第11回精神科専門医試験解答解説の配布を開始しました。


今年度に行われる、第12回の解答解説の作成(毎年10問程度)にご協力いただくことを条件に第11回の解答解説を配布いたします。

ご希望の方は、お名前と勤務先をご記入の上、下記メールアドレスに連絡をお願いします。

 

senmonni@gmail.com

 

1. c,e
妄想性障害の予後が良い患者の特徴は、仕事や社会の適応水準が高いこと、女性、発症年齢が30歳以下、突然の発症、症状の持続期間が短いことが挙げられる。

 

2. d,e
リチウム中毒の治療は半減期が13~50時間と長く、蛋白に結合せず、分子量や分布容積が小さいことから血液浄化療法が有効であると考えられている。
c. 活性炭の使用については、リチウムイオンを吸着しないので、他の薬物との複合中毒でなければ無効である。
d. NSAIDsはプロスタグランジンを阻害し、腎血液を減少させ、尿細管におけるナトリウムの再吸収を増加させるため、短酸リチウムの血中濃度を上昇させる。このため併用によりリチウム中毒となることがあり注意を要する。
e. 血液浄化療法としては、ZimmermanによるHDの基準が有名で、①腎機能障害がある ②重度の中枢神経症状がある ③輸液療法に耐えられない ④リチウム血中濃度が4mmol/L以上の急性中毒もしくは2.5mmol/L以上の慢性中毒である。

 

3. e
a. 森田療法:神経症に対する精神療法。森田療法の原理は、精神相互作用による悪循環を断ち、とらわれから脱却させるために、患者に症状を「あるがまま」に受容させ、やるべきことを目的本位、行動本位に実行させ、人間に備わる自然治癒力を発動させることである。(解答と解説P109)
b. 精神分析療法:フロイトが創設した、心を分析することで精神疾患を治療する方法である。フロイトによると心は心的装置と呼ばれる3層(エス、自我、超自我)から成り立つ。
c. 集団療法(集団精神療法):統合失調症の精神療法には、支持的精神療法、認知行動療法、グループディスカッションを通じて自分の病気を見つめなおす集団精神療法がある。集団療法は通常10人前後の小集団を対象として、集団の中で自分の問題を語ったり、あるいは他の人の問題を聞いて、それに対して感じたことを発言する中で自分の感じ方や反応の仕方を知ることができる。同じ悩みを共有することによって、孤独感を緩和することもできる。集団の中には様々な力動=相互作用が生まれる。(共感、受容、同一視、普遍化、転移、現実検討、競合など)セラピストはこれらの力動を使ってそのグループの成熟を促し、同時に参加しているメンバーの個々の成長を助けていく。何を語っても、良い自由な雰囲気が保たれていると同時に統制もとれていて、セラピストによって場が保護されていることが求められる。(明記はされていませんが、おそらくこのことを「構造的組織化」と呼ぶのではないかと思われます)
d. 持続エクスポージャー療法(PE:Prolonged Exposure療法):アメリカの心理学者エドナフォアらにより開発されたPTSD治療のための認知行動療法プログラム。
PE療法は、成人のPTSDに対してエビデンスをもつ治療法で「PTSD治療ガイドライン」で推奨されている。PTSDの患者はトラウマとなった出来事について考えるだけでも、まるで被害が「まさしく今、ここで」怒ったように感じていることが多いが、トラウマ記憶への想像エクスポージャーを繰り返すことを通じて、トラウマを思い出すことでどれほど取り乱した としても、再び被害を受けるわけではないことが理解されるようになる。(https://www-f_lifecycle.com.info.2017/04より 他PTSDの認知行動療法マニュアル(治療者用)[持続エクスポージャー療法/PE療法要約]
e. EMDR:Eye Movement Desensitization and Reprocessing (眼球運動による脱感作と再処理法) はPTSDに対してエビデンスがある心理療法である。PTSDの診断がついていなくても、トラウマによって様々な問題が起こっていれば対象となる。EMDRでは、夢を見るときの早いスピードで動き回る眼球と記憶の整理が仮設的に関連しているととらえ、それを利用し起きている時にも睡眠における記憶の整理のようなことを行う。(「EMDRとは」日本EMDR学会より、他カウンセリングの技法 EMDRについて要約)
漸進的筋弛緩:一番筋肉の緊張がとれやすいのは、意識的に筋肉を緊張させた直後なので、これを利用したリラクゼーション法が「漸進的筋弛緩法」である。リラクゼーションとは認知行動療法の治療で用いられる方法のひとつで心身のリラックスを導くために使われ、不安神経症の治療でも用いられる。リラクゼーションは認知行動療法とほぼ同等の効果がある。

 

4. a,e
TIC:Trauma-Informed Careは、トラウマに注目した介入.組織的アプローチである。強制的治療手段を用いることの多い精神科救急医療現場では、治療自体がトラウマ/再トラウマ体験になる危険性が高く、それは当事者のみならず治療スタッフにとっても同様である。TICの概念を取り入れることで、当事者と医療との治療関係や予後の改善の効果が期待される。
TICとは ● ストレングスモデルに基づいた医療サービスのアプローチ
● トラウマが個人に及ぼし得る影響を理解して取り入れ、スタッフと当事者の双方に身体的.心理的.感情的な安全を確保し、当事者にコントロールとエンパワメントを促す機会を与えるためのもの。
● 医療サービスによる再トラウマ体験を回避するための対策を講じ、サービスの提供、評価には当事者の参加を重視する。
 TICを実践する具体例
① トラウマについての知識を正しく持つ
 ・精神疾患を有する人の51~98%にトラウマがある
 ・トラウマは扁桃体、海馬の成長阻害など脳発達を障害し、情動反応の調節異常を来す。特に幼少期のトラウマ体験は、成人後にも興奮や攻撃性を呈しやすくなるなどの影
  響を及ぼす。
② トラウマアセスメントを行う
 ・できれば当事者全員に、ファーストコンタクトのときに、トラウマ歴と関連症状のアセスメントをし、それをもとに治療を組み立てる。
③ 全スタッフが口調や服装などに気をつけ、威圧的・挑発的態度を避ける
 ・乱暴な物言い、命令や脅しをしない
 ・受付や警備員など、当事者が接するすべてのスタッフに徹底する
④ 組織全体でトラウマに敏感なサービスを提供できるようにする
 ・基準やガイドラインの設定、TICを熟知するスタッフ、ピアサポーターらの雇用、TICを評価する体制、他機関との連携など
⑤ 「暴力や衝突には原因がある」と理解し、当事者を責めない
「操作的」「アピール的」などの表現をしない
⑥ 治療の主役は当事者であることを忘れない
⑦ 疾患、治療についての教育を重視し、セルフマネジメントを促す
⑧ 薬物療法への過度の依存を避ける
⑨ 静かな巡回、スケジュールの周知など当事者の安心のための配慮を怠らない
⑩ 問題があるときには当事者と協力し、話し合って対策を考える
(精神科救急医療ガイドライン 第3章興奮.攻撃性への対応P54~55より)

 

5. a,e
a. × 海外臨床試験および長期投与試験において、血漿中活性成分濃度と有効性評価項目(PANSS総スコアのベースラインからの変化)との間に明らかな傾向または相関関係は認められなかった。(海外臨床試験および長期投与試験より)
b. ○ 国内臨床試験(後期第Ⅱ相臨床試験)において、錐体外路症状は投与量が増加するにつれ、発現率が増加する傾向が見られた。
c. ○ 小児期の自閉性障害を伴う患者を対象とした国内臨床試験において、体重増加の副作用は38例中13例(34.2%)、成人統合失調症患者を対象とした結果は体重増加の副作用は1%以下の頻度の項目内にあり。
d. ○ パロキセチンとの併用においてリスパダールの血中濃度が上昇し錐体外路症状の発現や錐体外路症状評価スコアの上昇がみられたとする報告がある。リスパダールの血中濃度が上昇することから、D2受容体の占有率は高くなり血中プロラクチン値が上昇する可能性がある。
e. × 抗精神病薬の効果は、65%以上のD2受容体占有率で十分な治療効果を示し、至適受容体占有率は70~80%と考えられている。D2受容体占有率が70~80%となるリスパダールの用量について外国人患者で検討した報告によると、リスパダール2~6mgがこの占有率にあたる。

 

6. b,c
全般性不安障害は、いかなる特殊な周囲の状況にも限定されない、いわゆる自由に浮動する不安(何が不安ということは出来ないが、漠然とした漂うような不安)が特徴的である。身内がすぐにでも病気になるのではないか、あるいは事故に遭うのではないかという恐怖が、様々な他の心配事や不吉な予感と共にしばしば口にされる。この障害は女性により一般的で、しばしば慢性の環境的ストレスと関連している。経過は様々であるが、動揺し、慢性化する傾向を示す。通常成人期初期に発症し、経過はしばしば慢性的で、より女性に一般的とされている。(解説と解答 P107, 専門医P472より)
明確に数量化できない遺伝性素因が全般性不安障害に見出されている。双生児研究の一致率は、一卵性双生児では50%、二卵性双生児では15%である。(カプランP687)
抑うつが一過性(2,3週間)出現することもある。(ICD-10 P152)

 

7. a,d
 VDには小血管病変性認知症(皮質下性VD):多発ラクナ梗塞性認知症、およびBinswanger病(進行性皮質下血管性脳症)の2つのタイプがある。小血管病変性認知症(皮質下性VD)は穿通枝領域の血管が閉塞したラクナ梗塞が大脳基底核、大脳白質、橋などの多発した状態であり、特に大脳白質の病変が高度であると認知症を呈しやすい。(専門医P294)
a. ○ VDは男性、特に高血圧や他の心血管系の危険因子をもつ人において最もよくみられる。(カプランp371)
b. × 主原因は、多発性の脳血管障害が痴呆症状を引き起こすことであると考えられている。(カプランp371)
c. × 深部腱反射の亢進、伸展足底反応、仮性球麻痺、歩行異常、四肢の筋力低下などの局所的な神経学的兆候や症状がみられる。(カプランp1417)
d. ○ 上記a参照
e. × 後頭葉の血流低下はレビー小体型認知症で特徴的である。

 

8. b,e
シュナイダーの一級症状:シュナイダーは統合失調症の実地診断上、特に重要な症状を一級症状としてとりあげた。定義が明瞭で、評価者間の一致率も高いことから近年の操作的な診断基準にも採用されている。
1.考想化声 2.会話形式(言い合う形)の幻声 3.自分の行為と共に発言する幻声 
4. 身体的被影響体験5.考想奪取、その他の考想被影響体験 6.考想伝播  7.妄想知覚  8.感情,志向(欲動),意思の領域における他者によるすべてのさせられ体験.被影響体験 (専門医p414~415)

 

9. b
a. 近年、すぐに飲酒をやめることが出来ない場合は飲酒量を減らすことから始め、飲酒による害をできるだけ減らすという「ハームリダクション」の概念が提唱されている。
b. ICD-10の「アルコール依存症の診断基準とその具体的な症状や事象例」では、渇望(飲酒したいという強い欲望あるいは切迫感)の具体的な事象、症状として「隠れてでも飲んでしまう」「お酒が手元にないと不安」「お酒のためなら面倒くさがらずにでかける」「仕事中でも酒の事ばかり考えている」「仕事が終わったら一人でも必ず飲みに行く」「仕事中でも飲んでしまう」が挙げられている。
 c.生活習慣病のリスクを高める飲酒は男性40g以上女性20g以上→すなわち女性のほうが短期間でアルコール依存症になる
d.ジスロフィラムやシアナミドは断酒への動機づけがある患者に使用する第二選択薬である。(アカンプロサートが第一選択薬)
 e.アルコール依存症の診断基準に該当した推定107万人のうち過去1年でアルコール依存症の治療を受けているのは5万人(治療ギャップ)。断酒を治療目標とする事に抵抗を持つ患者(特に初期のアルコール依存患者)が多くいたことが、原因の一つと考えられる。上記aのハームリダクションの概念は、治療ギャップを少なくすることに有用と考えられ、飲酒量低減という治療選択肢を加えた下記※が2018年に公開された。 (※新アルコール、薬物使用障害の診断治療ガイドラインに基づいたアルコール依存症の診断治療の手引き(第1版)2018年12月より)

 

10. a,b
a. × 医療観察法下の医療の目標と理念は、対象者の社会復帰の早期実現である。
b. × 医療観察法による医療は、指定医療機関によって行われ、指定医療機関には、入院医療を担当する指定入院医療機関と、通院医療を担当する指定通院医療機関がある。入院医療は厚生労働大臣が指定する国公立病院等において、国費による手厚い専門的な医療を行う。
c.○ 医療観察法は「重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った心神喪失者または心身耗弱者を対象とした法律である。
d.○ このような行為を行った者が不起訴処分となった場会、起訴され裁判が行われたが心神喪失等であったとして無罪が言い渡された、あるいは服役を免れた場合に医療観察法の手続きが取られる。検察官から地方裁判所に申し立てがなされると、裁判が行われて、裁判官1人と精神保健審判員(精神科医)1人から成る審判(合議体)によって、医療観察法に基づく医療を受けさせる必要があるか、あるとすれば入
院か通院か等が決定される。
e. ○ 医療観察法の審判手続きは検察官の申し立てから始まる。申し立てをすると、裁判所は対象者について原則2か月(必要があれば1か月延長可能)の鑑定入院を命じる。対象者の鑑定入院中、裁判所が指定した鑑定人(精神科医)が対象者を鑑定する。また裁判所は保護観察所長に対し対象者の生活環境の調査を行うよう求め、社会復帰調整官が調査にあたる。この間対象者には付添人(弁護士)が選任され、付添人が対象者や保護者と面談し、対象者にとって有利な証拠を裁判所に出したりする。裁判所は、鑑定入院期間が終了する前に審判期日を開き、裁判官、精神保健審判員(精神科医)、検察官、対象者、付添人、保護者、社会復帰調整員、精神保健参与員が出席するほか、鑑定人などが出席する。裁判所は対象者および付添人から意見を聞いた上で入院や通院の決定を下す。
 ( a~d.平成27年度版 新・看護者のための精神保健福祉法 Q&Aより)(e.医療観察法.NETより)

第10回精神科専門医試験の解答と解説です。

11問以下はnoteにて有料で販売しています。

 

 

1.ab

a.×

b.×

c. ○ レビー小体型認知症の約5~6割の人に「抑うつ症状」がみられます。とくに初期にあらわれやすく、「気分がふさぎこむ」、「悲観的になる」、「憂うつ状態」などに伴い、意欲や自発性が低下します。※(http://sodan.e-65.net/kaigo/lewy_guide/taiou/utsu.html

d.○ 中核的特徴である

e.○ 中核的特徴である

 

2.ae

※「興奮・攻撃性の対応」http://www.jaep.jp/gl/gl_p051-088.pdf  より

a.○ 訓練された職員がチームを組んで手と関節を押えることにより攻撃者の動きを抑制し~

b.× 身体的介入の全過程において頸部、胸部、腹部、背部、骨盤を直接圧迫してはならない。

c.× 服臥位をとることは短時間にとどめるべきである。

d.× 患者の頭頸部の保護・支持について責任をもたなければならない(※最初に圧迫固定するという記載はない)。

e.○ 最低3名の職員でチームを編成する。患者の興奮が激しい場合は必要に応じて5名以上で対応する。

 

3.ae

a.       ○ 妄想性障害の経過は、約50%が寛解、20%が軽快、30%は不変です。予後がよい患者さんの特徴は、仕事や社会の適応水準が高いこと、女性、発症年齢が30歳以下、突然の発症、症状の持続期間が短いことが挙げられます。被害型、身体型、被愛型は、誇大型や嫉妬型に比べると予後がよい傾向があるようです。※(こころのはなし 妄想性障害より)

https://www.heartclinic-machida.com/kokoro/byouki/ippan_delusional_disorder.html

b.× ※カプランp559

c.× ※カプランp559

d.× ※a参照 「突然の発症」は予後良好である

e.○

 

 

4.ad

a.× 心理学的要素→生物学的要素

b.○

c.○

d.× 生物学的要素→心理学的要素

e.○

※「精神障害と責任能力」より

https://www.syaanken.or.jp/wp-content/uploads/2012/05/20110_027-044.pdf

 

5.cd

a.× 肝代謝

b.× 肝代謝

c.○ 腎代謝

d.○ 腎代謝

e.× 肝代謝

※「新しい抗てんかん薬」よりhttp://www.jseptic.com/journal/50.pdf

 

6.b

※ICD診断基準

確定診断のためには(a)と(b)のどちらかあるいは両方に加えて、(c)と(d)もなければならない。

(a)離人症状、すなわち患者が自分自身の感性および/または経験を分離されている、よそよそしく、自分自身のものでない、失われている、などと感じる。

(b)現実感喪失症状、すなわち対象、人々および/または周囲全体が非現実的で、よそよそしく、人工的で、色彩がなく、生命感がないように見る。

(c)このことが主観的で自発的な変化であり、外力あるいは他の人々によって強いられたものではないと受け入れること(すなわち洞察)。

(d)知覚は明瞭であり、中毒性の錯乱状態、あるいはてんかんではないこと。

 

a.○ 基準a

b.× 基準に記載なし

c.○ 基準a

d.○ 基準b

e.○ 基準a

7.cd

a.○ 日没症候群(黄昏症候群、夕暮れ症候群)は傾眠、混乱、失調、転倒事故などにより特徴づけられる(※カプランp376) 

b.○

c.× 鏡徴候とは鏡に映る自分の姿を「他人」と誤解し、挨拶したり話かける~

※「確認しましょう、認知症の事」より

http://www.tsukubamed.jp/renkei/pdf/dodaidukuri/h270712ninnchishou_tashikamema.pdf

d.× 幻の同居人は他人が自分の家に住み込んでいると確信する症状

※「認知症ねっと 認知症の妄想」より

https://info.ninchisho.net/column/psychiatry_008

e.○

 

8.ab

a.○

b.○

c.× ペラグラにニコチン酸を使用する。

d.× 第一選択薬はベンゾジアゼピンである。

e.× 上記同様

 

9.ac

a.× クッシング病ではACTHは上昇する。(※国試レベル)

b.○ 大体は基礎疾患のない中年以降の人に起こりますが,血液透析を受けておられる方(約1/3),パーキンソン病,胃切除後,鉄欠乏性貧血,慢性呼吸不全,心不全,糖尿病,甲状腺機能低下症,関節リウマチなど数々の病気で見られるほか,抗うつ剤や向精神薬などを飲んでおられる方や妊娠中特に出産前の2~3ヶ月間の女性(約15%)にもみられる。※「むずむず脚症候群について」よりhttp://www.itsuki-hp.jp/radio/kako-100411

c. × シモンズ症候群では甲状腺機能は低下する。

※難病情報センターよりhttp://www.nanbyou.or.jp/entry/4017

d.○ 髄液中IgG index、IL-6、IL-8、IFN-α等のサイトカイン上昇も報告されており、髄液検査は感染、腫瘍や脱髄疾患などの鑑別目的も含めて必要な検査である。

※https://radiology.bayer.jp/static/pdf/publications/nichidoku_iho/2008_53_03/53_03_09.pdf

e.○ 生理前の1~2週前頃からSSRIを内服する。

※松崎朝樹「生理の前の落ち込みや苛々「PMDD 月経前不快気分障害」を解説」より

https://www.youtube.com/watch?v=eXyd3YrkF6k

 

 

10.be

a.○ 病相を繰り返す毎に間隔が短くなる。

※「双極性障害の神経生物学」よりhttp://square.umin.ac.jp/tadafumi/Kougi.pdf

b.× 月1回→年4回

c.○

d.○ 実は効果に差はない。

※松崎朝樹「炭酸リチウム1日1回でいいの?[本格]双極性障害の治し方」より

https://www.youtube.com/watch?v=Nk8cJgFKDz4

e.× 双極性障害の経過のうち、双極I型の人で3分の1、双極II型の人では約半分の期間を、うつ状態で過ごすと言われています。※名古屋大学「脳とこころの研究センター」より

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/noutokokoro/ippan/index.html

 

第9回精神科専門医試験の解答と解説です。

11問以下はnoteにて有料で販売しています。

 

 

 

1 解答:b、d?

 「向精神薬と妊娠・授乳(南山堂)」という本を読んだところ、抗精神病薬を母乳から摂取した場合は治療量の10%程度であることが多いと書いてありました。また、フェノチアジン系、ブチロフェノン系に関しては先天奇形発生率は正常と変わらないとの報告があるようです。近年の非定型抗精神病薬は症例報告レベルで大規模なものはでていないようです。また、育児困難が予想される場合に乳児院が選択肢の一つであることは自明の理であります。aの選択肢に関しては「認めない」と言い切ってしまっているあたりがダメなのではないかと判断しました。

 

2  解答:d、e

 カプランp489よりの抜粋ですが、「ストレスとなる出来事とは、暴力的な事故や犯罪、戦争、性的暴力、誘拐、自然災害を目撃したり巻き込まれたりすること、生命を脅かす病気であると診断されること、繰り返し身体的・性的な虐待を受けることなどである。」「夢や日常の思考の中で心的外傷となった出来事を再体験し、その出来事を思い出させる可能性のあるあらゆることを避け、過覚醒の状態とともに無感覚に陥ることを体験する。」「PTSDの患者においては他の疾患の併存率は高く、およそ3分の2に少なくとも2つの疾病が見られる。よく見られるのは抑うつ障害群、物質関連障害群、不安症群、双極性障害群などである。併存疾患の存在は人をPTSDによりかかりやすくさせる」とあります。

また、DSM-5の診断上、症状が1ヶ月未満である場合は適切な診断は急性ストレス障害となります。

 

3  解答:a、b

 www.phcd.jp/pdf/2015_temp03

 上記ファイルを参考にしています。上記ファイルより、措置入院件数は平成3年10,007件より、平成24年1,666件へ減少しています。医療保護入院件数については、平成3年127,577件より、平成24年135,740件へと増加しています。

 

4  解答:?

 これは各種教科書を漁りましたが出てきませんでした。感覚的にはcもしくはdではないのかなと感じていますが・・・。申し訳ありません。

 しかし、第5回の問題で「1〜5%である」という選択肢を誤りだと選ばせる問題がありました。

 

5  解答:c、e

 現代臨床学p391に「若年で初発する双極型症例は循環性人格者が多く、遺伝負因が効率に見られるが予後は比較的良好である」とあります。また、児童青年精神医学p297に「子供のうつ病に対していくつかの選択的セロトニン再取り込み阻害薬の有効性が報告されている」とあり、また実際多くのSSRIで18歳未満は慎重投与となっております。また同書p294で大うつ病性障害の診断基準をあげ、「これが児童・青年期に適応される場合、1の抑うつ気分は、イライラした気分であってもよく、3の体重減少は、期待される体重増加が見られないことでもよいとされている」とあります。

 子供と思春期の青年医学p462に「躁状態は児童思春期においては行為心迫や過活動を中心に示し、衝動的な問題行動を繰り返すことから、注意欠陥多動性障害や後遺障害との鑑別が必要な場合が多い」とあります。また4冊の教科書において幻聴が多いとの記載は認めませんでした。

 

6  解答:b、d

 カプランp833に「遺伝要因がパーソナリティ障害の一因となる最良の証拠は、米国における1万5000組以上の双生児研究に由来する。一卵性双生児間のパーソナリティ障害の一致は、二卵性双生児間のそれの数倍に及んだ。さらに1つの研究によれば、別々に育てられた一卵性双生児は、一緒に育てられた一卵性双生児とほとんど似通っている。類似点には、パーソナリティと気質、職業と余暇への興味、社会的態度といった複数の指標が含まれる。

 現代臨床学p318に「パーソナリティ以上はふつう青年期ごろまでに認められ、ほぼ生涯にわたって持続するが、中〜高年になるとそれほど顕著でなくなることがある。小児期にはまだパーソナリティが確立・固定していないので、小児期の行動異常にパーソナリティ変化という診断をつけることは正しくない」とあります。

 パーソナリティの症状は自我親和的で治療動機づけとなりにくいことは以前の問題でも出題されています。

ICD-10精神科診断ガイドブックp470に「パーソナリティ障害が他の精神障害と合併しやすいことは臨床上極めて重要なポイントである」とあります。

 

7  解答:a、c

 カプランp1156に「胸痛・呼吸促迫・発熱または頻呼吸を示す患者はただちに心筋炎・心筋症の可能性について評価すべきである」、p1149に「SDAは類似の有害スペクトラムを共有するが、その発生頻度や重症度についてはある程度異なっている」とあります。

 現代臨床学p355に「精神症状に関係した死因として重要なのは自殺である」とあり、生命予後に関しては概ね20年ほど一般人より寿命が短いのではないかと言われています。

 

8  解答:b、c

  ICD-10精神科診断ガイドブックp530に「性的興奮を得るために異性の服装を着用することが行われる性嗜好障害である」「この障害は小児期、思春期に始まる。男性では女性として生活することを望む場合があるが、女性でその望みを抱くことは稀である。このようノア人々は性別違和感症候群と診断される。異性装をしていない時の男性は、外見や職業選択が特に男性的であることがある。ここでの異性装は性欲喚起と結びついており、制欲が充足され消退すると異性装は不要となる」とあります。

 

9  解答:b、c

 カプランp844に「境界性の方が自殺企図・自我同一性拡散と短い精神病のエピソードがより多い。身体症状症(ブリケー症候群)が演技性パーソナリティ障害とともに起こる場合がある」とあります。

 

10  解答:b、c

 適応障害の分類として、カプランでは(p501)1、抑うつ気分を伴う適応障害 2、不安を伴う適応障害 3、不安と抑うつ気分の混合を伴う適応障害 4、素行の障害を伴う適応障害 をあげています。

 児童青年精神医学p356に「小児例では夜尿症、幼稚な話し方、指しゃぶりのような退行現象が、症状パターンの1つとなることがしばしばあると指摘されている」とあります。

第8回精神科専門医試験の解答と解説です。

11問以下はnoteにて有料で販売しています。

 

 

1. a

MCIの診断基準 RC ピーターソン(1995)

1.本人または家族から記憶障害の訴えがある

2.記憶以外の全般的認知機能はおおむね保たれている

3.日常生活に支障をきたしていない

4.認知症の臨床診断基準は満たさないが、客観的評価で記憶障害が認められる

5.認知症の重症度を示すCDRで0.5(認知症の疑い)

現代臨床精神医学 第11版 p164

 

2. a

覚せい剤依存症の典型例では①2,3日持続する第一相の〈連用の時期〉②丸々1,2日間持続する第二相の〈つぶれの時期〉、③数日間持続する第三相の〈薬物渇望期〉という三相構造を有する周期的使用の時期が比較的長く続く。しかし、耐性が上昇するほどに頻回使用の例では覚せい剤を使用しても睡眠・食事もある程度とれるので、この周期は目立たなくなる。それぞれの相に特徴的な状態をみると、第一相では不眠・摂食不良が目だち、当初では目立たないが薬効時(3-4時間程度)には比較的上機嫌で常同行為に熱中する。

第一相 連用の時期(2,3日間): 不眠 食欲減退 薬効時の常同行為(ドライブ、掃除、にきびつぶし、パチンコなどのゲーム、盗聴器・隠しカメラなど疑ったことへの詮索熱中、嫉妬妄想に基づく強迫的折檻)

第二相 つぶれの時期(1、2日間):脱力、倦怠感、無気力、無為、長時間の睡眠・意欲減退状態

第三相 薬物渇望期(数日間):食欲亢進、薬物探索行動、薬物渇望に基づく焦燥的・易怒的態度

精神科臨床リュミエール26 依存症・衝動制御障害の治療 p101~

 

3. a,d

胃洗浄

適応は限定的であり、原則的に大量もしくは高毒性の毒物を経口的に摂取し胃内に相当量が残留していると推定できる場合である。通常1時間以内の摂取が目安である。禁忌は意識障害、けいれん、石油・有機溶剤強酸・強アルカリ、出血傾向などである。

→e は×(有機リンと有機溶剤は別物である!)

活性炭投与

活性炭は多くの物質を吸着させ、それ自身は消化管から吸収されないので薬毒物の吸収を阻止する。単回投与で、アスピリン、アセトアミノフェン、バルビツレート、フェニトイン、テオフィリン、三環系・四環系抗うつ薬などに対する有効性が高い。腸肝循環がある物質などでは反復投与が有効と考えられる。テオフィリン、三環系抗うつ薬、フェノバルビタール、フェノチアジン系薬物、カルバマゼピン、ジギトシンなどの大量摂取が適応とされる。禁忌は、消化管に閉塞・穿孔がある場合である。合併症とすて嘔吐、誤嚥、便秘、消化管の閉塞などが起こり得る。→bは×

腸洗浄

大量の洗浄液を上部消化管から投与し全腸管を洗い流して未吸収薬毒物を消化管から除去する方法。水・電解質異常をきたしにくいポリエチレングリコール電解質液が用いられる。適応は、活性炭に吸着されない物質や消化管からの吸収が比較的緩徐で高毒性の物質など

【禁忌】

①腸閉塞(麻痺性,機械的を問わない)の存在

②消化管出血の存在

③消化管穿孔の疑い

④難治性で持続性の嘔吐

⑤気道確保が不十分な意識障害

⑥ショック

 

よって、麻痺性イレウスの腸洗浄は禁忌にあたるのでcは×

消去法より、adとします。

今日の治療指針2015 p127 急性中毒治療の原則 日本中毒学会Hp

 

4. c

精神病性うつ病

推奨される治療 :抗うつ薬と抗精神病薬の併用や、修正型電気けいれん療法が推奨される。抗うつ薬単剤で治療開始し、効果不十分ならば抗精神病薬を追加する形が理想的。

抗うつ薬の単剤療法 メタ解析の結果から、精神病性うつ病に対する三環 系抗うつ薬単剤療法はプラセボに対して有意に勝り (Khan et al, 199抗精神病薬単剤と比較しても有 意に優越する(Wijkstra et al, 2006)。

 →b○

三環系抗うつ 薬が新規抗うつ薬より優れている可能性が示唆されて いるが(Bruijn et al, 1996; van den Broek et al, 2004; Wijkstra et al, 2005)、新規抗うつ薬の単剤治 療も比較的高い有用性が示唆されている(Zanardi et al, 1996; Gatti et al, 1996; Zanardi et al, 1998; Zanardi et al, 2000)。日本で精神病性うつ病に使用 されることの多い amoxapine は三環系抗うつ薬と定型 抗精神病薬の併用と同等の効果がみられ、さらに副作 用が少ないという報告がある(Anton et al, 1990; Anton et al, 1993)。これは amoxapine の代謝産物 (7-hydroxyamoxapine)が D2 antagonist 作用を有し ているためであり、三環系抗うつ薬と定型抗精神病薬 の併用と同様の薬理作用が想定される。

抗うつ薬と抗精神病薬の併用 過去の臨床研究の反応率の比較では、三環系抗うつ 薬単剤は 34%、定型抗精神病薬単剤は 51%であったの に対して併用療法は 77%であった(Kroessler, 1985)。 新規抗うつ薬と非定型抗精神病薬の併用も、非定型抗 精神病薬単剤あるいはプラセボと比較すると反応率が 高い(Rothschild et al, 2004; Meyers et al, 2009)。

2006 年に発表されたメタ解析(Wijkstra et al, 2006) では、抗うつ薬と抗精神病薬の併用の有効性は、抗う つ薬単剤と比べて優越する傾向はあるものの、統計学 的有意差にはいたらなかったが、最近の臨床研究をい くつか追加したメタ解析では、抗うつ薬と抗精神病薬 の併用療法がそれぞれの単剤療法よりも有意に有効で あることが示された(Farahani et al, 2012; Wijkstra et al,2013)。ただし、定型抗精神病薬と非定型抗精神 病薬とに分けると、前者と抗うつ薬の併用の場合には 優越性が証明されていない(Farahani et al, 2012)。 3)抗精神病薬の単剤療法 上述のように、定型抗精神病薬あるいは非定型抗精 神病薬の単剤治療は、それぞれに抗うつ薬を併用した 場合に比べ有意に効果が劣る。抗精神病薬単剤は抗う つ薬単剤と比較しても効果が劣る(Wijkstra et al, 2005)。 ii. 修正型電気けいれん療法(ECT) 精神病性うつ病が、薬物療法よりも ECT に反応する という報告が存在する(Kroessler, 1985; Pande et al, 1990; Parker et al, 1991)。精神病性うつ病は非精神 病性うつ病よりも ECT への反応率が高いという報告も ある(Petrides et al, 2001)。また、ECT は薬物療法 に比べて約 2 週間早く反応がみられたという報告もあ る(Rothschild, 1996)。このように ECT の優れた効果 は確実視されている。 iii. 維持療法 精神病性うつ病は再発が多く、維持療法の期間は重 要な問題である。精神病性うつ病患者の追跡研究では 退院後 1 年以内に 80%以上の患者が再発しており、最 も多かったのは服薬を中止した時や抗精神病薬を減量 している時であった(Aronson et al, 1988)。抗うつ 薬と抗精神病薬の併用で寛解した患者に、減量せず維 持した 3 ヵ月は再発がなかったが、その後抗精神病薬 を 減 量 す る と 27 %で再発の兆候が見られた (Rothschild et al, 2003)。エピソード期間が長い患 者、過去の再発回数が多い患者、発症年齢の若い患者 で再発しやすい傾向にあった(Rothschild et al, 2003)。抗うつ薬と抗精神病薬の併用で寛解した初回エ ピソードの患者では、抗精神病薬は数ヵ月、抗うつ薬 は少なくとも 1 年以上継続するべきであるという見解 がある(Tyrka et al, 2006)。一方では、抗うつ薬と 抗精神病薬の併用および抗うつ薬単剤に対する反応例 を対象とした 4 ヵ月間のオ―プン継続試験では、反応 率の維持と寛解率の増加に差は見られなかったという 報告もある(Wijkstra et al, 2010)。 ECT に反応した精神病性うつ病の再発率は高いとい う報告(Sackeim et al, 2001; Meyers et al, 2001) がある。ECT で症状が改善した患者に抗うつ薬による 維持療法を行ったところ、約半数の患者が 2 年以内に 再発した(Flint et al, 1998)。ECT で寛解した老年 期の精神病性うつ病患者に抗うつ薬による維持療法と 抗うつ薬と ECT の併用による維持療法を比較した場合、 第 4 章 精神病性うつ病 日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 47 併用療法の再発が有意に少なかった(Navarro et al, 2008)。

 

→a○c× 定型抗精神病薬単剤でも51%なので有効性が乏しいとは言い切れないかもしれないが、抗うつ薬と抗精神病薬併用の方が有効性は高い。

 

緊張病を伴ううつ病

緊張病を伴ううつ病は無動(カタレプシーや昏迷)、 意味のない過活動、拒絶症、無言症、奇異な行動、反 響言語、反響動作など様々な精神運動性の障害を伴う 一群であり、治療法や予後の違いから DSM-5 の診断基 準では「緊張病を伴う」として特定用語が与えられて いる。ICD-10 では特定用語は与えられておらず、精神 病症状を伴う重症うつ病エピソードの中にうつ病性昏 迷が含まれている。緊張病症状は入院患者の約 10%に 見られ( Francis et al, 2010)、基礎疾患は様々であっ て、44%が気分障害であり 28%が統合失調症であった と報告されている(Ungvari et al, 2010)。これら以 外の精神疾患や感染症、代謝性疾患、神経疾患、悪性 症候群でも見られることがあるので、基礎疾患の鑑別 診断が治療方針の決定において重要となる。 また、脱水、栄養障害、静脈塞栓、褥創などの合併 症をきたしやすい。全身状態をモニターしながら、必 要に応じて輸液と非経口的栄養補給を行い、経口服薬 が困難なら非経口的薬物投与に切り替える。 緊張病を伴ううつ病に対象を限定した臨床研究は少 ないが、無言状態や昏迷状態にはベンゾジアゼピンの 経口あるいは非経口投与が有効である(Francis, 2010)。

→d○

 

海外では lorazepam に注射製剤があるため、そ れが使用されることが多いが、日本では注射製剤があ るのが diazepam であるため、これが使用されることが 多い。diazepam を静脈注射する場合は、呼吸抑制に注 意し、2 分間以上の時間をかけてできるだけ緩徐に投 与する。また diazepam を筋肉内注射する場合は、筋肉 や神経の損傷に注意するとともに、吸収が不安定にな ることによる過鎮静にも注意する。経口投与が可能に なれば、速やかに経口に切り替える。ベンゾジアゼピ ンの効果のプラセボ対照試験は存在しないが、症例報 告の集積から効果は確実である。昏迷が解ければ残存 する抑うつ症状に対する治療を継続する。 抗精神病薬の効果に関しては結果が一致しておらず、 緊張病症状の悪化や悪性症候群の誘発に注意を促す報 告もある(Hawkins et al, 1995; White et al, 2000)。 最近の症例報告では非定型抗精神病薬の有効性を示す ものも多い(Van Den Eede et al, 2005)。 ii 緊張病症状に対するベンゾジアゼピンの反応率が 79%に対して、ECT の反応率は 85%であった( Hawkins et al, 1995)。

 

→e○

ECT は致死性緊張病や悪性症候群を含 むすべての緊張病症状に有効であり、小児や妊婦、高 齢者や身体合併症のある患者にも有効であることが示 されている(Zisselman et al, 2010)。 ECT により改善した緊張病を伴ううつ病患者を追跡 すると、抗うつ作用を有する薬物療法を継続していた グループの再入院や死亡が少なかった(Swartz et al, 2001)。 まとめ 精神病性うつ病は、双極性障害、統合失調感情障害、 統合失調症における精神病後抑うつ、妄想性障害、認 知症、症状精神病などとの鑑別が重要である。抗うつ 薬と抗精神病薬の併用治療がそれぞれの単剤に優越す るという最新のメタ解析とこれまでの諸報告を勘案し、 本ガイドラインでは抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法 を推奨する。使用する薬物について定説はなく、今後 の検討を待たなければならないが、抗精神病薬として は非定型抗精神病薬が適切かもしれない。精神病症状 が比較的軽度であれば、抗うつ薬単剤で治療を開始し、 効果不十分の際には抗精神病薬を追加するという選択 肢がある。修正型 ECT は最も有効な推奨治療である。 維持療法としては、他のうつ病の場合と同様に、有 効であった薬物を継続する。ECT で寛解した患者では 維持 ECT も考慮する。 緊張病を伴ううつ病の治療には、ベンゾジアゼピン の経口または非経口投与が推奨される。修正型 ECTも 推奨される

 

日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016 第4章,

、他

 

5. e

心的外傷後ストレス障害ICD-10 F43.1 より一部抜粋

典型的な諸症状には、無感覚と情動麻痺、他者からの孤立、周囲への鈍感さ、アンヘドニア(無快楽症)、トラウマを想起させる活動や状況の回避が持続し、そのような背景があるにも関わらず生ずる侵入的回想(フラッシュバック)あるいは夢の中で、反復して外傷を再体験するエピソードが含まれる。

トラウマを想起させる、または再現させる刺激に誘発されて、恐怖、パニックあるいは攻撃性が劇的に急激に生じることがある。通常、過剰な覚醒を伴う自律神経の過覚醒状態、強い驚愕反応、および不眠が認められる。

a ○ 夢の中での反復する外傷体験

b ○アンヘドニア

c ○フラッシュバック

d ○自律神経の過覚醒状態

e ×全般性不安障害(F41,1)の自由に浮動する不安のことと考えられる

ICD-10 p159

 

6. b,c

心理社会的治療(psychosocial therapy)には、統合失調症患者の社会生活能力、自立、実用的技能、および対人コミュニケーションを向上させる多様な方法が含まれる。目標は、重度疾患の患者が自立した生活を送れるために必要な社会生活技能および職業技能を育成することにある。心理社会的治療は、病院、外来クリニック、精神保健センター、デイホスピタル、自宅、患者支援の集まりなどさまざまな場所で実施されている。

デイケアでも行われる社会生活技能訓練(social skills training:SST)は薬物療法とともに患者の直接的な支えとしての有効性が認められる。

統合失調症科患者で認められる精神症状以外の顕著な症状として、他者との接し方、すなわち、視線の合わせ方の問題、返答の異常な遅れ、異様な表情、社会的状況における自発性の欠如、他者の感情に対する誤解や知覚の欠如などがある。SSTではこのような行動に対処するにあたって、他者や患者の映像、治療としての役割演技法、練習した個別技能に関する宿題を活用する。SSTは入院の必要性によって測定した再発率を低下させることが明らかになっている。

→以上よりa,d,eは○

カプラン臨床精神医学テキストDSM-5 p362

 

7. a,e

情緒不安定性パーソナリティ障害の患者におこる投影性同一化はカーンバーグによって解説された。

その原始的な防衛機制では、自己の耐えられない観念が別の人に投影される。その人は、投影された役割を演じるように誘導され、2人の人間は行動をともにする。治療者はこのような患者に対して中立的に行動できるように、この過程に気づいていなければならない。

機能上、情緒不安定性パーソナリティ障害の患者は、あらゆる人を完全によいか、完全に悪いと考えることで、彼らの人間関係をゆがめている。彼らは人を養育的な愛着対象として、あるいは必要な安全を彼らから奪い、そして依存したいときいつも見捨てると脅かす憎むべきサディステイックな人としてみている。このスプリッティング(分裂)の結果、良い人は理想化され、悪い人は価値下げされる。(脱価値化)

 

よってa,eが○。選択しに投影同一化があればそれも○であったと思われます。

カプラン臨床精神医学テキストDSM-5 p835 842

【過去類似問題】

第6回71

 

8. a,d

精神医療審査会は、精神保健福祉法第12条に基づいて設置され、その事務は精神保健福祉センターが行うことになっている。

精神医療審査会の業務は、精神保健福祉法及び精神医療審査会運営マニュアルにより、

1.              精神科病院管理者から提出された「医療保護入院の入院届」・「措置入院者及び医療保護入院者の定期病状報告書」により、その入院の必要性の審査を行う

2.              精神科病院に入院中の者またはその家族等から、退院請求または処遇改善請求があったときに、その入院の必要性や処遇の妥当性について審査を行う

とされている。

事務は各都道府県の精神保健福祉センターが行う。

 

一部を除いてH26年4月1日に施行された「精神保健福祉法の一部を改正する法律」では以下の2項目について精神医療審査会の見直しが行われた。

1.              精神医療審査会に対して退院や処遇改善を求めることができる者としては、保護者制度が廃止されることに伴い、本人のほか、「家族」とする。(H26年4月1日施行)

2.              精神医療審査会の委員の構成については、精神科医、法律家に加え、その他の学識経験を有する者に代えて、精神保健福祉に関する専門家(精神保健福祉士等)が新たに定められ、退院支援の観点も加味した審査を行う。(H28年4月1日施行)

 

 

 

 

 精神医療審査会の構成メンバー(1合議体5名)

員数

H28年3月31日以前

H28年4月1日以降

2名

精神障害者の医療に関し学識経験を有する者

1名

その他学識経験を有する者

精神障害者の保健または福祉に関し学識経験を有する者

1名

法律に関し学識経験を有する者

       

 

→a×措置入院の届け出の審査ではなく、措置入院の定期病状報告書の審査

 b○

 c○

 d×医療委員は2名以上でよい(上の表参照)

 e○精神障害者の保健または福祉に関し学識経験を有する者は1名以上必要

埼玉県の精神医療審査会のHp, eラポール参照

 

9. d

せん妄のリスクは素因的危険因子と促進因子の2つに分けて考えられる。現在のせん妄へのアプローチは主に促進因子に焦点を当てられており、素因的要因はほとんど取り組まれていない。→d×

加齢はせん妄発症の主要危険因子である。65歳以上の入院患者の30~40%にせん妄のエピソードが、みられ、それとは別に高齢者の10~15%は入院中にせん妄を起こす。75歳以上の介護施設入居者は、60%がせん妄のエピソードを反復する。男性であることもせん妄発症の独立的危険因子である。→a○

せん妄は内科病棟に入院患者の5~30%、一般外科患者の10~15%、心臓切開手術患者の30%、そして股関節の骨折の治療患者の50%に起こる。また、せん妄は集中治療室の患者の70~87%に、緩和ケアを受けている患者の83%におこる。介護施設入居者あるいは慢性期病棟入院患者の60%、重症熱傷患者の21%、AIDS患者の30~40%、終末期患者の80%にせん妄はみられる。

→よって身体症状重症度が高い患者は発症リスクが高いと考えられる。c○

薬物学的治療を必要とするせん妄の二大症状は、精神病症状と不眠である、精神病症状に対してよく使われるのハロペリドールで、開始量2~6mgを筋肉内投与とし、患者の興奮が収まらないときは1時間後に再投与する。患者が落ち着き次第経口投与とする。→b○

e? せん妄の治療の主目標は基礎疾患の治療、もう一つ大事な目標は身体面、感覚面、そして環境面での介護で、環境的に感覚遮断してはならず、過度に刺激してもならない。

カプラン第3版 p785~

 

10. a

神経性無食欲症 Anorexia Nervosa DSMⅣTR

 

A.年齢・性別・発達的軌跡・身体的健康状態の上で著しい低体重が生じるような、必要量に比較して抑制されたエネルギー摂取。著しい低体重は、正常の最低より少ない、または、子供や青年では、期待される最低よりも少ないことで定義される。

 

B.著しい低体重にもかかわらず、体重が増えることまたは肥満することに対する強い恐怖、あるいは体重増加を妨げる持続的な行為。

 

C.自分の体重または体型の感じ方の障害、または自己評価に対する体重や体型の不適切な影響、または現在の低体重の重大さに対する認識の持続的な欠如

 

どちらかを特定せよ:

制限型: 最近3ヶ月間に、その人はその再発するエピソードの中で、むちゃ食いや排出の行動(すなわち、自己誘発性嘔吐、または下剤、利尿剤、浣腸の誤った使用)を行ったことがない。この亜型は、体重減少が主に食事制限、絶食、そしてまたは過剰な運動で体重減少がなされたものを表している。

過食/排出型: 最近3ヶ月間に、その人はその再発するエピソードの中で、むちゃ食いや排出の行動(すなわち、自己誘発性嘔吐、または下剤、利尿剤、浣腸の誤った使用)を行ったことがある。

 

a× 過剰な運動は、制限型のみの特徴(DSM4,5より)

*但し、カプランp573によると、過度の運動や完璧主義が双方に共通している、とある

今回はDSM4TRに基づいても問題なのでこれは×としました。

b○ 制限型・過食/排出型の共通項目 C自分の体重または体型の感じ方の障害に該当する。

c○?ICD-10のF50.2 神経性過食症では、過食と嘔吐を繰り返す治りにくいパターンが形成される、とあるので過食・排出型の方が予後不良と思われる

⇒としていましたが、

予後不良を治りにくいと捉えるか、自殺ととらえるかで議論が分かれましたが他の選択肢との兼ね合いも考え、予後不良=自殺率ととらえると

 

カプランp573  自殺率は摂食制限型より過食・排出型で高い とあるのでこの選択肢は〇としました

備考:カプランp574 摂食制限型神経性やせ症Ptは過食・排出型のPtより回復しにくい

d○ カプランp574 神経性やせ症Ptの約半数は最終的に通常神経性やせ症の発症の1年以内に過食するようになる

e○制限型・過食/排出型の共通項目 A必要量と比べてカロリー摂取を制限する に該当する

 

第7回精神科専門医試験の解答と解説です。

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1. a

アカンプロサートカルシウム(レグテクト)はNMDA受容体に結合してその機能を調節し、グルタミン酸の過剰による症状を改善すると考えられている。

 

2. a

a. セルトラリンは、他のSSRIに比べて、肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)に対する阻害作用が弱い点が特徴である。ジゴキシンとの併用での不整脈の増加は報告されていない

b.セレギリンは全ての抗うつ薬と併用禁である。

c. フルボキサミンはCYP3A4阻害作用があるためワーファリンの作用を増強する。

d. 非定型抗精神病剤、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症剤、ワルファリンカリウムなどで出血傾向が増強することがある(機序不明)。

e.NSAIDsは腎機能を低下させるため血中リチウム濃度が上昇する。

 

3. b, d

a.辺縁系に局在を有するてんかんで、持続の短い振幅の小さな双極性障害が頻繁にみられることがあり、これを発作間欠期不機嫌状態という。(専門医p360)

 てんかん性不機嫌状態も挿間性精神障害の一つで、意識障害はほとんど目立たず、易刺激性、抑うつなどの不機嫌状態が一定期間持続する。(現代臨床p223)

b.d.欠神発作重積状態は小発作重積状態ともいわれ、脳波上に3Hz前後の棘徐波複合が連続して現れる。やや不規則な棘徐波複合が間欠期なしに連続性に出現し軽い意識障害を示す症例が多く、これは棘徐波昏迷とも呼ばれる(現代臨床p221)

e.脳波には強制正常化、すなわち精神症状が出現する時期に、かえって脳波上突発波が消失して規則的なα波が出現し脳波が正常化する状態が見られる場合が多い。精神症状と脳波異常が交代して出現するので、交代性精神病ともよばれる。(現代臨床p223)

 

4. c

不均等症候群は血液透析導入初期に起きやすく、全身症状と中枢神経症状が出現する。脳細胞内外での尿毒素や電解質の不均衡により起こる脳浮腫が原因であり、透析導入時に緩徐な透析を繰り返し実施することによって防止可能である。

 

5. b,e

統合失調症の予後不良因子としては緩徐な発症、若年発症、発症当初から陰性症状が顕著であること、気分障害的・周期的な経過でないこと、統合失調質の病前性格、発症に誘因がないこと、統合失調症の遺伝負因が挙げられる。

 

6. a, e

MARTAは糖尿病で禁忌である。腎不全では血中濃度が上がりやすいため注意が必要である。定型抗精神病薬はパーキンソニズムを惹起増悪させる可能性が高い。

答え;b,d

 

7. a, c

a.最初の脳卒中発作で認知症を呈することは稀である。(解答と解説p156)

c.アルツハイマー病では脳血管性認知症に比し、妄想を呈しやすい。

答え;a,c

 

8. b

維持療法を受けている統合失調症患者の16~23%で1年以内に再発が認められ、治療を中断した場合の再発率は53~72%にものぼる。治療開始後1~2年以内に服薬が不規則になる患者の割合は40~50%であると言われている。

ガイドラインでの明確には推奨されていないが、1~2年間では不十分であろうと言われている。(解答と解説p44)

 

9. e

答え;a~dが正しいので消去法的にeと思われる

 

10. a,c

高齢者や女性では抗精神病薬によるパーキンソニズムのリスクが高い(解答と解説p59)とあるためアカシジアもこれに準ずるものと思われる。

治療の基本は抗精神病薬の減量、治療薬(β遮断薬、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗ヒスタミン薬)の併用、抗精神病薬の変更である。(解答と解説p58)

抗精神病薬による錐体外路系副作用が治療開始から出現するまでの期間は、急性ジストニアで数日、アカシジアで数日~数週間、パーキンソニズムで2~3週間、遅発性ジスキネジアで数年と言われている。(解答と解説p50)

答え;a,c