猪瀬都知事が辞任することになりました。
不祥事の発覚から辞任までの経過や真相、つまり一連について、
私は報道されたもの以外の情報は持ち合わせていませんが、
気になったことがひとつあります。
それは、「擁護の声」の少なさです。
不祥事の後だけに恣意的な報道なのかもしれませんが、以下の記事のように、
都庁の中で職員に支持されていなかったという声があります。
また、前知事の辞任により急に告示された選挙でしたから、後援会もありません。
急遽設えた選挙対策本部はおそらく借り物です。
ですから、「政治家・猪瀬直樹」の根っこは実は無い。
いざというときに守ってくれ、帰る場所である後援会も、
親の役割を果たす後援会長も存在しない。
猪瀬直樹、その正体は裸の王様だったとも言えます。
史上最多の得票で当選したとはいえ、これは前任者の後継だからこそであり、
必ずしも自身だけの票ではないと、裸の王様なんだと多少なりとも自覚があれば、
こんなに寂しい辞任劇の主役になることはなかったのではないかと思います。
とは言っても猪瀬氏の場合、
後援組織がないことは成り行き上、これは仕方のないことです。
しかし、都庁で部下に支持されていないということが報道の通りならば、
副知事時代からの積み重ねであり、自業自得と言っても言い過ぎではないでしょう。
ここが選挙策士としては非常に興味のあるところです。
私が首長選を請ける場合、現職からの依頼でも新人からの依頼でも、
一番初めにすることは、現職首長が役場職員からどう思われているかを探ることです。
当たり前の話ですが、毎日顔を合わせ、仕事をしている部下から好かれ、
なおかつ仕事ができる人と認められ尊敬されていれば、この現職はほぼ安泰です。
好かれてはいても舐められていたり、小馬鹿にされていたりというケースもありますが、
こういう情報こそが隙ですね。嫌われているという場合も同様。
必ず原因、ウイークポイントが存在します。
そして策士は、依頼主が現職であればまず隙を埋める対策をしますし、
依頼主が新人であれば、隙を見極め、拡げ、露呈する対策を企てます。
役場の職員(公務員)は政治活動や選挙運動はできません。
ですから選挙協力は頼めないし、戦力にはならないと思われがちですが、
しかし、自分の上司を選ぶ選挙を黙って見ているわけがありません。
自身の出世と生活がかかっているわけですから、
大っぴらには動きませんが、自分の思惑通りの結果になるよう、
家族親族の票はがっちり固めます。
そして雑談や井戸端会議では、必ず中心人物・口コミの主になるはずです。
「市長を変えなければならない」あるいは「今、市長を変えてはならない」
どちらにせよ、役場職員の事情は誰よりも切実で願いは強大です。
この事情が意識を生み集団となり束になると、風が吹き始めます。
そしてこの風は、小さな自治体であれば瞬時に街全体を呑んでしまうほど、
強力な風でもあります。
さて、この風は議員選の場合でも吹くことがあります。
ですからそれをコントロールできれば、すなわち選挙対策でもあります。
そこでお勧めする対策が、役場職員の「こんな議員がいてくれたらなぁ」という
意識に同調することです。
単に仲良くして媚を売れと言っているわけではありません。
やる気のある職員にとって、好敵手であることが重要です。
役場の広報を見ると、いろいろな催しがあることが解ります。
イベント・講座・相談会・説明会・ボランティア…、
何でもいいから参加して、運営側の役に立っていれば、
そのうち役場の方から直に「来週のイベント、また手伝ってください」と
声がかかるようになります。
さらには意見を求められるようにもなりますし、
写真入りで広報紙に載るようなことにもなります。
役場に行き、課長級までが挨拶してくれるようになれば、
かなり近づいたと言ってもいいでしょう。
あなたのことを勝手に支援してくれる見えない後援会の気圧はかなり高まっています。
もちろん基本的な準備は別に必要ですが、あとは立候補するだけ。
温かい風に包まれるはずです。
決して大げさな話ではありません。
役場職員の「こんな議員がいてくれたらなぁ」という像は、
創造力と行動力とまとめる力と責任感があり、手柄や実利を要求しない人なのです。
越権、越境、独断、単独行動が難しい公務員の不自由さをカバーでき、
恩着せがましいことを言わずに成果を出せれば、
道は勝手に開けてくるはずです。
挑戦しようとする選挙が市町村議会議員なら、駅立ちよりも演説よりも、
世のため人のためになる行動を起こすことです。
風は逆に吹くこともあります。
地方議員も、実にならない仕事ばかりを持ち帰り、職員をあごで使い、
「害」とまで評判を落とすと抹殺されます。
中には市役所改革断行を公約とし、
市役所と対立することがライフワークになる議員もいるかとは思いますが、
恐れられるならまだ良し、
軽蔑されるようであれば、逆風を起こされ、次の選挙での当選はありません。
そして軽蔑される原因はいろいろありますが、
その最大級が手柄を横取りすることだと付け加えておきます。