我々人間には出世しても名前が変わることがないが、魚の中には出世毎に名前が変わるものも

いるようだ。


 その興味深い記事はコレ。

   http://www.nikkei.com/article/DGXMZO75610690T10C14A8000000/


要約すると

 

 ・寒ブリで有名な富山県の氷見漁港。夏真っ盛りの今、体長40センチ前後のブリの子「フクラギ」が

  最盛期を迎えている。

 ・地元の北陸ではフクラギの呼称で親しまれているが、出荷する際にはいくつかの呼び名に分かれ

  るというから不思議だ。「イナダ、ハマチなど、出荷先の呼び名に合わせて発送しています」と話す

  のは鮮魚仲卸、松本魚問屋(氷見市)の松本幸一郎氏。それぞれの地域になじみのある名前に

  しないと、ブリの子として認識してもらえないから、というのが理由だという。

 ・出世魚の多くは、成魚になるまでの途中段階の呼び名が津々浦々で異なる。

  

出世魚の呼び名は地域によってこんなに違う(ブリとスズキの例)

【ブリ】

東北

ツベ  イナダ  アオ  ブリ

関東

ワカシ  イナダ  ワラサ  ブリ

関西

ツバス  ハマチ  メジロ  ブリ

北陸

ツバイソ  コズクラ  フクラギ
  ハマチ  ガンド  ブリ

山陰

ショウジコ  ワカナ  メジロ
  ハマチ  ブリ

九州

ワカナゴ  ヤズ  ハマチ
  メジロ  ブリ  オオウオ

【スズキ】

関東

セイゴ  フッコ  スズキ

関西

セイゴ  ハネ  スズキ

東海

セイゴ  マダカ  スズキ


 ・なぜ出世魚の途中段階の名前が各地で異なるのか。この謎を解くには、まず出世魚の「定義」を

  知っておかなければならない。 出世魚として有名なのはスズキやブリといった魚だろうが、マグロや

  イワシも同じように成長途上で何度も名前が変わる。ところがマグロやイワシは、出世魚に位置づけら

  れてはいない。

 ・水産大学校の鷲尾圭司理事長は、出世魚の条件として「成魚が『ありがたい』魚であること」をあげる。

  ブリは古くから、年を越せることを祝う「年取り魚」として年末・年始には欠かせない食材で、タイと並ぶ

  縁起のいい魚だった。スズキは白身魚を珍重する西日本を中心に人気が高く、「春のタイ」「冬のヒラ

  メ」「夏のスズキ」は三大白身魚とされている。

 ・しかしマグロは、明治時代までは肉に血の気が多いこともあり下魚扱いされていたため、出世魚に

  なれなかった。

 ・ブリやスズキは商品価値が高いため、全国の水揚げ地から江戸や大坂などの大消費地に運ばれた。

  江戸時代、加賀藩では「献上鰤」として将軍家にも贈った。

  一方、それぞれの幼魚は、魚体が小さく成魚に比べて傷みやすいことなどから、もっぱら地元で

  消費された。とはいえ、食べればおいしい魚なのは間違いなく、それぞれの地域で愛情を込めて、

  様々な名前がつけられた。ちなみに、ブリの幼魚「ワカシ」は若衆から、「ハマチ」は浜が町のように

  にぎわう夏にとれることから名付けられたとされている。

 ・ところが、こうした出世魚でも、昇進のゴールである成魚の呼び名はなぜか全国同一になる。

  幼魚時代は各地で様々な呼ばれ方をするのに、なぜ成魚の名前はひとつなのか。

 ・京都大学の中坊徹次教授は「日本の自然科学の黎明(れいめい)期の明治時代に、全国統一の


  標準名が必要になったため」と説明する。ブリは、それまでは各地の水揚げ地と消費地を結ぶ


  地域で散発的に「ブリ」と呼ばれたが、全国民が知っているわけではなかった。


  西洋学問に追いつき、日本の研究体制を築いていくために「日本魚学の祖」とされる東京帝国大学の


  田中茂穂博士が、明治の後半から約20年かけて日本各地でとれる魚のほとんどに「標準和名」を


  つけ、日本初の魚図鑑に収めたのだという。


 ・こうして、漁業者も流通業者も研究者も、例えば「ブリ」といった時に同じ魚を思い浮かべることができ、


  研究の議論もできるようになった。成魚の名前を定めれば、幼魚を呼ぶ際にも困らない。「1センチの


  ブリ」「3センチのスズキ」などと指し示せば、研究上は何ら不都合がないからだ。このため各地に様々


  にある出世魚の幼魚名は、統一されることもなく、そのまま残ることとなった。


 ・消費者のグルメ志向が強まり、かつては食卓に並ばなかったようなものまでが食べられるように


  なった。例えば「メジ」と呼ばれることもあるクロマグロの幼魚。クロマグロの乱獲が深刻な問題と


  なるなか、メジがクロマグロの幼魚とは知らず、別種のマグロと思って食べている消費者も少なく


  ないという。 「メジと呼ばずにあえて『30センチのクロマグロ』と呼べば、消費が控えられ資源保護


  にもつながるのではないか」(東京・築地市場の鮮魚卸「鈴与」の生田与克社長)。



 ということで、もう一つ利口になった管理人ですが地域特有の食生活、歴史の中で受け継がれてきた

”食文化”が、ヒトの交流や流通手段の変化によって名前も統一されてきたことに興味を持ちました。

 そして、昔からの呼び名も活かしながら、現在も残っているのは何かホッとします。


 管理人はブリやスズキのような”出世魚”にはなれませんが、呼び名を考えるとすると


 ボーズッコ → ムジャキッコ → ヤンチャッコ → オトナシッコ → ブリッコ → ??


 何を言っているのかわかりませんね。”出世魚”でない幻想?


明日もやることいっぱい。前に前に。