ワグネルトップの発言はロシアの綻びか? | 大放言・毒を吐くブログ アメーバ版

大放言・毒を吐くブログ アメーバ版

独断と偏見で言いたい放題言ってるブログです。主に政治、世相、時々科学や食材について書きます。


 

 


※求心力が低下しているのか?

ウクライナを侵略しているロシアだが、正規のロシア軍の他にロシアの民間軍事会社「ワグネル」なる組織もウクライナ侵略に参戦している。しかしその「ワグネル」のトップが停戦するの言及する事態になっている。これはプーチンの方針に対する異論なのだろうか?そしてそういう声が公になる程プーチンの求心力は低下しているのだろうか?


※その「戦果」は認められるものではない。

ワグネルのトップであるプリゴジンなる者は

「ロシアはウクライナの重要地域を占領するなど十分な『戦果』を挙げた」

として「停戦」に言及した。停戦する事自体は決して悪い事ではないと思えるが、だからと言ってロシアがウクライナを「侵略した」と言う事実は変わらないし、プリゴジンが言う「ロシアのウクライナ重要地域の占領」とは「征服による領土拡張」以外の何物でもない。そしてその「征服による領土拡張」は国家の領土拡張手段として認められるものではない。現在国際法上合法な「国家の領土変更」は「無主地の先占宣言」(そんな場所はもうないが)、「当事国の合意による売買などによる変更」に限られる。少なくともそれらの行為により領土が縮小する国の「同意」は必須条件である。要するに国際法上認められているウクライナの領土はウクライナの同意無しに縮小する事は出来ない、と言う事だ。当然だがその「同意」は大国による脅迫なり強要と言った要素があってはならない。従ってゼレンスキー政権が「徹底抗戦」を主張している以上、そんな言い分がプリゴジンの様な民間(?)からであろうが、それがプーチンの意思の代弁であろうが通用する余地は皆無である。

※だからそんな主張は通用しない。


またプリゴジンは


「2月24日時点の前線を停戦ラインにすべき」


と主張し、それがアメリカがロシアに譲歩出来る内容だと主張している。2月24日はウクライナ侵略の始まった日であり、要するに丸1年かけて行った侵略戦争の(ロシアの言う)戦果を認めろ、と言う意味である。一方的な侵略戦争、そしてそれに伴うロシアの様々な戦争犯罪、それを無視して停戦するなどアメリカどころかウクライナだって認める訳がない。プリゴジンが何を根拠に「アメリカが譲歩出来る」と考えているのか意味不明である。


ウクライナを巡る問題の本質がどうであれ、現在プーチンのやっている事は「力による現状変更」以外の何物でもない。日本もそうだが、国際社会は「それを認めない」と言うのが総意であると言えるだろう。そもそも「力による現状変更」をウクライナ関連で「プーチンだけ例外的に認める」理由など最初から存在しない。国際法上そんな根拠があると言うなら是非とも教えて貰いたい程だ。勿論「欧米による挑発」と言った陰謀論や「プーチンはハメられた」とか言ってプーチンを擁護する輩は未だに居るが、そういう連中の口からその様な「合理的なプーチンの正当性の根拠」を聞いた試しはない。…まぁそんな物など最初から存在しないのだが。


従ってプリゴジンの主張など一顧だにする価値もないのだが、興味深いのは


「停戦しない場合ロシア軍はウクライナ軍の反攻で占領地域を奪還され、威信も失う恐れがある」


「ウクライナはかつてロシアの一部だったかもしれないが、今は国民国家だ」


とも言っている事である。プーチンは


「特別軍事作戦(と言う名の侵略戦争)は目標達成まで続ける」


としているが、独裁者であるプーチンの方針に異を唱えたもの、と解釈する事も可能な発言である。また、「ウクライナの反撃によって占領地域を奪還される可能性」に言及している事は「ロシア軍の限界」が近付いている裏返しだとも解釈可能だ。プーチンの目標云々に関わらず「目先の小成果」を確実に手中に収めようと言う「現場の声」だとも言えそうだ。


※その機会を与えているのがロシア自身では?

通常独裁者の指示は絶対であり、異論反論など口にする事すら憚られると言っても過言ではない。プーチンもその「独裁者」の一人だと言えるが、軍事請負会社と言う日本では考えられない会社であれ、民間からこの様な「プーチンの方針とは相容れない」と言える発言が出てくる事自体そういう意味では異例だと言える。例えプリゴジンの主張通りに停戦したとしてもそれでは「プーチンの目標」は達成したとは言えない。予想以上に戦況が長引いてワグネルの体力に限界が来ているのか?それともワグネル含めたロシア軍そのものがそうなのか?ウクライナを支援する欧米からの援助がこれ以上強化されれば勝ち目がない事を認識しているのか?要するにプリゴジンに言わせると「ここが引き際」だと言っているのだとも解釈出来なくもない。

勿論プリゴジンの主張をウクライナが受け入れる可能性はゼロだと言っても過言ではないし、アメリカも同様だろう。その意味ではプリゴジンの主張には現実味がないと言えるが、この発言をプーチンが無視した場合、プリゴジンが言及した事態が現実になる可能性はそれなりにあるのではないか?何だかんだ言っても軍事会社を名乗る以上、そのトップのプリゴジンにそういう「物を見る目がある」と考えるのは自然な流れであろう。とは言え普通に考えればウクライナとロシアの軍事力には大きな差がある。だからプーチンも作戦を楽観視していたのだろうが、ウクライナの抵抗に気圧されてか、奴の狙いは見事に外れた。そして欧米諸国の支援もあり、明らかにプーチンの目算は失敗に終わった。そしてこのプリゴジンの発言である。表面的には判らないだけで実はロシア軍も統制などで綻びが生じているのではないか?最初は気にする程でもない小さなものだったかも知れないが、戦局が泥沼化していく中でその綻びが段々と大きくなり、このプリゴジンの発言に繋がっているのだとしたら…?ロシア軍の崩壊も近いのかも知れない。

下馬評上での弱者が強者を倒す要因としてその様な「強者の綻び」は挙げられるだろう。弱者がそこを見抜いて的確にそこを衝く、と言うのではなく、強者が自らそれを晒して弱者に自らの弱点をカミングアウトするのでは世話ないが、ロシアはそれをやってしまっているのではないか?それではロシアは決して勝てまい。また、独裁者プーチンの意に反する発言が公然と出てきた、と言うのは「それだけプーチンの求心力が低下している」可能性すらある。ウクライナの反撃で撤退を余儀なくされるか?それともその前に内部崩壊するか?ロシア軍の末路はそのどちらかではないだろうか?いずれにせよそうなればプーチンの求心力は壊滅し、クーデターなり革命なりで失脚する可能性すらあるだろう。勿論世界平和の為にはこんな奴はそうなってくれるに越した事はない。そういう展開はあるのだろうか?