(なんて  キレイな人なんだろう…)


彼は女の私よりはるかに化粧栄えしそうな顔立ちで、サラサラな亜八色の髪だった

(確かに女子が騒ぎそう…でも、それよりも…)

倒れた勢いで彼の服から出て私の目の前に下がってきたネックレスに心が奪われた

「恒月…」




(すごくキレイな月の形のネックレス…)




「おい!ボーッとしてるけど大丈夫だったか?
押し倒して悪いな…さっき話した女たちがオレを探していたからつい…」



「あっ…大丈夫です…」

彼は少しびくついていた私を優しく起き上がらせてくれた

「てかおまえ、何で名前…本当は恒月って知ってるんだ?
オレは繊月って名乗っているんだけど…」



「え…このネックレスのチャーム…三日月じゃなくて上限の月がモチーフよね?繊月は三日月の別名だよ?

弦月の別名も色々あるけど、私は恒月って呼ぶのが一番好きだから…」


彼が自分の名前の話をしているのに私は全く気づかずに、彼の胸元をマジマジと見つめチャームの形を確認していた

(やっぱり上限の月よね…)


彼は私の勘違いに気づいて一人参ったって顔をしていたけど、そんな表情にも私は気が付かなかった

「おまえ…。初めて会ったのにオレ自身よりネックレスが気になるのかよ…。
珍しい女だな。」


そう言うと彼の腕の中に引き寄せられていた

私は何が起きているのかわからず思考が停止しているとエレベーターが目的の階に到着した


気がつくとエレベーターホールに降りていて私の胸元には彼のネックレスが光っていた

「色々ありがとな。これはオレの大事なお守りだ。お礼におまえにあげるよ。マジでご利益があるから肌身離さず持っていろよ!

じゃあオレは鬼ごっこの続きがあるから…」


私に言葉を出す間を与えずに走りながら去っていった


私は色々な事が起こりすぎてしばらくその場から動けなかった



…このネックレス…彼にとって大事なものだったんじゃないの?

私が付けていて良いの?

…て、言うかそもそも彼は誰?

名前は?



…またいつか会えるのかな…



恒月のネックレスだけが知っている真実たち




そして時間は流れて行き…





つづく