ロシア人はスターリングラード攻防戦を「ナチズムとの戦いの象徴」としているが、現在ウクライナで起きている戦争はロシアが一方的にウクライナに攻め込んだ事が発端だ。立ち位置で言うならプーチンはヒトラーのそれと同じなのである。「ナチズムとの戦い」などとどの口が言っているのか?
「われわれは繰り返し、西側諸国の集団的な侵略に対抗しなければならない。信じられないことだがこれは事実だ。ドイツのレオパルト戦車に再び脅かされている」
プーチンは演説でこの様に主張した。ウクライナを支援する西側諸国に「ロシアを滅亡させる」と言う意思を明確にしたのが誰なのかは不明だが、コイツの脳内では「ウクライナ=ロシアの一部」「ゼレンスキー政権=反露勢力」「守勢=侵略を受けている、即ち防衛戦」と言う事なのだろう。そう置き換えるとコイツが何を言っているのか?朧気に見えてくるのではないか?またドイツのレオパルト戦車を名指しで「脅威」と位置付けたが、要するにこれは
「レオパルト戦車を実践投入されれば困る」
と言う事なのだろう。ロシアの戦車ではレオパルトに対抗出来ない。そうプーチンも認識しているからこそこの様な発言になったのだろう。そうであれば尚更ドイツはウクライナを支援するべきだ。そうなればプーチンはドイツがウクライナを支援する事を「第二次世界大戦での恨みを晴らす為」と曲解しそうだが、ドイツはそんな事は微塵も考えてはいまい。ドイツは純粋に民主主義国家の一員としてプーチンのやっている事を許容出来ない、と言うだけの話だ。
何度でも言うがどんな歴史的経緯や理由があろうが、プーチンがウクライナでしている事は「侵略」そのものであり、「力による現状変更」でしかない。そしてそれは現在の感覚では許されない事である。それがプーチンに限って正当化される理由があるのか?プーチン本人はもとより、奴を擁護する人間の口からでさえそれを聞いた試しはないのだが、世界を納得させられる説明が出来る人間は居るのだろうか?
また、スターリングラード攻防戦で犠牲になったソ連の人々は「国の為に命を捧げた」英雄だと言えるが、その英雄達と自分のやっている侵略と同列に語ると言うのはプーチンは実際にはその英雄達を侮辱したも同然である。スターリングラード攻防戦で戦った兵士の霊がこのプーチンの演説を聞いたら怒り出すかも知れない。それどころか奴に天罰を下すかも知れない。不肖筆者は霊を余り信じていないクチだが、そんな事が本当に起きたら考えを改めるかも知れないが、実際の所はどうなのだろうか?