※以下ではネタばれはいけないので、内容には触れません。
東野さんが帯で”ここに登場する湯川学は「シリーズ最高のガリレオ」だと断言しておきます。”と書いておられますが、ん~、ちょっと言い過ぎな気も(PR戦術としてはいいでしょうね。なんか何度も閉店セールと言っている店と近い気もしないではありませんが)。でも、十分楽しめたのはたしかです。ちなみに、読むときに、ガリレオの主題歌がずっと頭の中でリフレインしてました。
本作品はミリテリーという感じはあまりしません。ただ、パズルのように、あるパーツと別のパーツがだんだんつながっていくのは、爽快感があります。東野さんは、数式をいったん解いた後、いくつかにバラすような手順で本を書いているのではないか?などと推測します(どっちがガリレオなんだ?)。野暮ですが、どこかで聞いてみたいものです。
登場人物の描き方が軽めと言いますか(浅いなどというとエラそうなので躊躇しますが)、なぜこういう行動をしたのか?もうちょっとあってもよいのかと思いました。この点では、やはり「容疑者Xの献身」のほうがよいのではないかと推測します。まあ、このへんはむずかしいところなのでしょうね。あまり描くと、すっと読めませんし。
もうひとつ感じたのは、文章が非常に短くて端的です。これもテンポよくすーっと読めるコツなのでしょうか?たとえば、こんな感じ。
建物に足を踏み入れると懐かしい臭いがした。薬品が混ざり合ったような臭いだ。初めて来た頃は抵抗があったが、慣れてくると気にならなくなった。むしろ頭が冴えるような気さえするのは、この場所で会う相手の影響か。(p.70)
一文が20、30文字しかありません。文が4つ。たとえば、この個所は、次のような文章(文を2つにしてみた)でもよいのですが、ややテンポが変わり、やはり、上記の元の文章のほうがよいことがわかります。
<一部改変バージョン>建物に足を踏み入れると、薬品が混ざり合ったような懐かしい臭いがした。初めて来た頃は抵抗があったが、この場所で会う相手の影響か、慣れてくると気にならなくなり、むしろ頭が冴えるような気さえする。
ちなみに、この文章では、主語が省略されているのも、テンポをよくしています。しかし、そのために、野暮かもしれませんが、臭いをしたや頭が冴えると感じたのは誰かは不明瞭です。この個所では、草薙なのか、内海なのか、どっちでしょう?
話がそれてきましたが、小説も、映画(きっとそのうち映画化されるでしょう)でも相当楽しめると思います、警視庁側もみんな出てきますし。そのときは、探偵と科学を愛する長男といっしょに観に行きたいです。
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