第6回精神科専門医試験の解答と解説です。

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1.ad

認知行動療法は、統合失調症、気分障害、神経症性障害、摂食障害、パーソナリティ障害など多くの精神疾患で有効である。

患者の思考を治療者と一緒になって検証する「協同的経験主義」という関係を重視する。その際には患者が自分で答えを見つけ出せる「ソクラテス的質問」という形の質問をする。

基本的な原理はレスポンデント条件付け(古典的条件付け:刺激による反応の誘発)とオペラント条件付け(自発的な行動による環境の変化)である。

基本的な流れとしては①問題点を洗い出して治療方針を立てる、②自動思考に焦点を当て認知の歪みを修整する、③より心の奥底にあるスキーマに焦点を当てる、④治療集結・振り返りとなる。

(日本認知療法学会ホームページ)

 

2.b

包括型地域生活支援プログラム(ACT:assertive community treatment)は、再入院リスクが高いケース、従来型サービスでは継続が困難なケース、ホームレスなどの重症患者が対象である。

精神科医を含む他職種チームを編成し、1日24時間のサービスを切れ目なく提供する。1スタッフあたりの受け持ち患者数を10〜15人に限り、訪問により地域生活維持に必要なサービスを包括的に提供する。

 

3.a

精神病症状を持つ患者の場合、まずは支持的に接し疎通を図ることが重要である。

 

4.d

昏迷とは意欲の減退が進行した状態で、意識は清明である。緊張病性の昏迷は、器質性精神障害・解離性障害・催眠などでも生じることがある。

命令自動:外からの指示をそのまま受け入れること。

反響症状:相手の動作や表情を反射的にまねること。

カタレプシー:筋緊張が強く不自然な姿勢を保ち続けること。

拒絶症:外からの働きかけを反射的に拒むこと。

衒奇症:姿勢・動作が不自然で円滑さを欠き、奇をてらうようにみえること。

常同症:目的のない一定の動作を繰り返すこと。

 

5.a

ラモトリギンの開始用量は以下の通りである。増量はいずれの場合も開始2週後である。

①バルプロ酸を併用、または代謝への影響が不明の薬剤を併用:12.5mg/日

②バルプロ酸を非併用かつ代謝を促進する薬剤を併用:50mg/日

(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル・リトナビル配合剤)

③バルプロ酸を非併用かつ代謝に影響のない薬剤を併用、または単剤:25mg/日

(リチウム、オランザピン、アリピプラゾール、ゾニサミド、ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタム、プレガバリン、シメチジン)

 

中止後の再投与は、半減期の5倍の期間を経過している場合は初期用量からとなる。

①では350時間(14日)、②では65時間(2.7日)、③では170時間(7日)である。

 

6.c

患者には①苦しみを理解しようとする態度、②疾患についての希望的説明、③休養の勧め、④薬物の必要性と副作用、⑤自殺の禁止、⑥人生の重要な決断の保留を説明する。

家族には①怠けや性格ではないこと、②叱咤激励を避けること、③気晴らしを強要しないこと、④自殺のリスクを説明する。

患者の悲観的認知の修正には認知行動療法が有効である。

 

7.ae

a.心気障害に男女差はない。

b.一般的には数ヶ月〜数年の病期と間欠期がみられる。

cd.精神科的治療に抵抗し、治療に難渋することが多い。

e.通常身体の1〜2つの器官系統にのみ注意が集中する。

 

8.ce

脱抑制性愛着障害は、養育環境の頻繁な変化が病因となる。①5歳以前に選択的な愛着が異常に広範囲であること、②幼児期に誰にでもしがみつく行動and/or③小児期に見境なく親しく注意を引こうとする行動、が必須である。通常仲間との親しい信頼を形成するのは困難である。

反応性愛着障害は、虐待が病因となり、別離や再開の際に両価的な反応がみられる。

 

9.ab

a.シアナミドは15分で血中濃度が最高となり、半減期は39.9~76.5分である。

b.ジスルフィラムは効果発現まで12時間を要し、半減期は60~120時間である。

cde.アカンプロサートはタウリンの誘導体で、NMDA受容体機能を調整し飲酒欲求を減少させる作用がある。心理社会的治療と併用し離脱症状が改善した後から開始する。腎代謝であり、抗酒薬との相互作用はない。副作用としては下痢の頻度が多い。

(松下:Progress in Medicine 33(4);2013)

 

10.b

フェティシズムはほとんど男性にみられ、対象は人体に深く関連する「もの」である。

他のパラフィリアも含め、空想・性的衝動・行動が診断基準に含まれる。

 

第5回精神科専門医試験の解答と解説です。

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1.cd

転移とは、患者が過去に肉親などに向けていた感情、態度、防衛が、現在の治療者との間で再現される現象を意味する。

 

2.c

国内で流通している第2種向精神薬は、アモバルビタール、ブプレノルフィン、フルニトラゼパム、ペンタゾシン、ペントバルビタール。(厚生労働省ホームページ)

 

3.ac

a.マタニティブルーは50~80%、産後うつ病は10~15%の発症率。

b.乳汁移行はブチロフェノン系薬、ベンゾジアゼピン系薬、抗てんかん薬、リチウムで多い。

c.産後うつ病は気分障害と強い関連性がある。

d.再発予防としての抗うつ薬の投与は推奨されていない。

e.マタニティブルーは出産後3~5日、産後うつ病は出産後1年以内に発症する。

 

4.c

強迫性障害は、性差はないが青年期では男性優位である。平均発症年齢は男性19歳、女性22歳で、2/3が25歳以前に発症する。強迫性人格障害とは異なり、ほとんどは病前に強迫傾向を認めない。薬剤の治療効果は部分的に留まることが多い。

 

5.e

社会恐怖は、注目の的になる状況・恥をかく行動に対する顕著な恐怖と、その状況の回避が基本症状である。低い自己評価、批判されることへの恐れと関連している。

(ICD-10診断ガイドライン)

 

6.b

ADHDの治療は、まずは心理社会的な保護者や学校、子供への支援をまず行うことが前提である。薬物療法は適応上の不利益が著しい場合に考慮する。

 

7.d

アルコール血中濃度が10~50mg/dlでは高揚・多弁となる。50~100mg/dlでは運動失調や言語障害が出現する。200mg/dl以上で意識障害が出現し、400mg/dl以上で昏睡となる。

 

8.d

a.妄想性パーソナリティ障害の特徴は、他人に対する不信である。

b.境界型パーソナリティ障害の特徴は、対人関係や同一性にみる不安定さ、複数の衝動行為、慢性の抑うつ・空虚感である。

d.自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、自己の誇大感、他者の評価に対する過敏さ、他者に対する共感性のなさである。

e.境界型パーソナリティ障害は症状が経過の中でほとんど変化しない。

 

9.ce

提唱した黒澤によると、ICU症候群とは「ICUに収容された患者にみられる環境要因、性格要因などの心理的要因によって生じた不安状態、抑うつ状態、幻覚妄想状態(反応性)などの精神症状をさす。身体要因が環境要因と絡み合って発症するせん妄も含まれる」とされている。(黒澤:ICUとCCU 20(9);1996)

 

10.ab(c?)

ac.全般発作の第一選択薬はバルプロ酸である。

b.治療目標は発作の消失である。

第4回精神科専門医試験の解答と解説です。

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1.e

系統的脱感作法は行動療法の1種であり、古典的条件付けが基礎となっている。

①序列の構築:不安や恐怖の対象を主観的刺激の強弱の順に並べ、不安階層表を作る。

②弛緩訓練:リラクセーション・弛緩の状態を訓練により獲得する。

③刺激の脱感作:不安反応を誘発する刺激に曝露(エクスポージャー)する。

不安反応は弛緩した状態によって抑制されるが、これを逆制止と呼ぶ。

 

似た行動療法としては以下があり、これらも恐怖症や強迫性障害に効果がある。

フラッディング法:脱感作せずにいきなり強い刺激に曝露させる方法。

曝露反応妨害法:刺激に曝露しつつ、刺激を取り除く反応を妨害する方法。

 

フォーカシングとは、人間の体験過程とその象徴化の過程を体系化する技法である。

(インターネット)

 

2.a

刑事訴訟の過程で行われる精神鑑定には①被告人の刑事責任能力の有無に関する刑事責任能力鑑定、②被告人としての重要な利害を弁別して相当な防御をする能力(訴訟能力)の有無に関する刑事訴訟能力鑑定、③被告人の生い立ち・性格・犯行前後の心理状態などから裁判官に適切な処遇方法に関する知識を提供するための情状鑑定、④医療観察法に基づく鑑定がある。

刑事責任能力鑑定では、精神障害の有無とその影響、弁識能力(物事の善悪を弁別する能力)、行動の制御能力などについて評価する。

(精神科診療に必要な書式マニュアル)

 

3.d

Elisabeth Kübler-Rossが提唱した死の受容プロセスは①否認、②怒り、③取引、④抑うつ、⑤受容である。(インターネット)

 

4.c

ab.遅発性ジスキネジアは情動的な興奮やストレスで増強する。運動部位を随意的に動かすことで軽快し、睡眠中は消失する。(インターネット)

cd.遅発性ジスキネジアの危険因子は加齢、女性、高用量、急性EPSの既往である。

e.遅発性ジスキネジアは抗精神病薬の服用開始後6ヶ月頃から増加する。

 

5.a

リチウムは胎児のEbstein奇形との関連が指摘されている。

 

6.be

強迫性障害では、眼窩前頭葉皮質・尾状核・視床の神経回路の機能変化が指摘されている。

前頭葉、大脳基底核(特に尾状核)、帯状束の活動性の亢進がある。

 

7.ae

a.分離不安障害の寛解率は96%で、1年以内に治癒することが多い。

b.愛着対象の人物の側で寝ようとする、分離を主題とした悪夢などの睡眠障害がみられる。

c.特異的ではないが、不登校の原因となり得る。

d.DSM-Ⅳ-TRの診断基準では広汎性発達障害・統合失調症・パニック障害は除外するが、うつ病性障害との併存はみられる。

e.7〜8歳に多いが、就学前にもみられる。

 

8.bd

b.DSM-Ⅳ-TRの強迫性パーソナリティ障害の診断基準に、使い古したものを捨てられないという項目がある。

d.自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、自己の誇大感・他者の評価に対する過敏さ・他者に対する共感性のなさである。

 

9.c

a.てんかんは乳幼児期と高齢期の発症が多い。

b.てんかんによる認知障害は、発作の頻発などによって生じている場合には可逆的である。

c.交代性精神病は、発作消失に引き続き精神病状態を生じる。(大島:日本臨床72(5);2014)

d.発作後精神病は、発作後1週間以内に生じるものと定義される。(臨床てんかんnext step)

 

10.ac

精神分析における転移とは、患者が面接の中で治療者を自身にとっての内的な重要人物と重ね合わせることである。治療者が患者に対して体験する情緒を逆転移と言い、治療者はこれを通して患者の転移を知ることとなる。

転移は無意識的なものであり、患者の転移性反応ができるだけ純粋に映し出されるよう、治療者側が中立的態度を保つことが重要である。(インターネット)