21世紀の初頭、きゃりーぱみゅぱみゅという類まれな表現者が現れた。そのことを素直に喜びたい。
彼女とそのプロジェクトは我々に何をもたらそうとしているのか。その作品を通じて多くの人びとに潤いを届けていることには疑いをいれないが、もっと深い意味があるように思う。
きゃりーのファースト・フルアルバムのタイトルは「ぱみゅぱみゅれぼりゅーしょん」である。増田セバスチャンが原宿に設立したショップ6%DOKIDOKIでも「革命」のバッジが売られている。きゃりー自身、原宿カワイイ大使に就任した際の会見で「原宿のカワイイカルチャーを全世界に広めて世界中を麻痺させたい」と述べている。何とも清々しい。
「カワイイ」のオブラートに包まれてはいるが、このプロジェクトが目指すのは意識の革命だろう。それは否定と破壊に徹したダダイズムでもなければ、現実世界を超えようとしたシュルレアリズムでもない(ただし、きゃりーが得意とする変顔はダリも好んでやっていたし、両者の作品の中に共通項がないわけではない)。我々が見ている現実を色鮮やかな世界に転化させようとするムーブメントである。今のところ「きゃりーイズム」としか言いようがない。
「きゃりーぱみゅぱみゅ」は、きゃりー個人を意味するとともに、表現者たちのプラットフォーム、あるいは「場」を意味している。フランス革命におけるバスチーユ広場、ロシア革命における赤の広場になぞらえるなら、「きゃりーぱみゅぱみゅ」は芸術的革命の広場である。我々は、その広場で起きている静かな革命を目撃しているのである。(終)