妹尾昌俊 アイデアノート ~学校づくり、地域づくり、人づくり~ -30ページ目

妹尾昌俊 アイデアノート ~学校づくり、地域づくり、人づくり~

ちょっとしたアイデア、どんどんシェアします。
たくさんの学校や地域活性化の取組を見てきた経験や、4人の子育ての中での喜怒哀楽から、
よのなかがもっと面白くなるヒントをノートします。
☆学校づくり×地域づくり
☆子どもが大きくなったら語り合いたいこと など

小林登志子さんの『文明の誕生』(最近出た中公新書)を読んだ。我々の文明はどこから来たのか?本書では、約5千年前のメソポタミア、とくにシュメール文明を中心に、たいへんわかりやすく解説している。歴史の教科書とは異なり、都市、職業、暦、交通網、金属、文字、女性などのテーマ別に、古代にはどんな世界が広がっていたか、不思議発見という感じで展開する。

たとえば、古代の職業について記述した粘土版が残っている、約4千年前のものだ。そこには、エンシ(王様のことらしい)、サンガ職(神殿の行政官)、通訳、料理人、外科医、印象彫師、宝石細工師、歌手、蛇使い(蛇を使った呪術師)、理髪師、校長などなど220もの職がのっている。現代とあまり変わらない職業も多く、案外、人の生業というのは4千年もの間でそう大きな変化はしていないのかもしれない。

文字についての章も興味深い。僕などは教科書的に楔形文字という暗記しかしていないのだが、本書によると、まず、現在わかっている範囲だと、シュメール文明がもっとも最古の文字を使っていたこと、その文字は楔形文字が使われるはるか前のものであり、絵文字であるとのこと。p135に古代の決算書と思われる粘土版文書の絵文字が紹介されているが、どこか、小学生の落書きみたいで、可愛らしくもある。

古代人の男と女のもめごとについて触れた章も面白い。「もし人が姦通した若い男の妻を姦通のゆえに訴え、『河の神判』が彼女の無罪を証明したならば、彼女を告発した人は銀20ギンを払うべし」とウルナンム法典に書いているそうだ。
河の神判とは、河に落とされて、溺れないで生きて帰ってこれれば、無罪というもの。これで本当に納得したのか(仮に不貞をはたらいてなくても、溺れたら有罪になるのだから)と思ってしまうが、このあたりは、川で穢れを落とすという日本の古来の発想にも近いようにも思う。

なお、本書では、シュメールだけでなく、古代ローマや日本史、はては現代世界にも通じる点を縦横に言及してくれており、視野がタテ(時代の流れ)、ヨコ(地理的な広がり)に広がる。

これは、メソポタミアに行ってみたくなる本である。

文明の誕生 - メソポタミア、ローマ、そして日本へ (中公新書)/中央公論新社
¥994
Amazon.co.jp