シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶 -9ページ目

シニアライフ・相続研究所 30代から考える老後設計 金澤宏冶

シニアライフ(セカンドライフ)や相続の問題について書き綴ります。
年金、退職金、少子高齢化、健康保険、後期高齢者医療、介護保険、
相続、終活、老後破産(老後破綻)に備える方法などについての考え方
を読者の皆様と共に考えていきたいと思います。

 お子さんやお孫さんへの贈与には非課税措置があります。

 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

 「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」

 「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」

 などです。

 国としては高齢者から若年者に早期に資産を移転させることによって消費を喚起したいという思惑があるようです。




 ただ、人生100年時代に向かっている中で老後資金も膨張していくはずです。

 一度、人生のキャッシュフロー表を作ってみましょう。

 どこかで資産がマイナスになりませんか?




 そのような場合、お子さんやお孫さんへの贈与はよく考えるべきです。

 かわいいお子さんやお孫さんの喜ぶ顔が見たいのはわかるのですが、自分が80代、90代になって生活資金が足りなくなった場合、お子さんやお孫さんは助けてくれるでしょうか?

 それは悲観的にならざるを得ないのではないでしょうか?

 お子さんやお孫さんが薄情だという意味ではなく、そうしたくてもできないときがあります。

 お子さんやお孫さん達自身が教育費がかかる時期、住宅ローンの重い時期と重なったりすると助けてあげたいけど無理ということも考えられます。

 また、給料が上がらない中でお子さんやお孫さん達の生活がぎりぎりの場合もあります。




 あげたものは返してくれとは言えません。

 贈与するのであれば、老後に必要な資金を計算したうえで余裕のある範囲で行いましょう




 お子さんやお孫さんにとって教育資金、住宅資金は出してもらって当然ということはありません。

 家庭によって資産の状況は様々。

 大学以降の教育資金は本人が奨学金を借りる。

 住宅資金は本人が頭金も住宅ローンも負担するという厳しい選択をせざるを得ないケースもあるのではないでしょうか?




 日本は残念ながら格差が大きな社会のようです。

 隣の人は贈与をしてもらっているからといって、自分のところもとはいかない場合があります。

 また、贈与をしてあげることが必ずしもお子さんやお孫さんのためになるとは限りません。

 心の面でエールを贈りましょう。

 日本の人口は近年横ばいであり、人口減少局面を迎えています。

 2060年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されています。

 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf




 まさにこれから日本は「少子高齢多死社会」に突入しようとしています。

 これは国家にとって危機的状況にあるといえるのではないでしょうか?

 国の安全保障上も極めて問題があります。

 生産年齢人口の減少は労働生産性のアップによって補えるとする論者もいらっしゃいます。

 しかし、それにしても私は生産年齢人口の減少幅は大きすぎると思います。

 「これから日本は外国人とロボット(AI)の時代」とおっしゃる方もいるくらいです。




 年金・医療・介護・福祉といった社会保障費はとっくに100兆円を超え、これからもどんどん伸びていくことが予想されています。

 このままでは社会保障費の増大に対応できません。




 そうした中で未来の日本を支えてくれる子どもたちを健やかに育んでいかなければならないのではないでしょうか?

 なぜなら年金にせよ、医療にせよ、介護にせよ現役世代からの仕送りがなければ成り立たないからです




 私は今、子どもたちのために児童福祉にもっと力を入れるべきだと思います

 具体的には国の省庁を再編し、少子化担当は独立した省を設けるべきだと考えています。

 例えば「子ども省」を設け、強力に少子化対策を進めることです。




 政策としては「子ども保険」の創設です。

 介護保険が高齢者向けならば「子ども保険」は正に子ども向け。

 使途としては乳児、幼児向けの保育、教育に充てることです。

 さらに児童手当の倍増、中学生以下の扶養控除の復活、児童館の増設、保育園の増設、病児保育の拡充、居宅訪問型保育事業の拡大などを推進していくべきです。




 こうして子どもを社会全体で育てるという仕組みを構築すべきなのです。

 結果として現在、高齢者に偏った社会保障を全世代型に改編することが、結果的には高齢者にとっても望ましい社会になっていくと思います

 最近、社会保障費を抑えるために年金・医療・介護を改悪する政策が次々と打ち出されています。

 これは国にお金がないからですが、人口構成を改善し、生産年齢人口を増やすという大改革をすることによって改善することができるのです。




 人口構成の改善など何十年も何百年もかかるからとあきらめるべきではありません。

 日本という国がこれからも何世紀にもわたって存続していくためには避けて通れない道なのです。

 会社を通じて従業員が給与天引きで積立貯蓄をしていく「財形貯蓄制度」のなかに、目的を老後資金作りに限定した「財形年金貯蓄」があります。

 しかし、積み立てる商品は勤め先が契約している銀行、証券会社などの金融商品となり、選択肢は限られます。




 メリットとしては

 1.非課税枠がある。

 2.給与天引きで手軽に始められる。

 3.財形住宅融資制度が利用できる。

 4.受取年金は個人年金保険のように雑所得とならず非課税。

 などが挙げられます。




 非課税とするには

 1.年金受け取りは60歳以降、5年以上20年以内(保険型には終身もあります)の分割で受け取ること。

 2.年金受取開始前の据置期間が5年以内であること。

 3.5年以上継続して積み立てを行っていること。

 4.非課税の最高限度額は、貯蓄型(銀行、証券会社などの財形年金貯蓄)は財形住宅貯蓄と合算して550万円まで、保険型(生命保険、損害保険、かんぽなどの財形年金貯蓄で郵便貯金を含む)は払込保険料累計額385万円まで、かつ財形住宅貯蓄と合算して550万円まで。

 とする必要があります。




 超低金利の今、非課税の特典はメリットが乏しいですが、住宅を新築、リフォームしようとする方にとって融資が受けられる点は他の制度にはない大きなメリットだといえます。

 また、受取時に非課税というのもうれしい点です。

 確定拠出年金や国民年金基金、NISAなどに比べてメリットは見劣りしてきましたが、ご一考する価値はありますね。