欺瞞的に過ぎます。”
EPICやEFFの存在は事業者にとって不利なだけではないと思う。散在した反対意見を潰すよりも、このような団体と認識合わせをしていくことで無理のない事業展開ができるんじゃないか?

”自主規制ルール策定段階で消費者・利用者の声を適切に反映していない場合、形式的に自主規制ルールに従って事業を行っても、後の段階で消費者・利用者からの異論が生まれ、事業の継続性が危ぶまれることもあり得ます。”
http://www.chifuren.gr.jp/press/p_140616/p_140616.html

※これ以前もすべて同リンク

地婦連意見書での名簿例、判例はこちら。
平成14(受)1656 損害賠償等請求事件   平成15年09月12日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻し 東京高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120729804677.pdf
https://twitter.com/senryoAIIT/status/479599367783845888

”上告人らが任意に提供したプライバシー に係る情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切るものであり,上告人らの プライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するというべきである。”
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120729804677.pdf
判例は出席者名簿だけど、購買や閲覧の履歴では?
https://twitter.com/senryoAIIT/status/479601692304871424

”ログインIDを共通化しポイントを統合することをうたって利用者にID連携の登録をさせ”た後に”プライバシーポリシーを一方的に変更して、オプトアウト方式で履歴情報を第三者提供”は情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切るものじゃないのかね?
https://twitter.com/senryoAIIT/status/479602618298146819


[ツイート引用終了]

第12回 パーソナルデータに関する検討会を傍聴した方のツイートまとめとメディア記事は以下の通りです。

パーソナルデータに関する検討会第12回会合 (和睦編 高木バージョン) - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/682192

ひろみちゅせんせとタイコ - ジュンコ is DEAD - Togetterまとめ 
http://togetter.com/li/682190

検討会 ビッグデータ活用で大綱 NHKニュース
http://nhk.jp/N4Dw6RRH

NHK「NEWS WEB」
6月19日(木)
深知り
ビッグデータ時代のプライバシー保護は?
http://www3.nhk.or.jp/news/newsweb/index.html
※動画あり。但し閲覧できるのは恐らく6月26日(木)まで

ネット履歴など、情報匿名化なら提供可に : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 
http://www.yomiuri.co.jp/it/20140618-OYT1T50148.html

パーソナルデータ:匿名化で提供OK同意不要 政府大綱案 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20140620k0000m010114000c.html

利用目的の変更に「実効的な規律」、パーソナルデータ法改正大綱案を了承
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140619/565482/

メディア記事は最後にご紹介したものがもっとも適切なように思いました。


[おまけ]

「イン?アウト?」 http://ameblo.jp/senryo-sojo/entry-11879801579.html で書いたY!JとCCCの情報提供のオプトアウトについて、ブログで詳しく書いてくださった方がいらっしゃいました。

プライバシーフリークのためのYahoo!JAPANとCCC(Tポイントカード)オプトアウト手順
http://reynotch.blog.fc2.com/blog-entry-848.html

オプトアウトしたいけど、やり方がよくわからないという方、ぜひご覧ください。


[もひとつおまけ]

6月22日(日)にビッグデータとプライバシーに関する学習会があります。
以下、主催者のサイトからの転載です。


学習会「追跡されるあなた
     -ビッグデータとプライバシー-」
http://idobata.tokyo.jp/

市民自治井戸端会議主催 2014年度西東京市公民館市民企画事業
ポイントカードやIC乗車券・定期券(Suicaなど)の利用履歴、携帯電話の位置情報など巨大なデータはビジネスや災害時のシミュレーションなど広く活用されています。
しかし、これらの情報は匿名であっても、それぞれを結びつけることにより個人を特定したり、利用者が気づかないままに行動や嗜好などが把握されるといったことが懸念されています。
また、駅や店舗の防犯カメラの人物画像を解析し利用するといった新しい試みも行われようとしています。
これらの最新事情をわかりやすく解説していただいた上で、問題点や利用者が気をつけるべきことや市民が納得できる情報活用を考えます。

日時:2014年6月22日(日)14時~16時30分
会場:西東京市田無公民館視聴覚室
   (西武新宿線田無駅南口下車徒歩3分)
講師:前田勝之さん(情報セキュリティ技術者)
資料代:100円
主催:市民自治井戸端会議(西東京市公民館市民企画事業

予約不要です。直接会場にお越しください。
市内・市外問わずどなたでもご参加いただけます。